9月19日、20日と東京ドーム公演2デイズをソールドアウトさせたBABYMETAL。日本のメタルバンドが計11万人を動員した事実は看過できない。彼女たちの楽曲の背骨にはメタルがあり、イギリスを筆頭に海外で受け入れられているのも、メタルだからにほかならない。これを機会に未知の世界=ヘヴィ・メタルに足を踏み入れてみよう、というリスナーも多いことだろう。なので、ここではBABYMETALの楽曲に絡めて、その影響源やルーツになっているものを紐解いていきたい。

1.「The Game」(’14)/Dragonforce

東京ドーム公演初日で一発目に披露されたBABYMETALのアンセムソング「Road of Resistance」。この曲のレコーディングにはサム・トットマン&ハーマン・リ(from Dragonforce)のふたりのギタリストが参加している。彼女たちの楽曲で初めて“ウォーウォー!”と観客と一体化できるシンガロング・パートを組み込んだ画期的な超メロスピナンバーである。この曲が生まれた背景には海外ツアーを多く経験したことが反映されている。IRON MAIDEN、METALLICAなど、スタジアム規模でライヴを行なうバンドには、誰もが口ずさめるアンセム曲がある。海外の人たちは日本と比べて、歌う人たちが本当に多い。歌メロはもちろん、ギターソロだって歌い上げる。この曲が好きな方なら、Dragonforceの高速メロスピワールドにもすんなり入れるだろう。

2.「The Trooper」(’83)/IRON MAI
DEN

「Road of Resistance」つながりで、もう1曲紹介したい。この曲をライヴで演奏する前にBABYMETALの3人は黒旗を持って登場する。そのアイデアのモチーフではないかと言われているのが、IRON MAIDENの9枚目のシングル「The Trooper」(邦題:明日なき闘い)のアートワークだ。バンドのマスコットと言えるエディがイギリス国旗を握って前進する勇ましい姿。ブルース・ディッキンソン(Vo)もライヴでイギリス国旗を振り回す場面があり、これには心底シビれてしまう。IRON MAIDENは名曲を数多く持つベテランだが、その中でも屈指の大名曲と言っていい。BABYMETAL好きならば避けては通れない楽曲だ。

3.「Set To Fail」(’09)/LAMB OF
GOD

BABYMETALの最新2ndアルバム『METAL RESISTANCE』収録曲に「KARATE」という楽曲があり、第一弾MVとしても大きなインパクトを与えた。今年、彼女たちはUSツアーを行なったが、ある意味アメリカ向けのサウンドと言えなくもない。僕もシアトル、サンフランシスコ、ロサンゼルス、シカゴとライヴを観てきたが、中でもロサンゼルスでは4000人の観客を沸かせた。この「KARATE」はアメリカ人にも大ウケで、90年代前半にメタルシーンに革命を起こしたPANTERAが掲げたグルーブメタルをルーツにしている。その音を継承し、人気を博しているのがLAMB OF GODだ。5thアルバム『WRATH』は全米チャート2位を大躍進を遂げ、そこに収録されているこの曲は泣く子も黙る鬼のヘヴィグルーブが炸裂! 「KARATE」好きにはぜひトライしてほしい。

4.「Pull Me Under」(’92)/DREAM
THEATER

再びBABYMETALの最新2ndアルバム『METAL RESISTANCE』収録曲に「Tales of The Destinies」というとんでもない楽曲がある。初めて聴いた時はあまりもすごさに言葉を失った。ジャンル的にはプログレッシブメタルに属し、その言葉を一躍シーンに広めたのはボストン発のDREAM THEATERだ。"夢劇場"というバンド名からしてロマンチックだが、ここでは彼らの代表作となる2ndアルバム『IMAGES & WORDS』収録曲を取り上げたい。卓越した演奏力、ドラマチックな曲構成、そこに美しいメロディーが乗り、プログレメタル好き以外をも魅了する楽曲クオリティの高さは文句の付けようがない。もし「Tales of The Destinies」が好きなら、真っ先にDREAM THEATERの扉を叩くことをお薦めるする。

5.「Painkiller」(’90)/JUDAS PRI
EST

今年腰を抜かすほどびっくりした事件と言えば、これしかない。米オハイオ州コロンバスで開催された『Alternative Press Music Awards』にてメタルゴッド、JUDAS PRIESTのフロンマンであるロブ・ハルフォード(Vo)とBABYMETALの共演が実現した!!! この曲でSU-METALとロブはハイトーンヴォーカル対決を行なったのだから。もう、夢のようである。いや、夢すらも越えた出来事だ。これは世界中のメタルバンドが涎を垂らして羨ましいと思うに違いない。この曲はPRIESTのライヴでもクライマックスにやることが多いメタルナンバー。これを機にメタルゴッドの全作品をチェックしてもらいたい。どれも名作ばかりDEATH!!

著者:荒金良介

OKMusic編集部

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