まず謝罪します、タイトルはミスリードです。正しくは「ラーメンズの小林賢太郎と片桐仁が7年ぶりに共演」なのですが、まさかのYahoo!トップにも「ラーメンズ復活」と大々的に取り上げられていたので、めでたさを隠れ蓑にしてどさくさに紛れてギリギリギリギリジンジン。しかし、ラーメンズですよ。例えるならば、リアムとノエルが和解するような、小山田圭吾と小沢健二がフリッパーズ・ギターを再結成するような衝撃です。関係者が稀に仲良く並ぶふたりの写真をSNS等にアップしていましたが、小林氏は独自の路線で孤高を貫いていたし、片桐氏は映画、ドラマ、CM、粘土育児テルミン等で多忙を極めていたので、解散こそしていないけれど最早再共演は絶望的だと諦めかけていたのです。それが結成20年目にこのようなニュースが飛び出すのですから、「日本死ね」という憤怒を壁にぶつけるような毎日をなんとなく生き延びてみるものです。前置きが長くなってしまいましたが、今回はこのふたりにまつわる楽曲をご紹介します。もちろん、「路上のギリジン」とか「採集に登場するラップ」とか、「マグロは男の勲章だ」等はありません。日本語学校もないぜ。

1.「茎(大名遊ビ編)」(’03) /椎名
林檎

当時まだお笑いファンや演劇畑の人間以外には無名に等しかった小林氏を、出産休養明けの椎名林檎のMVおよびショートムービー『百色眼鏡』に起用したスタッフさんの英断に拍手。このコラボは1曲のみで終わることなく、その後もライヴ『賣笑エクスタシー』、小林氏による演劇プロジェクトKKPの『LENS』と続きますが、初見のインパクトはやはり凄まじかったですね。厳粛な弦楽器の連なりが形作る鬱蒼とした音像に寄り添うような低音は、静かな生命の息吹からダイナミックな間奏に移り変わる狭間で書生さんの格好をした小林氏の謎めいた演技が挿入され、転調した末のクライマックスでは泣き叫ぶ産声を想起させる呼号が響きわたり、未知なるコラボに胸を弾ませたものです。

2.「ニコらス!feat.Negicco」(’13)
/危険日チャレンジガールズ

ラーメンズのコントは、ひたすら笑えるナンセンスなものから、展開やオチの予想に想像力を駆使しなければならないようなものまで実に多種多様なのですが、片桐氏とエレキコミックによる“エレ片”はいい意味でくだらない作品ばかりなので、肩の力を抜いて観ることができます。この曲は同トリオの女装アイドルユニットとNegiccoによる、誰が得するのか分からないコラボナンバー。Negiccoの美しいほどに正統派をまっとうするヴォーカルを遮るかのように挟まれる3人の声調はコントを演じる時とまったく変わらず騒々しく、妙な安心感を覚えます。アーシーなガレージロックをアイドルポップスに落とし込んだトラックもクール!

3.「国民的行事」(’05)/KREVA

『フリースタイルダンジョン』のヒットにより、大御所ラッパーを再評価する声も続々と上がっていますが、無論KREVAもそのひとりです。KICK THE CAN CREWの知名度を押し上げたのは山下達郎「クリスマス・イブ」のカバーですが、こちらはクラシックの定番曲「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」をサンプリングしています。実はかねてよりラーメンズファンを公言しているKREVA。MVでは小林氏がうさんくささのかたまりのような正体不明の紳士を演じています。跳ねるようなバイオリンに乗せて縦横無尽に飛躍するポジティブなライムは、「俺がヒップホップで一番稼いでる男!」という堂々とした宣言を体現しているかのようで、本当に清々しいです。

4.「ピタゴラスイッチ オープニングテ
ーマ」(’10)/栗コーダーカルテット

『ピタゴラスイッチ』って予想変換に出てくるんですね、すでにそんな市民権を得ているんですね。片桐氏は『10本アニメ』で声優を務め、小林氏は放送初期の人気コーナー『なにしてるの?おじさん』に登場。ジャージ姿で体を張っていました。今やおなじみのこの曲を演奏するのは、「やる気のないダースベイダーのテーマ」等で知られる栗コーダーカルテット。スキップしたくなるような2拍子の軽やかなリズムに、大人から子供まで楽しめるシンプルなメロディラインは作業用BGMとしても打って付けなのですが、これ30秒で終わってしまうのです。6時間耐久版とかリリースしてくださったら、ばんばんダウンロードするのですが。

5.「永久に麗しく,すみれの花よ」(’
16)/黒色すみれ

あのティム・バートンも寵愛する永遠の14歳2人組とラーメンズと何の関係があるかといったら、かつて所属事務所が同じだったというだけなのですが、思い出してしまったものは仕方がないのです。音楽は技術が全てではありません。ですが、アカデミックなテクニックを土台とした重層な音と声が、生い茂る根や枝葉のように肌を支配して脈打つライヴを体感すると、それはもう土下座する他ありません。BUCK-TICKとのコラボ等でも話題を呼びましたが、せっかくなので朗々としたビブラートとバイオリンの音色が織りなす、直線的でありながらも典雅なネオクラシカルナンバーにして、彼女達の代名詞でもあるこの曲をどうぞ。

著者:町田ノイズ

OKMusic編集部

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