“○○座流星群がやって来る!”…そんなニュースを見ては、まるでイベントのように多くの人がこぞって星空の観測をする昨今。しかしながら天気さえ良ければ、流れ星とかは別として、きれいな星空というのはいつでも見られるわけです。まだまだ寒さの残る今の時期なんて、夜空にキラキラと浮かぶ星の美しさに案外あったかい気分をもらえることもしばしば。“上を向いて歩こう”じゃないですけど、せっかく夜道を歩くなら星が見えるかどうかをチェックしてみると楽しいんじゃないかと思います。今回のテーマは“きれいな星空の下で聴きたい5曲”。いつもの帰り道をドラマチックに彩ってくれそうなナンバーを洋邦からセレクトしてみました。ポータブルプレイヤーに入れて、散歩のお供にどうぞ。

1.「ほし」/曽我部恵一BAND('09)

曽我部恵一BANDの2ndシングルとして発表、その後の2ndアルバム『ハピネス!』にも収録された名曲。これまでの楽曲ではエネルギッシュでパンキッシュな演奏がトレードマークだったソカバンが新たな魅力というか、また違った輝きを放ったことで話題になりました。ほんのりと温かみがあるアルペジオ、切なくてちょっぴりくすぐったい歌、詞とマッチした思わず口ずさみたくなるような澄んだメロディー、それらを支えるディスコビート…どこを取ってもキラキラしていて、そのドリーミーでロマンチックなサウンドにいつまでも酔いしれていたくなる。間奏で訪れる一瞬の静けさもたまらなく美しい。TRAKS BOYSによるリミックスヴァージョンもすばらしいです。

2.「Star Guitar」/The Chemical Bro
thers('02)

ケミカル・ブラザーズの一番の代表曲と言っていいのでは? シングルリリースされ、4thアルバム『カム・ウィズ・アス』にも収録されています。なんと言っても曲に漂うトリップしそうな浮遊感、心地良いリズムとハウスビートが最高で、涼風のように差し込まれるヴォーカルもロマンティック! いつぞやの『フジロック』で星空きらめく中、この曲が演奏されたときの恍惚さは筆舌に尽くし難いものがありました。夜のドライブなんかにも合いそう。ちなみに、サンプリングネタとされているのはデヴィッド・ボウイの「スターマン」のコード、エレクトロニック・システムの「フライ・トゥ・ヴィーナス」です。また、ミシェル・ゴンドリーによるMVや大沢伸一のカバーも秀逸なので要チェック!

3.「夜間飛行」/忘れらんねえよ('13

“空を見上げても空しかねえよ”っていうタイトルをアルバムに付けるバンドの曲を、このテーマでピックアップするのはどうかと思いつつもセレクト(笑)。その2ndアルバムに収録、TVアニメ『はじめの一歩 Rising』のオープニングテーマに起用されたシングルばりにキャッチーなこの曲は、星空の下で新たな誓いを立てたい時にぴったりじゃないかと思います。忘れらんねえよにしては珍しく、完全に誰か(君)に向けての歌になっているし、ガツンと響くバンドサウンドと切なくも希望を歌った言葉が、きっとあなたの背中を強くやさしく押してくれるはず。目の前に星空が広がる場所で、「夜間飛行」とともに最初の一歩を踏み出してみるのもいいかも。爆音でどうぞ。

4.「Tonight, Tonight」/The Smashin
g Pumpkins('95)

90年代オルタナティブロックを代表するバンド、スマッシング・パンプキンズの全世界で1000万枚以上を売り上げた最大のヒットアルバム『メロンコリーそして終りのない悲しみ』からの一曲。スマパンの出身地である米シカゴの交響楽団による壮大なストリングスアレンジがロックの疾走感と交わるさま、メロディーの美しさがとにかく劇的で、まさにキラキラと輝く星空の下で聴くのにふさわしいと思います。また、“僕が君を信じるように、今夜は僕のことを信じてくれ!”と歌われる情熱的な歌詞も本当に素敵なので、ドラマティックなサウンドに乗せて感情移入してみてほしい。ラブソングのようでもあり、誰かにそっと手を差し伸べる慈愛の精神にも満ちたナンバーです。

5.「星の会」/星のひつじ('13)

2014年2月、北とぴあで行なったプラネタリウムライヴも大盛況だった星のひつじ。この曲はそんな彼らの1stアルバム『星の会』のタイトルチューンで、アコースティックギターやクラリネット、フルート、パーカッションなどが温かく賑やかに舞うアレンジの中、“星が夜空に輝く意味”を問うような哲学的リリックが含まれ、じんわりと不思議な甘美さが生まれています。また、《いつか誰かの為に輝けるよう》という歌詞は、バンドの存在意義を星のそれになぞらえたものですが、リスナーはそのまま自分の立場に置き換えて、誰かのことを想いながら胸を焦がしてもいいでしょう。とろけそうなウィスパーヴォイスも素敵。星空の下で聴いて、光に包まれているみたいな多幸感に浸ってみてください。

著者:田山雄士

OKMusic編集部

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