今年の梅雨はいつも以上に雨が凄い! そんな感覚でいるのは僕だけではないはずです。ムシムシ、ジメジメ、不快指数は上昇、人ごみで傘をさす面倒くささ、たまる洗濯物…今回はその雨を少しでも楽しめるような、そんな曲を5曲ご紹介いたします。ダムに水がたまるから、大好きなあの子の服が透けるから、そんな雨に対するプラスイメージの一端になれば幸いでございます。

「Rain」/槇原敬之

原曲は大江千里さんが1988年にリリースしたアルバム『1234』に収録。シングルカットはされておらず、ファンの間で隠れた名曲として長く知られてきましたが、1998年に槇原さんがカバーアルバム『Listen To The Music』でカバーし、広く知られるようになりました。「あの方がいなければ、僕はシンガーソングライターを志さなかったかもしれない」と言い切るほど、大江さんに尊敬の念を抱く槇原さんが選んだだけあって、原曲も素晴らしいのですが、アレンジ、そして歌い方にも愛情を感じるこのカバーを聴いていただきたい。雨の中、外を歩きながらこの曲を聴くと、いつもの雨も少しドラマチックに聴こえるはずです。

「雨のち晴れ」/Mr.Children

ミスチルの大ヒットアルバム『Atomic Heart』収録の楽曲。6月となると、新卒社員が入社した会社への不満や、理想と現実の差に悩んでいることでしょう。この曲を聴けば、そんな悩みが自分だけではないどころか、このアルバムがリリースされた1994年からずっと“あるある”として存在する悩みなのだと気づくと思います。“止まない雨はない”という言葉はとても陳腐に聴こえますが、実際にそうで、今悩んでいることは多くは時間が解決してくれます。雨で気分が落ち込むのは仕方のないことですが、そういう時はこの曲を聴いて目先を変えてみるのも良いかもしれません。ちなみに、もともとはドラムの鈴木英哉さんが歌う予定だったというこの曲。今となってはミスチルの曲を桜井和寿さん以外の方が歌うというのはあり得ませんから、そのVerも聴いてみたかったですね。

「停滞夜」/ミツメ

言葉も良いけど、メロディーやリズムでジメっとした季節を楽しみたい方には、2009年に東京で結成されたこのバンドの最新アルバムに収録されている、この曲をお勧めします。ブラックミュージック的なリズムと少し淫靡な世界観で構成されたこの曲は、どこにも出かけたくない休日、突然の夕立を薄暗い部屋で聴いている時のような雰囲気があります。元気が出る曲さえも苦痛に感じる時、こういったトゥーマッチな曲を聴くことで広がる世界というのもあるのではないでしょうか? また、この作品が収録されているアルバム『ささやき』は、ヴォーカルにかかっているリバーブや、浮遊感がこの季節にピッタリだと思います。

「Raindrops」/Basement Jaxx

ダンスユニット・Basement Jaxxが2009年にリリースしたアルバム『Scars』に収録されたダンスチューン。雨音を意味する曲タイトルで、歌詞の内容は“地球の裏側にいる女の子に恋してしまった”という心境を歌っていて、多分そこを考えると感情移入がしにくくなりますが、曲自体は降り続ける雨の感じと祝祭の感じが相まって、歌の意味を考えずとも踊れます。いきなりの豪雨に全身びっしょりでどうしようという時も、この曲を聴きながら走れば何となく雨が自分を祝福しているように思えるかも。ちなみに歌詞にも6月と出てきますが、彼らの出身であるイギリスにも6月の梅雨の文化はあるのでしょうか? それとも偶然でしょうか…?

「雨の降らない星では愛せないだろう?
」/モーニング娘。

モーニング娘。の9枚目のアルバム『プラチナ 9 DISC』に収録された、知る人ぞ知る名バラード。途中、当時メンバーだったジュンジュンとリンリンによる中文詞のソロパートがあります。この曲には、地球に生きる、アイドルとして生きる、さまざまな示唆や想いが交差した素晴らしいメッセージが込められており、一度聴けば“雨”という一見面倒で嫌な出来事も、全ては作用し合って人間は生かされているんだ、という壮大な気持ちになれます。「何だよ、今日雨かよ」と舌打ちをする前に、全ての出来事を事実として受け止め、明日を向いて歩いていく気持ちを持ってみては?… と、偉そうになりましたが、雨の時期に合う、単純にいい曲です。また、2013年には中考介さんが高橋愛さんを迎えてこの曲をカバーしており、そちらも原曲とは異なった趣きで聴かせます。

著者:佐久間トーボ

OKMusic編集部

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