夏をリードする「エクストリーム」な
5曲

夏真っ盛りということで、海だ、恋だ、音楽フェスだ、ポケモンGOだ、と身も心もアクティブになり、ついテンションがグイグイ上がってしまう季節です。仕事柄、ライヴに行く機会が多いですが、フリーのライターゆえに普段は自宅作業がほとんどです。つまり、家にこもっていることが多いということ。外に出るのもいいですが、家の中でもアドレナリンがあふれ出るような楽曲を聴きたくなるものです。まぁ、個人的には年中メタルばかり聴いている人間なのですが(寝る時も…)。ここでは夏らしく、いろんな意味で振り切った楽曲を紹介します!

1.「エクストリームおっぱいダイナマイ
ト8000」( ‘16)/ヒステリックパニ
ック

“ヒスパニ”の相性で親しまれている名古屋発の5人組。7月20日にメジャー2ndアルバム『ノイジー・マイノリティー』が出たばかりですが、この作品の内容があまりにも素晴らしくて。その中でもぶっ飛びに振り切れた楽曲が収録されているんです。曲名もパンチありまくりですが(笑)、曲調自体もまさにエクストリームなサウンドに仕上がっており、個人的に早くも大好きな一曲になっています。ゴリゴリの音像で攻めながら、中盤にはさわやかな歌メロが飛び出し、それを追いかけるように女性コーラスが入り、ラウドでポップな彼らの魅力が全開です。《ちっぱい!おっぱい!揺れる ばいんばい〜ん》の歌詞もフックがありますけど、何より楽曲として素晴らしく完成度が高い。

2.「マネー」( ‘16)/OLEDICKFOGGY

ヴォーカル&マンドリン、ギター、ウッドベース、ドラム、バンジョー、キーボード&アコーディオンの大所帯6人編成のオールディックフォギー。10-FEET のTAKUMA(Gu&Vo)が彼らのライヴに衝撃を受け、自らのフェス『京都大作戦2012』に招き、いきなり源氏ノ舞台(メインステージ)に大抜擢した逸話がある。音楽的にはロック、パンク、ハードコア、歌謡曲、トラッド音楽などさまざまなジャンル横断のごった煮サウンドは、類型が見当たらないミクスチャーっぷり。今年出た新作『グッド・バイ』はバンド史上最高傑作! 特に冒頭を飾るこの曲は中国語や西部劇風のパート、加えてディスコチックな電子音も放り込み、いい意味で悪ふざけ感が頂点に達した刺激的なナンバー。ぜひ!

3.「Tales of Destinies」( ‘16)/
BABYMETAL

まさかこんな日が来るとは本人たちも想像していなかっただろう。ジューダス・プリーストの“メタル・ゴッド”ロブ・ハルフォード(Vo)とBABYMETALが、7月18日にオハイオ州で開催されたAlternative Press主催の『APミュージック・アワーズ』にてスペシャル・コラボを披露。プリーストの名曲「Painkiller」「Breaking The Law」の2曲を共演した。映像で観たが、もう信じられない光景だった。これを機に両アーティストを音楽を聴いてもらいたい。なかでも今年出た2ndアルバム『METAL RESISTANCE』収録のこの曲はドリーム・シアターばりの超絶テクニカルなプログレ・メタルで、多くの人が“狂ってる!!”と爆笑しながら絶賛するすさまじい曲調。ライヴではまだプレイされていないものの、9月に行なわれる東京ドーム・2デイズ公演で聴けるのを密かに期待している。

4.「Cowboys From Hell」(’90)/PA
NTERA

グルーブ・メタルの始祖的存在で、今なお彼らに影響を受けたバンドは後を絶たない。バンド自体は03年に解散し、その翌年にダイムバック・ダレル(Gu)はダメージ・プランのライヴ中に観客に射殺されてしまい、パンテラ復活は永遠に叶わなくなった。硬質なメタルと怒濤のハードコアのヴァイブを封じ込めたパンテラのサウンドは、90年代のメタルに革命を起こすほどのインパクトを与えた。血湧き肉踊る男臭いヴォーカルと演奏は、灼熱の太陽のごときエネルギーを放出している。真夏に聴くにはぴったりと言えるだろう。暑さには燃えるような熱さで対処し、さらに汗だくになって忘れるがいい。

5.「Night Witches」(’14)/SABATO
N

歌詞は古今東西の戦争を題材にし、ライヴではステージに戦車を置くド派手なパフォーマンスがうけて、ヨーロッパを中心に絶大なる人気を獲得しているスウェーダン発のサバトン。昨年は『ラウドパーク 2015』で初来日を果たし、ベストアクトに名を上げた人も多く、会場を大いに盛り上げてくれた。とにかく、勇壮なヴォーカル、メロディー、サウンドは一度耳にしたら、体の奥底からパワーが沸き上がってくる楽曲ばかり。怖そうなイメージを持つ人もいるかもしれないが、どれもキャッチーな輝きを放つメタルサウンドなので、初心者でもすんなり入れるだろう。音楽性、ステージングにおいて、見事なまでに戦争ネタに振り切ったエンターテイメント性に優れたメタルははまれば抜け出せなくなる。この夏はサバトンで乗り切れ!

著者:荒金良介

OKMusic編集部

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