L→R 小寺良太(Dr)、町田直隆(Vo&Gu)、海北大輔(Ba)

L→R 小寺良太(Dr)、町田直隆(Vo&Gu)、海北大輔(Ba)

【moke(s) インタビュー】
積み重ねた経験で鳴らす
初期衝動のスリル

町田直隆(ex. BUNGEE JUMP FESTIVAL)、海北大輔(LOST IN TIME)、小寺良太(ex. 椿屋四重奏)という凄腕の3人で活動しているmoke(s)。熱いサウンドが渦巻く1stミニアルバム『BUILD THE LIGHT』について語ってもらった。

結成は2014年ですが、どのような経緯で始まったバンドなのでしょう?

町田
僕はBUNGEE JUMP FESTIVALをやっていた頃から海北くんのLOST IN TIMEと対バンをしたりして、お互いに仲が良かったんです。バンドが解散したあと、僕はずっとソロでやっていたんですけど、ある時イベントに誘われてバンドで出ることになったので“一緒にやってくんない?”と。そして、岡山健二くん(ex. andymori)にもドラムで参加してもらったらすごく感触が良かったんです。

町田さんの中でバンドをやりたいという気持ちはずっとあったんですか?

町田
僕の中でバンドはトラウマになっちゃってたんですけど、心のどこかでは“またバンドをやりたいなぁ”って思ってたんでしょうね。それでやり始めたらどんどん楽しくなって今に至るという感じです。

小寺さんが加入したのは2015年ですよね?

小寺
そうです。最初、ライヴを観に行ったんですけど。
海北
健二くんはいろいろ忙しくなったので辞めることになったんですけど、彼が辞めるって確定してない時のライヴに小寺くんが観に来てて、打ち上げでずっと“いいなぁ! いいなぁ!”って言っていたのを覚えています(笑)。
小寺
僕は椿屋四重奏が解散してからフリーのドラマーとして活動していたんです。“これ以上のバンドは一生ないからドラマーとして生きてこう”って思っていたので。でも、moke(s)のライヴを観た時、“うわ!”ってなっちゃったんですよね。そしたら後日、電話がかかってきて“やる?”って。
町田
小寺くんの重心の低いドラムが加わったことで、moke(s)は90年代サウンドの感じになっていったよね?
海北
うん。グランジ、オルタナの感じになったね。

小寺さんのドラムって体格の良いアメリカ人っぽいですよね。腕の重みを感じる“ぶん殴る!”っていうニュアンスですから。

小寺
ハンマーで殴ったような音で叩ける人って日本ではそんなに多くないんです。でも、僕はそこを目指しているんですよね。それがmoke(s)ならではのものにもつながったらいいなぁと。叩いているフレーズ自体は中学生でも叩けるくらい簡単なんですけど(笑)。でも、同じ音にはなかなかならないものになっていると思います。
町田
僕が昔やっていたバンドの最初の頃はグランジみたいなことをやりたいと思っていたんです。でも、日本のシーンの流れが変化していくにつれて自分たちも変わっていったんですよね。オルタナティブなものへの憧れはずっと僕の中にあったんですけど、“一生やることはないんだろうな”って思っていました。だけど、小寺くんが入ったことで“やれんじゃないかな?”と。
海北
中学生の頃に感じたような気持ちを思い出しながらこんなに楽しくやっているアラフォーのおっさんっていうのが、僕が町田くんを見ていてすごくいいなぁって思うところです。
町田
“年取ってもロックはできるんだぜ!”っていうことではなくて、“こういうことやりたくなっちゃってやってるんだけど、どう?”っていう気持ちなんですよね。
小寺
僕も今、一番イノセンスを取り戻せています。

“今なら買える!”って子供の頃に買えなかったおもちゃを大人買いする感覚に、もしかしたら近いんですかね? “今なら憧れてた音を自分で鳴らせる!”っていうような。

海北
なるほど(笑)。大人を対象にしたものすごく精巧に作られた仮面ライダーの変身ベルトとかありますけど、もしかしたらmoke(s)にはそれと同じ感じがちょっとあるのかも。
小寺
確かにそうかもしれない。
町田
ただひとつ我々に関して違うのは、財力にものを言わせているわけではないということです(笑)。
海北
経験という財力にものを言わせているということですね(笑)。

(笑)。今回のミニアルバムを作るにあたっては何かコンセプトとかはありました?

海北
決めていたことは特になかったです。曲のストックがたくさんあったので、そこから選んでこの7曲になりました。
町田
初めて全国流通するCDなので、手に取りやすいかたちとしてミニアルバムで出すことにしたんです。この7曲は“これがmoke(s)だよね”というのが分かりやすく表れていると思います。

例えば「BOY MEETS NERD」はバンドとしての熱をものすごく感じます。ドスが利いたベースが先陣を切ったあと、ドラムとギターが合流することによって大きいエネルギーの塊と化す感じが堪らないです。

町田
このベースは1音半下げのチューニングなんです。こういう音で始まるロックのCDって今の時代にあまりないでしょうし、この部分にもmoke(s)というバンドのメッセージみたいなものが表れている気がします。
小寺
今の主流の音楽はクリックに合わせているものですけど、この曲はクリックを使っていないんです。ライヴの感じに近い、うねる感じも出ていると思います。ロックって“合ってない”ことによって生まれるカッコ良さがあるんですよね。
海北
クリックとかは関係なく、3人の足並みが合っていれば、それは“合っている”なんですよ。
町田
一部分でバラバラになったとしても全体としてきれいにまとまれば、それはそのバンドのグルーブになるんですよね。だって、「BOY MEETS NERD」のギターソロなんてリズムの点で言ったら酷いんですよ。
小寺
ドラムのロールがクレッシェンドしてギターと離れていって、最終的に合流するんです(笑)。
町田
こういうのはデジタルの音楽では表現できない、バンドならではのものです。“デジタルなものが主流となっている中でロックはどうあるべきなのか?”って僕はよく考えるんですけど、ロックは正確さや音の派手さとかではデジタルに絶対勝てないんですよね。だから、生々しさとか、うねりとかを大事にするべきだなと思っています。理屈で割り切れないところがあるからこそ、ロックは半世紀以上にわたって人の心を動かしてきたんじゃないですかね。
海北
デジタルはデジタルの良さももちろんあるし、正解はひとつじゃないんですけど、人間の心臓の鼓動はドキドキすれば速くなるし、リラックスすれば遅くなるじゃないですか。そういうのを一番体現できるのが、こういうロックじゃないかなと僕は思っています。
町田
僕たちも中高生に戻ったような気持ちでやっていますから、今まさに中高生の人たちとかにも、こういうmoke(s)の音楽を聴いてもらえたらいいですね。
小寺
音のイメージだと“怖い人たちがやってる”って思うかもしれないけど。
海北
“怖いおじさんたちじゃない”っていうのは声を大にして言いたいです(笑)。ライヴはMC以外、動画オーケーなので、どんどんネットにアップしてもらえばと思っているんですよ。まずはそういう動画とかを観てもらって、ライヴに来てもらえたら嬉しいです。

取材:田中 大

ミニアルバム『BUILD THE LIGHT』2018年7月18日発売 Low-Fi Records
    • LFRR-0007
    • ¥1,620(税込)
moke(s) プロフィール

モークス:町田直隆(ex.BUNGEE JUMP FESTIVAL/WORLD JUNK)の呼びかけによりスタートした3ピースバンド。2014年より始動開始。15年11月に岡山健二(Dr)の離脱により新たに小寺良太(ex. 椿屋四重奏)を迎え、現在の体制になる。18年7月にミニアルバム『BUILD THE LIGHT』をリリース。moke(s) オフィシャルHP

L→R 小寺良太(Dr)、町田直隆(Vo&Gu)、海北大輔(Ba)
ミニアルバム『BUILD THE LIGHT』

OKMusic編集部

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