【Flutter Echo】常に新鮮な気持ちで
斬新な切り口とアレンジができた

それぞれ異なったバックグラウンドで音楽活動を行なっていたSARSHI、Kazama、藤原章人(ZeeF)の3人からなるFlutter Echoがアルバム『ROCK THIS CLUB』を11月11日にリリースする。EDMサウンドを機軸にした今作について訊いてみた。
取材:高良美咲

まずは、この3人でFlutter Echoを始めたきっかけについて具体的に教えてください。

藤原
僕とSARSHIはもともと関西で高校時代からロックバンドを一緒にやっていたメンバーで、上京してきた時も一緒だったんです。上京してからはそれぞれお互いに違うバンドやスタイルになりましたが、常に仲間であり、お互いの活躍を認め合う、いいライバルでもありました。Kazamaとは東京で、SARSHIと僕と偶然同時期に知り合いました。Kazamaはその当時とてもカッコ良いバンドをしていて、ジャンルは若干違いましたがお互いにリスペクトし合う仲になり、“いつか一緒に音楽をやれたらいいなぁ”なんて話してましたね。それから随分時がたったある日、SARSHIの“そろそろ昔話してたジャンルの違う3人で好きな音楽を追求するっていう夢を叶えたいね”というひと言をきっかけにこのバンドが始まりました。

バンド名の“Flutter Echo”(フラッターエコー)とは“鳴き龍”という、音の多重反響現象を意味する言葉ですが、これはバンドの方向性を表したものでしょうか?

SARSHI
このバンド名についてはZeeF(藤原)からの提案だったのですが、“さまざまな反響がひとつの響きになってうねる”という現象が、メンバーそれぞれのバックボーンとスキルによってサウンドを生み出す様を表しているようで、とてもいいなと。Flutter Echoというバンドとして、この3人だからこそ紡げる、複数ジャンルにまたがったサウンドがひとつの響きとなる表現をしたいと思っています。

Flutter Echoの楽曲 は、それぞれにプロとしての音楽活動のバックグラウンドがあるからこそ、サウンドや構成からポテンシャルの高さを感じられると思ったのですが、楽曲の制作やアレンジはどのように進めているのですか?

Kazama
基本的にマニピュレーターのZeeFがオペレートを行ない、僕とSARSHIが楽器やマシンで音を作りながらまとめていく感じです。作曲と作詞、アレンジなど全てを全員で同時に作っていく感じですね。

全員でアレンジを進めていく上ではどのような変化があったのでしょうか?

SARSHI
そもそもはリンキンパークなどに近いロック&ミクスチャー系を目指していたので、全曲そういうアレンジでした。でも、全曲ほぼ固まったあたりで、Kazamaからの提案で全曲EDMアレンジを取り入れることになり、全曲作り直したんです。実は今回のアルバムはそういう紆余曲折あって長い時間煮詰めたものなんです(笑)。

この3人での楽曲の制作については逆に大変なこともあると思うのですが、どのように感じていますか?

Kazama
この3人はバックボーンが離れているので引き出しの位置がとても異なり、“そんな考え方やサウンドもあるのか!?”っていう驚きの連続なので、常に新鮮な気持ちで斬新な切り口とアレンジができるのが大きいですね。その分、それを音楽としてまとめ上げてバランスを取るのには苦労しましたが…それをやり遂げられたのは、お互いをリスペクトしてるっていう土台があるからだと思います。

11月11日にリリースとなるアルバム『ROCK THIS CLUB』は、いつ頃から制作を始めたのですか?

藤原
先ほどSARSHIも少し触れてましたが、構想と着手自体はロック&ミクスチャー系を目指して3年近く前から構想していました。それがEDMの要素を取り入れることになったので再アレンジを行ない、やっと納得のいくバランスにまとめられたという感じですね。

今作には9曲が収録されていますが、収録曲については?

SARSHI
今回のアルバムに関しては、完全に決め打ちで制作を行ないました。表題の通りロックとクラブミュージックの融合という大きなテーマに向けてアレンジを詰めていった感じです。

制作の上で軸になった曲はありますか?

Kazama
軸になったのは、初期に制作していた「Rev.」「Rock This Club」「tiny」「Hello」あたりですね。それらをEDM要素を取り入れるアレンジにしていく過程で、他の曲を肉付けしていったイメージです。

今作の始まりを告げる「Ryunaki」はバンド名を彷彿させるタイトルで、今作のイントロダクションの役割をしていますね。

藤原
“Ryunaki”は“Flutter Echo”を日本語で表した言葉なのですが、これから自分たち3人の音がひとつのうねりになっていくぞ、という期待感を持たせるイメージを意識しました。マニピュレーターとして、またクリエイターとして効果音的煽りの要素を盛り込んだのもそのためです。

「Rev.」は“revolution”(革命)をテーマにした前向きなメッセージで、サウンド面ではサビの開けた感じや疾走感が印象的でした。

Kazama
自分たちの音でまさに“革命を起こすんだ! 新しい音を作ってリスナーに一歩踏み出す勇気を与えたい。ビビってないでとにかく突っ走れよ!”っていうメッセージを込めて制作しました。

「Rock This Club」は今作のタイトル曲ですが、この楽曲ができたきっかけは?

SARSHI
もともとのコンセプトであるロック&ミクスチャーからEDM要素を取り込む方向に大きく転換した際に、最初に着手した曲だったんです。ワブルベース系でありながら日本のクリエイター的な音使いのZeeFのリフができて、Kazamaのラップに自分のギターが入って、“あ、これこそFlutter Echoの方向性だな”って3人が確認し合えた、キモとなる曲だと思います。

イントロがどこか和な印象を受ける「Get Myself Back」など、サウンドは全体を通して遊び心にあふれているだけではなく、どの楽曲も1曲の中での振り幅も広く感じました。

Kazama
たくさんの音楽があふれ、そのプラットフォームやルーツもさまざまな世の中、まったくゼロからの音楽ってもう存在しないと思うし、ないものねだりって思うんです。新しい可能性があるとすれば単純なミクスチャーっていう感じじゃなく、新しいレシピや“融合”って言えるくらいのアレンジだと思うんです。そしてそこには、今言ってくださった通りの“遊び心”が必要だと思ってます。だって、本人たちが遊んでない音楽なんてリスナーも楽しくないと思いますし…だから、作ってる本人たちがまず楽しめて踊れる、そんなサウンドを目指しました。
SARSHI
オリジナリティーのある強いサウンドもそうなのですが、その中に日本人らしいキャッチーなメロディーを忘れずに盛り込んでいるところ、すぐに口ずさめる心に残る音楽…そこはとても大切にしていますね。

中でも思い入れのある楽曲があれば教えてください。

藤原
どの曲にも思い入れも苦労もあるのですが、まず大きな方向転換を行なう際に一番最初に着手した「Rock This Club」が印象に残っていますね。EDMアレンジを行なう時に安易に定番のシンセやフレーズを使うのではなく、マニピュレーター兼クリエイターとしての自分の特性を活かした音ができた時に“これだ!”と感じました。「Rock This Club」のフレーズは技術的にも音楽的にも、なかなか真似できないものだと自信を持って言えます。

Flutter Echoとしての作品を制作したことで、改めて発見できたことはありましたか?

Kazama
長く音楽をやっている3人なので、それぞれいろんな景色や音楽に触れてきて、それなりに足場も固まっているはずなのに、“あぁ、まだこういう可能性やアプローチもあるんだ”って常に思える、新鮮な気持ちで新しいものを作ってる感じがいいですね。もちろん、そこにはお互いリスペクトし合ってる信頼感が根本にあってこそですが。

今後はさらにライヴでの活動も増えていくと思うのですが、リリース後にはどのような活動が期待できそうですか?

Kazama
アルバムのリリースもひと段落してバンドとしての方向性も固まったので、今後はコンスタントにライヴもしていきますし、まだまだ新しいサウンドを世の中に出していくので、今後も期待してください!
『ROCK THIS CLUB』
    • 『ROCK THIS CLUB』
    • POCS-1392
    • 2015.11.11
    • 2160円
Flutter Echo プロフィール

フラッター・エコー:各方面のジャンルにて実績のあるSARSHI、Kazama、藤原章人(ZeeF)の3人によるバンド。楽曲は。海外に通用するレベルの本格的なEDM だけではなく、キャッチーかつ熱い歌詞とメロディー、オリジナリティーあふれるサウンド、シンセサイザーの技術要素、ロック要素を盛り込んでいる。そして、今までの日本のシーンにない新しいEDMとロックの融合を追求したアルバム11月11日にアルバム『ROCK THIS CLUB』をリリース。Flutter EchoオフィシャルHP

OKMusic編集部

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