2014年もあと2日で終了。年を重ねると、1年経つのがホントに早ぇなあ! なんて、オッサンあるあるを感じつつ。2014年は例年以上に素敵な新人ミュージシャンたちに出会えた年だったなぁと思います。別件仕事でCDのセールスチャートを見てたら、大御所の中でゲスの極み乙女とかKANA-BOON、MY FIRST STORYなんて新進気鋭のミュージシャンの名前が上位に並んでたりして。CD不況とか言いながら、みんな良い物はちゃんとチェックしてんじゃん! と嬉しくなっちゃいます。ということで、ここでは2015年の飛躍を期待したい、2014年俺的新人賞を独断で決定します!(副賞は特にナシ)

「オドループ」('14)/フレデリック

今年9月にデビュー。神戸出身、三原健司(Vo&Gu)、三原康司(Ba&Cho)と双子の兄弟を中心とした4人組バンド。若手ロックバンドに多く見られる、4つ打ちの高速ダンスビートによる“ダンスロック”は流行りを超えて、日本で独自の進化を遂げていっている感もあるが。この曲を聴いた時、これは新しい! と思った。いや、新しいという言葉が正しいかは分からないが、ここにダンスロックブームのさらなる広がりや活路があるのではないか?くらいのことを思った。まさにタイトル通り、頭をグルグルとループする日本語歌詞は独特のグルーブを生み、原始的とも言えるダンスビートとシンプルな演奏に歌が生むグルーブが乗るのとで、なんとも面白く心地良い独自の世界観を生み出しているのだ。この曲を聴くと日本語歌詞のさらなる可能性の広がりを感じ、彼らの楽曲がもっと聴きたくなる。余談だがその後、フレデリックの取材に行って話を聞いていると、作詞・作曲を務める三原康司くんが「古い音楽が好きで、たまが好き」と語っており、「なるほど!」と僕の中で合点がいった。日本語を使った独自のリズム感、メロディー感はそこにルーツがあったのか! たまを知らない若い子は、名盤『しおしお』、もしくは『さんだる』をなんとかゲットして聴いてください。オジサンが言ってる意味もきっと分かるはずです!

「MEMENTO」('14)/BLUE ENCOUNT

今年9月、メジャーデビュー。熊本発、4人組エモーショナルギターロックバンド。2年ほど前にライヴを観た時は「おぉ、カッコ良いバンドだな」くらいの印象だったのだが、デビュー盤『TIMELESS ROOKIE』を聴いてぶっ飛んだ。あの頃と比べて、めちゃくちゃカッコ良くなってる! ライヴでしっかり鍛え上げたタフな演奏と、胸締め付けるエモーショナルな歌詞と歌声。その後、取材に行って話を聞くと、「デビューまで、悔しい想いもたくさんしました…」なんて苦労話も聞かせてくれたが、このバンドに関してはその悔しさや苦しみが全て糧になってる気がする。バンドの状態も最高潮、会場を埋め尽くす観客の期待と渇望感もハンパなく、ステージもフロアも異常なほどの熱気を上げていた年末のワンマンも最高だった! まだ発売前だけど、この日のワンマンの本編ラストも飾っていた、1stシングル「もっと光を」は是非聴いて欲しい。現在の彼らの真正直な想いをギュッと凝縮した歌と演奏はまさに魂の叫び、最高にグッときます。

「希望と絶望の世界」('14)/図鑑

福岡在住、平山カンタロウ率いる4人組ギターロック・バンド。今年9月に2ndアルバム『CO2』をリリース。それまでは実質、平山カンタロウのワンマンバンドだったが、正式メンバーとなったメンバーと作り上げた今作は2枚目ではあるが、この4人での図鑑としてはデビュー作とも言えるアルバム。今作を最初に聴いた時は、「よい曲ばかりだなぁ」とソングライティング能力の高さに驚いた程度だったけど。彼らのライブを観て、すっかりファンになってしまった。歌の良さや演奏力の高さももちろんだけど、なんつうか彼らの芯の部分にしっかりとロックンロールがあったのだ。父親のPCに入ってた、ビートルズを聴いてロックに目覚め、ギターを始めるとビートルズの曲を端からコピーしてたという平山。そこで技術だけでなく、曲に込めた気持ちや魂もしっかりコピーできてたんだろうなと推測する。今、全然音楽詳しくない人でも、PCさえあればそれっぽい音楽が簡単に作れちゃう時代だからこそ、こういう芯のあるバンドがいることが嬉しい。

「忘れかけてた物語」('14)/チャラ
ン・ポ・ランタン

今年7月にデビューした、もも(Vo)と小春(Accordion)の実の姉妹による二人組ユニット。サーカス音楽やワールドミュージックを下地に老若男女、さらには国籍さえも問わずに楽しめる、明るく楽しくちょっぴり切なく懐かしい独創性あふれる楽曲を提供する彼女ら。楽曲の良さもさることながら、ふたりきりの大道芸スタイルやバンドスタイルとジャンルや形態にもとらわれず、とにかくふたりが自由に楽しくのびのびと音楽を楽しんでるのも素晴らしい! 先日観たワンマンでは、バンドスタイルの演奏にサーカス風の演出を施した、他では観たこともないエンタテイメント性の高いステージを展開しており、心から楽しめたし、本当に感動した。インタビューした際には、「サーカスみたいなテント小屋で全国を回るようなツアーをしたい」と、これまた自由すぎる夢を語っていた彼女ら。今、最も生で観てほしいアーティストのひとつだ。

「今夜も始まっているだろう」('14)
/坂詰克彦

今年7月にデビューした、超大型新人歌手…ってこれ、怒髪天のドラムの坂さんだよ! つうことで、他にも紹介したい新人アーティストはいたんだけど。さっき、怒髪天・増子さん司会の音楽番組『音流』を観てたら、ダブルのスーツ姿でこの曲を歌う坂さんが出ていて、その姿があまりにも強烈だったので思わず取り上げてしまいました(笑)。楽曲は怒髪天が自称する音楽ジャンル“R&E(リズム&演歌)”の演歌の部分だけを抽出した演歌、というか本格ムード歌謡。昭和歌謡の大御所にアレンジしていただいたというトラックと、大真面目にムーディーに歌う坂さんのヴォーカルが絶妙な面白さを生み出してます(笑)。個人的にロックには、ユーモアの要素は必要不可欠だと思ってて。こういうことを本気にやってしまう怒髪天がやっぱり好きだなぁと思わされる、大人の最高の悪ふざけです!

著者:フジジュン

OKMusic編集部

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