ゴールデンウィーク直前、じっくり浸
りたい5曲

もうすぐ大型連休=ゴールデンウィーク突入ということで、家族で旅行に出かけたり、仲間と遊びに行ったりと、普段の疲れやストレスを発散させたい人も多いでしょう。例えどこかに出かけなくても、日々時間に追われる中で、ゆっくり過ごせる時期でもあります。そんな時は家でじっくりと音楽に向き合うのもいいかもしれません。今回はリラックスできるような、ホッとひと息できるような、楽曲の世界観に深く入り込める楽曲を選んでみました。各アーティスト1曲ずつになりますが、これを機にアルバム単位で音楽と向き合ってほしいと思います。

1.「Always coming back」(’16)/O
NE OK ROCK

ドコモCMソングに抜擢された出来立てホヤホヤの新曲だ。今やワンオクは日本にとどまらず、世界中をツアーするワールドワイドなバンドへと着実に歩を進めている。ライヴパフォーマンにおいても、もはや非の打ちどころがない完成度を高めている。同業のバンドマンからも一目置かれ、我が道を突っ走っている印象だ。この曲はミドルテンポの曲調で、静謐な展開の中で珠玉のメロディーラインが強烈に訴えてくる。そのメロディーは胸を締め付けるような切なさに満ちあふれ、心の奥底まで沁み込んでくる。とはいえ、ライヴでも大合唱できるようなコーラスワークも入り、みんなで歌えるアンセムソングに仕上がっている点もいい。アッパーなロックチューンもいいけれど、しっとりした音色もバンドの魅力が輝いている。

2.「Journey」( ‘13)/HEY-SMITH

メンバーが2人脱退し、新たにヴォーカル&ホーン2人を迎え、新6人体制で始動したHEY-SMITH。近々、待望のニューアルバム『STOP THE WAR』がリリースされるけれど、今作はメッセージ性を高めたリアルな作風でこれまでのファンを驚かせる力作に仕上がっている。そこで、ここでは前作『NOW ALBUM』収録のラストに入ってる曲を紹介したい。彼らにしては珍しいスローナンバーで、まったりした気分に浸れるいい曲なのだ。バンドは全国津々浦々をツアーで駆け回る。そう、まるで旅人のように。そんな気持ちを歌った曲で、歌や演奏も肩の力が抜けたニュートラルなテンションで迫ってくる。バンドマンがツアー先で見た心象風景を音にしたようなサウンドが心地良い。

3.「your song」(’12)/SUPER BEAV
ER

紆余曲折ありながら、無事に10周年イヤーを締め括り、熱くも泥臭いパフォーマンスで多くの観客を魅了している彼ら。ド直球の歌詞で聴き手を鷲掴みにするアプローチが多く、人によっては青臭く受け取られる可能性も高い。だが、心の底から歌詞を綴り、歌い上げた音楽には批判さえも軽く一蹴する説得力が宿るものだ。この曲も彼ららしいストレートな歌詞だが、アコースティックを効果的に用いた美しい歌メロが突き刺さってくる。曲名通り、“あなたの歌”と言い切った潔さを含め、誤解も齟齬もなく、伝えたい真意がこちらにも手に取るようにわかる。柔らかく、温かいサウンドの質感にどっぷり浸っていたい。

4.「Powerslave」(’84)/IRON MAID
EN

8年振りに来日を果たしたIRON MAIDEN。東京の両国国技館2デイズのみというプレミアムな公演になったけれど、これが文句ナシで素晴しかった! ブルース・ディッキンソン自ら機長を務め、エドフォースワン(ジェット機)でワールツアーを行なっている。ヴォーカリスト兼パイロット(!)のブルースは癌から回復し、ステージ上を飛び回るエネルギッシュなパフォーマンスを見せてくれた。なによりその歌声は力強く、生命力のカタマリのような野性味に満ちていた。新作『魂の書』を主軸にしたセットリストで、加えて往年の名曲を随所に挟む構成。特に感動したのが「Powerslave」だった。スピードで押すよりも、躍動感漲るリズムがかっこいい代表曲。気に入ったら、同名のアルバム『POWERSLAVE』と向き合ってみてください。名曲目白押しの超名盤ですから。

5.「Keep Your Eye On You」(’15)/
Michael Monroe

5月に東京、大阪で来日公演が決定しているマイケルモンロー。ご存知、HANOI ROCKSのヴォーカリストとして人気を博したが、バンドは85年に解散。その後、87年にソロデビューを飾り、今なお現役バリバリで妖艶なルックスと類稀なる歌声を披露している。そして、昨年出た新作『BLACKOUT STATES』(日本盤にはマイケル50周年バースデイ・ギグを収めたDVD付きで、こちらも必見!)も充実の内容で、ちょっぴり哀愁漂う作風にグッときてしまう。中でも「Keep Your Eye On You」はそれが顕著に表れた極上のナンバー。人生の酸いも甘いも知るマイケルの情感のこもった声色は、なぜか自然と泣けてきてしまう。

著者:荒金良介

OKMusic編集部

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