再来日直前! ライヴで映えるポール
・マッカートニーの5曲

昨年11月の日本公演は僕も大阪で観たが、各種メディアが伝えたように、最初から最後まで一切手を抜くことなく、エンターテイナーとしての力量を存分に発揮した、とても楽しいコンサートだった。今回の公演では、昨年とは違った趣向で行なわれると伝えられていて、今度こそ最後の来日になるかもしれないだけに絶対に見逃せない。

 半世紀以上、現役として活動し続けているポール・マッカートニー。特に、名曲を作ることにかけては、ポピュラー界の中でもトップクラスの彼だけに、5曲だけを選ぶことなどできるわけがない。ここでは、ビートルズ解散後にリリースした作品のみに絞って、特にライヴ映えのする曲を選んでみようと思う。

1.「My Love」(’73)-Paul McCart
ney & Wings

 ウイングス名義では2ndアルバムとなる『Red Rose Speedway』(’73)に収録のナンバー。ビートルズ解散後、ソロ名義で2枚のアルバムをリリースし、念願の新バンドである“ウイングス”を結成したものの、彼らのデビュー盤『Wild Life』(’71)を業界から酷評されることになる。ポールにとってウイングス結成までは休養期間だったのかもしれないが、この時期の“ゆるさ”みたいなものが、世間的には認知されなかったのかもしれない。まぁ、よく考えれば彼が低評価のままで終わるはずがなく、ほどなくして一世一代の名曲「My Love」が発表された。本作は、ビートルズ時代から2014年の現在に至るまで、ポールが作った楽曲群の中で、最も完成度の高いバラード作品だと思う。ライヴ時には、この曲で涙する人も未だに少なくない。僕はウイングス時代の頂点が本作だと確信している。なお、間奏のリードギターはヘンリー・マッカロク(元グリース・バンド)が弾いていて、ここでの演奏がロック史上に残る名演のひとつであることは間違いない。ビルボードチャートで全米1位獲得。

2.「Live And Let Die」(’73)-Pa
ul McCartney & Wings

 前作「My Love」の大ヒットで、世界中にその名を知らしめたウイングス。しかし、ポールの仕掛けはそれだけで終わらず、続いて映画『007 Live and Let Die(邦題:007 死ぬのは奴らだ)』の主題歌で、映画ともども大ヒットを記録することになる。リリース当時、最初にラジオで音だけを聴いた時は“変わった曲だなぁ”と思った。しかし、そのあと映画を観ると、映像と音楽の関係性が理解できて、“なるほど!”と納得したのだが、誰もがよく知っている印象的なリフは一度聴いたら耳について、しばらく頭の中で勝手にリピートされていた。この曲、ライヴ時には花火や火薬なども使われ、大いに盛り上がる仕掛けになっている。録音は『Red Rose Speedway』の時に終わっていたが、映画がらみの権利関係によるものかアルバムには収録されず、シングルとしてリリースされている。余談だが、同時期に録音され、シングルのみでリリースされた「Hi,Hi,Hi/C・ムーン」(’72)もある。ビルボードで全米2位となった。

3.「Jet」(’74)-Paul McCartney
& Wings

 “ウイングスはライヴバンドだ”というポールの信念のもとで、72~73年頃はツアー生活が続くことになるウイングス。徐々に、バンドとしてのまとまりやテクニックが身についていき、上記のようなヒットが生まれたことで一挙に認知度も高まっていくのだが、ヘンリー・マッカロクとデニー・シーウェルが突然脱退し、ポール、リンダ、そしてデニー・レインの3人が残された。良い時は続かないものだ…。そして苦境の中で、ナイジェリアに渡り録音されたのが『Band On The Run』(’73)。ところが皮肉なことに、このアルバムこそ、ウイングスを代表するアルバムとなっただけでなく、ロック史上において燦然と輝く名盤となった。メンバーが足りなくても、ポールの才能を駆使すれば、優れた作品が生み出せることを証明したと言えるかもしれない。
 前置きが長くなったが、その名盤に収録されていたのが本作である。この曲はナイジェリア録音ではなく、ロンドンに帰ってからレコーディングされた。ビルボードチャートでは7位という成績であったが、日本では洋楽チャートで年間1位になるなど、大いに愛されたナンバーである。キャッチーではあるが、しっかりロックしているポールの姿を、多くのロックファンに認知させた名曲。これを聴いてロックに目覚めた人も少なくないはずだ。

4.「Band On The Run」(’74)-Pau
l McCartney & Wings

 本作は、ビルボードで全米1位を獲得しただけでなく、ポールのキャリアを代表する曲でもある。アルバム『Band On The Run』のタイトルトラックで、プログレ作品によく見られる、組曲のような構成で展開する。美しいソウル風のパート~暗めのロックパート~明るいパワーポップのパートと、全体が3部に分かれており、シンセサイザー(モーグだと思われる)が印象的につないでいるので、あまり散漫な感じは受けない。最後のパートだけでこの曲は成り立つのでは…と考える人は多いそうだ。確かにそうかもしれない。でも、3つのパートがあることで、本作に圧倒的な深みが出ているように僕には思える。デレク&ザ・ドミノズの『レイラ』も、最後のピアノパートが重要なんだからね。

5.「Driving Rain」('01)-Paul McC
artney

 5曲のうち、2曲も『Band On The Run』から選んでしまった(その上、これまでの4曲は全てウイングスのナンバー)ので、5曲目はソロ名義でリリースされたアルバム『Driving Rain』からタイトルトラックをセレクトした。このアルバムは、バックメンバーに若手ミュージシャンを起用(ポールの息子であるジェイムズがギターで参加)しており、大きなヒット曲を生むこともなかったため、大きな話題にはならなかった。ビルボードチャートでも26位どまりで、セールス的に惨敗だったのも確か。しかし、このアルバムが良質の作品であることは確かで、じっくりと聴くには文句なしの佳作だと思う。2003年にリリースされた、世界ツアーの様子を収めたライヴ盤『Back In The World』には、この曲が収録されていて、ライヴでやると映えるので、今回の公演で是非セットリストの一曲に加えてもらいたいという願いを込めて、ここに挙げておこう。

著者:河崎直人

OKMusic編集部

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