“生きること”を考えさせられる5曲

“生きること”を考えさせられる5曲
音楽業界が活発に動き始めていることを肌で感じる日々です。作品のリリースが多くなり、ライヴにおいても配信、有観客と生配信の組み合わせ、ガイダンスに沿って動員を絞った公演も徐々に増えてきました。日本はライヴをやる方向へ慎重かつ大胆に舵を切ることができましたが、海外はまだそういう状況ではありません。アメリカ、ヨーロッパなどいまだコロナ収束の出口が見えず、ライヴ興行は2021年も厳しいのではないかという意見も出ているほどです。イギリスのプログレッシヴロック・バンド、ANATHEMA(アナセマ)は現在の事態を受けて、無期限活動中止の声明文を発表しました。コロナ禍はアーティストにも直接的間接的に影響を与え、それが作品に落とし込まれ、我々聴き手にも問いかけてくるのです。
配信シングル「生きるをする」/マカロニえんぴつ
「寿命で死ぬまで」収録アルバム『You need the Tank-top』/ヤバイTシャツ屋さん
「LIFE」収録アルバム『Cheddar Flavor』/WANIMA
「Dead or Alive」収録アルバム『ライトアップアンビバレンツ』/ЯeaL
「Jump」収録アルバム『1984』/Van Halen

「生きるをする」('20)
/マカロニえんぴつ

配信シングル「生きるをする」/マカロニえんぴつ

配信シングル「生きるをする」/マカロニえんぴつ

 今や人気急上昇のマカロニえんぴつ。10月16日にTV音楽番組『ミュージックステーション』初出演も決まり、11月には1stE.P.『愛を知らずに魔法は使えない』をメジャーリリース! そのE.P.の冒頭を飾り、TVアニメ『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』オープニング主題歌に決定した曲。9月に先行配信リリースされたものだが、歌詞の内容は生きることに向き合う、いや、自分自身と真正面から向き合って、《僕が僕を愛せる強さを》と歌詞にもある通り、己を力強く鼓舞する肯定ソングに仕上がっている。曲調も勢いに溢れたロックナンバーで、特に高揚感に満ちたサビの突き抜けっぷりは聴いた人たち全ての背中を押してくれるだろう。

「寿命で死ぬまで」('20)
/ヤバイTシャツ屋さん

「寿命で死ぬまで」収録アルバム『You need the Tank-top』/ヤバイTシャツ屋さん

「寿命で死ぬまで」収録アルバム『You need the Tank-top』/ヤバイTシャツ屋さん

初のオリコン1位を獲得したヤバTの最新4thアルバム『You need the Tank-top』。そのラストにハッとさせられる曲名があり、これがとんでもなくエモーショナルな楽曲なのだ。過去にバンドの生い立ちを綴った激エモナンバー「サークルバンドに光を」という曲があったけれど、タイプは違うものの、その系譜に連ねる感情直球サウンドにグッと来る。こやまたくや(Vo&Gu)自身、ここまでパーソナルな内容を書いたのは初めてらしく、去年他界したお婆ちゃんのことを思い、どうしても曲にしなきゃという必然性に駆られたそうだ。特にラストを締め括る《あなたが居ないと寂しいけど/音楽の力はまじで凄いから/平気で何処までも届くと思った/大きい声で歌った》の切実な歌声には思わず涙腺が緩む。

「LIFE」('20)/WANIMA

「LIFE」収録アルバム『Cheddar Flavor』/WANIMA

「LIFE」収録アルバム『Cheddar Flavor』/WANIMA

2万5000個のサイリウムを使用し、9月22日に千葉・ZOZOマリンスタジアムにて無観客ライヴを行なったWANIMA。とりわけ、母親代わりの亡くなった祖母に捧げた「Mom」におけるKENTA(Vo&Ba)の泣き叫ぶような歌声には胸を突かれた。そのライヴで翌日(9月23日)に2ndミニアルバム『Cheddar Flavor』をリリースすると発表、視聴者をあっと驚かせた彼ら。コロナ禍でレコーディングを進めていたらしく、ファンには嬉しい特大ギフトとなった。その2曲目に収録されているのがこの曲で、ライヴさながらの勢いに満ちたナンバー。《生きてたい 生きてたい ただのLIFE ただのLIFE》と簡潔な歌詞の中にWANIMAなりの人生讃歌が濃縮されているよう。

「Dead or Alive」('20)/ЯeaL

「Dead or Alive」収録アルバム『ライトアップアンビバレンツ』/ЯeaL

「Dead or Alive」収録アルバム『ライトアップアンビバレンツ』/ЯeaL

3人組ガールズバンドによる最新2ndアルバム『ライトアップアンビバレンツ』は、まさに名は体を表すリアルな表現にベクトルを振り切った渾身の一枚。曲名もドキッとするこの曲は《誰も彼も泣いていいんだよ》と弱音を吐くこと、助けを求めることを肯定しながら、もしあなたが感情を上手く吐き出せないならば、《僕が代わりに歌い続けるよ》と代弁者の役割も担う力強い応援ソングになっている。切迫感を帯びた歌声と演奏は凄まじい引力があり、何より逞しくなった彼女たちの"生きざま"に魅せられる一曲だ。

「Jump」('84)/Van Halen

「Jump」収録アルバム『1984』/Van Halen

「Jump」収録アルバム『1984』/Van Halen

今は頭の中がVan Halenでいっぱいだ。ご存知の通り、エディ・ヴァン・ヘイレンがガン闘病の末、10月6日に65歳で亡くなったニュースが報じられ、世界中のロックファンの間に衝撃が駆け巡った。ライトハンドやハミングバード奏法など、ギタープレイに革命をもたらしたレジェンドの死に心にぽっかりと穴が空いた気分だ。これからVan Halenを聴いてみよう、という方にはどれから聴いても問題なし!と胸を張って言いいたいが、この曲が収録された『1984』、あるいは『5150』が入門作としてはオススメ。常にニコニコした表情でギターを弾いていたエディの死は、あまりにも実感に乏しい。最高の笑顔と最高の楽曲を残してくれたエディ。だから、VAN HALENの曲を聴いていると、すぐ隣でエディが微笑んでくれているようで、こちらも“もらい笑み”状態に陥る。

TEXT:荒金良介

荒金良介 プロフィール:99年からフリーの音楽ライターとして執筆開始。愛読していた漫画『ジョジョの奇妙な冒険』(登場人物に洋楽アーティスト名が使用されていたため)をきっかけに、いきなりレッド・ツェッペリンの音源を全作品揃える。それからハード・ロック/ヘヴィ・メタルにどっぷり浸かり、その後は洋邦問わずラウド、ミクスチャー、パンクなど、激しめの音楽を中心に仕事をしてます。趣味は偏ってますが(笑)、わりと何でも聴きます。

OKMusic編集部

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