【Dear Chambers インタビュー】
自分が“好きだな”と思える
3曲にはなった
居心地の良い場所にいるのもいいけど、
ずっとそこいるのが嫌になってしまった
“ここからさらに先を目指していく”という前向きな気持ちを歌ったミディアムチューンの「Still Dreaming」については?
この曲は何かのライヴのあとに、夜中に高速を走っている機材車の中で歌詞を書きました。自分たちにとって居心地の良い場所というのがあって、それも悪くないけど、ずっとそこいるのが嫌になってしまったんです。ある程度の範囲で好きなことを好きな人のためにやるのは楽しいけど、“まだ夢を見ないか、俺ら?”という歌です。いろんな街へ行って、いろんな人と会うことを少しやり終えたから、ちょっと先へ行こう…という。そういう気持ちを、そのまま歌っています。
月に12本という密度でライヴをされていただけに、そういう気持ちに至るのも早かったと思います。「Still Dreaming」はメロディアスであると同時に、アレンジも凝っていますね。モチーフとして鳴り続けるギターのアルペジオやパターン系のドラム、ハイポジションでルート弾きをしているベースなどを活かして、より洗練感を湛えた一曲に仕上げていることが印象的です。
その辺はアレンジャーのKubotyさんがアイディアを出してくれて、“おおっ!”みたいな。そういう気づきがあって、そこも変わるポイントでした。自分たちがやってきたことではないものが入ってきたので。もしも自分がパンクしか聴かない人間だったら、“それは違うよ”ということになったかもしれないけど、僕はキャパシティーが広いので、純粋に“めっちゃいい!”と思いました。
押しつけられたりするのではなく、自分たちがいいと思えることが大事ですよね。もうひとつ、Dear Chambersは音源もトリオ感を活かしたストレートなサウンドということも特色になっています。
バンド外の音は入れていないですね。ライヴで再現できないことはあまりしないようにはしていて。だけど、最近はちょっとシンセを入れたりするのは少しは始めています。音源として“いいな”というのがあるから。とはいえ、入れすぎるのはどうかと思うので、メロディーの邪魔をするものは排除しているイメージですね。
トリオ感やライヴ感を活かすことで、ギターやベースの抜き差しに長けていますよね。ギターやベースがいなくなることをうまく活かしているため、音数が少なくても平坦な印象はないです。
音数に関しては“いらない”という脳になるんです、どちらかと言うと。だから、足すよりも減らす方向にいくことが多いですね。
その話とつながりますが、「Still Dreaming」は独唱パートがあって強く響きます。
“こういうふうにしたいな”という音楽があって、今回やってみました。
ライヴはともかく、レコーディングで独唱するのは難しいような気がします。
いえ、2~3回歌ってOKでした。僕はめちゃくちゃ早いんですよ、歌録り。
純粋に歌がうまいんでしょうね。
たぶん(笑)。どんな曲でもすぐにニュアンスが掴めて歌えるし、“こういうふうに歌ってみたら?”という意見が出た時も応えられる。歌録りで煮詰まったりすることはないですね。
さすがです。さて、今作はDear Chambersのまた新たな魅力を味わえるシングルになりました。新作を完成させて、今はどんなことを感じていますか?
“どう聴こえるんだろう?”というのはありますけど、自分が“好きだな”と思える3曲にはなったと思います。だから、どうとらえられるかですよね。“どう響くんだろう?”ということしか思っていない。聴いてくれた人の声を聞きたくて、“もう何でも言って!”という感じです。
どんな声が届いたか、ぜひ次の機会に教えてほしいです。それに、「オレンジロード」を聴かせていただいて、そして今日お話をうかがって感じたのですが、今後のDear Chambersはさらに音楽性の幅を広げていく予感がします。
それは間違いないですね。僕は本当にいろんな音楽が好きで、それをいいかたちでDear Chambersに落とし込めることが分かってきたから。今の僕は“自分たちらしさって何だろう?”と考えることが多くて、その答えを見つけるという意味でも、もっといろんなことに挑戦したいと思っています。
今後も楽しみです。楽しみと言えば、12月から2024年の1月にかけて「オレンジロード」のレコ発ライヴが東名阪で開催されることも見逃せません。
今度のツアーは初めて会う人も、いつも来てくれている人も、久々に来る人もいると思うけど、Dear Chambersは今が一番いいとだけ言っておきます。もう、それだけです。僕らはずっとそうなんですよ。“絶対に来てください”とかは言わない。みんな金を払って、時間を割いて来てくれるわけじゃないですか。だから、“待っているから”としか言いようがない。だって、3,000円とかあれば呑み放題に行けるし、焼き肉の食べ放題もいけるし、誰かにプレゼントを渡すことだってできる。ライヴに行くとなると往復4時間くらい夜の時間を割いて、音楽を聴くわけですよね。もうそれはピラミッドの頂点くらいのことなんですよ。そこに対して“来いよ”とは言えない。だから、“ここに来るなら絶対に最高のものを観せるから。待ってるわ”としか言えないです。今度のツアーも、そういう意識で臨みます!
取材:村上孝之
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シングル「オレンジロード」2023年12月6日発売
Happinet Music/KURAMAE RECORDS
NEW SINGLE『オレンジロード』レコ発ライヴ
12/19(火) 愛知・名古屋R.A.D
w)LEODRAT、UNFAIR RULE
12/20(水) 大阪・心斎橋BRONZE
w)LEODRAT、UNFAIR RULE
[2024年]
1/16(火) 東京・下北沢SHELTER
w)プッシュプルポット
ディアチェンバーズ:2017年10月東京にて結成。22年までに1枚のフルアルバムと2枚のミニアルバム等を含む複数の作品をリリースすると同時に、ひたすらに全国各地でライヴを重ね、ライヴハウス現場では圧倒的な認知度と信頼度を誇る。23年にKURAMAE RECORDSに移籍。同年8月にシングル「環七ラプソディー」、12月にはシングル「オレンジロード」をリリース。ここから彼らは満を持して、ロックシーンの真ん中に躍り出る!Dear Chambers オフィシャルHP
「オレンジロード」MV