L→R とだげんいちろう(Ba&Cho)、大武茜一郎(Vo&Gu)、カニユウヤ(Gu)

L→R とだげんいちろう(Ba&Cho)、大武茜一郎(Vo&Gu)、カニユウヤ(Gu)

【突然少年 インタビュー】
“辺りを見渡せば
きっと側に誰かいる”は
この先も突然少年を
つなぎ止める言葉

アルバムリリースや『FUJI ROCK FESTIVAL』のメインステージに初出演、結成時よりともに活動していたドラマー・良原涼太の引退と、2019年はさまざまな出来事に直面した突然少年。配信と会場限定盤でリリースしたミニアルバム『辺りを見渡せばきっと側に誰かいる』は先輩ドラマーのマシータ(ex.BEAT CRUSADERS)、川﨑 昭(mouse on the keys)、岡山健二(classicus)が1曲ずつ参加しており、初めての経験に自分自身とバンドをより深く見つめ直す機会となったようだ。

今まで体験したことがないショックで
頭が真っ白になった

2019年は4月に1stアルバム『Thank you my Friend and my Family』のリリース、7月に新代田FEVERでeastern youthとのツーマン、『FUJI ROCK FESTIVAL』(以下、『フジロック』)のメインステージへの出演もあって。そんな中、9月に良原さんの引退発表があったのでかなり衝撃でした。

とだ
そうですね。eastern youthとのツーマンと『フジロック』があったから、僕もこのまま飛ばしていけたらって思ってました。8月はライヴが少なかったから、その間に曲をたくさん作ろうとも思っていたし。でも、そこでヨッシー(良原の愛称)のモチベーションが切れてしまって、『フジロック』に出た後で“なんでここまで頑張らなきゃいけないんだ?”って思ったのかな。本当にプツンと切れて、そのまま抜け殻みたいになっちゃったんですよ。それは僕らも想定外でした。
大武
バンドが目標のひとつとしていたことを経験して、もっともっとやっていこうって思ったし、やりたいことも浮かんできた時だったんです。ヨッシーのモチベーションが下がっているのは分かっていたし、それでどうするか悩んで、僕もいろいろ考えて…やっぱり突然少年は誰も欠けちゃいけないバンドだって思ってたから、ひとりでも辞めるってなったらもう続けられないんじゃないかって、気持ちがすごく揺れた部分もありました。
とだ
あの悩んでた時期は僕らもやってる感じがしなかった。今まで体験したことがないショックで頭が真っ白になって、これからどうしようって。

まずは知ってるドラマーにサポートをお願いするっていう方法もあったと思うんですけど、募集することを選びましたよね。

とだ
僕らは高校生の時に偶然出会って組んだバンドで、“この4人でこんな音が出るんだ!?”っていう今まで聴いたことがない音を知った感覚があったから、そういう感覚が欲しかったんですよね。だから、まだ何も知らない人と合わせてみたかったんです。
大武
目先のライヴがあるから、どうにか4ピースでライヴがしたいっていうのはあったんですけど、正直ドラマーを募るっていうよりもメンバーとして迎えられる人を探したかったんです。出会ったことのない人との出会いに可能性を感じていました。

募集条件に“身体ひとつで突然少年に飛び込める人”“拳で話ができる人”“ガッツあるならドラム素人でも可”の3つを挙げていて、これってすごく広くも感じるけど、覚悟が必要だし、精神面を大事にしているのが伝わってきました。突然少年がどんなスタンスでバンドをやっているのかが分かった気もするし。

とだ
この3つは“こうじゃなきゃダメだ”って話し合って決めたというより、飯食いながら話す中で“これがいいよね”って決めていきました。今までの自分たちが何を大事にしていたのかを考えたら、わりと自然と出てきましたね。僕らが今までやってきた曲作りの仕方とか、ライヴのやり方とかにつながるかなって。これは僕らをそのまま表した3つなんですよ。

12月に西荻窪Live House FLATで開催した『スタンディングスティックス-ドラム甲子園編(ワンマン)-』はびっくりしました。そこで応募してきてくれたドラマーたちも出演して、2曲ごとにドラマーが変わり、事前リハなしのワンマンという。

とだ
ドラム募集をした時に、アルバムの全曲を練習して来てくれた人が全体の半数くらいいたんですよ。9月の頭に募集を掛けて、2週間くらいでやってきてくれたので、まずはその人たちと何かできないかと思ったんです。あと、今まで対バンしてきた人たちの中で連絡をくれた人もいて。あの時の企画を振り返ると、ドラムがいなくなって右も左も分からない状態になって、真正面のことばかり考えていました。僕らの今の状況を踏まえて、手を貸してくれる人たちと何ができるかって考えて行なった“お祭り”だったんです。

オーディション的なライヴではなく?

とだ
はい。誰がドラムになるかではなく、みんなから感じた勇気とかやさしさであふれたお祭りがしたいと思った。だから、フードをお願いしたり、会場を飾り付けして、BGMをブラバンにして、甲子園だから審判をお願いしたり。年末だから楽しくやりたいっていうのもありましたね。結果、みんなの想いと想いが重なりあったり、ぶつかりあったりしながら、それぞれが前向きに進んでいけるようなポジティブな空気がそこにはあって、胸がいっぱいでした。
大武
あの日はなんか得体の知らない力があったよね。凄まじかった。
とだ
そうそう。みんなそれぞれ紆余曲折あって迎えた日ではあるけど、今回の僕らの状況を自分のことのように感じてくれた気もして。そういう意味でもひとつになった感じがしました。すごく力をもらったし、忘れられないです。
大武
応募してくれたドラマーの方たちも最初はちょっとバチッ!とした空気だったんですけど、最終的にはマシータさんとか先輩ドラマーを中心に乾杯していて。その日のことを僕らだけじゃなくて、関わってくれた人が“良かったね”って言ってくれたのが本当に嬉しかったです。

そこにあふれていたのは、突然少年が知らず知らずのうちに周りに与えていた力でもあったんじゃないですか?

とだ
うーん…そうだったら嬉しいですけど(笑)。

で、このドラマー募集の流れのひとつのかたちとなるのが、このミニアルバム『辺りを見渡せばきっと側に誰かいる』なわけですね。マシータ(ex.BEAT CRUSADERS)さん、川﨑 昭(mouse on the keys)さん、岡山健二(classicus)さんの3人の先輩ドラマーが1曲ずつ参加してますが、選曲はどう決めたんですか?

とだ
ヨッシーの引退を受けて選んだ3曲みたいなところはあります。「ギター」は大まかに言えば初めてギターを触った時の感触を歌った曲で、僕らもギターがないと成立しないバンドだから大事な一曲だし。「メモリートレイン」は歌詞にも《出会って別れて》ってあるんですけど、『フジロック』が終わったあと、ヨッシーと作った最後から2番目の曲でもあるんです。これはどうしても入れたかった。「フロムアンダーグラウンド」は僕らが昔からやってる曲で、今まで一番ライヴで演奏してると言ってもいいんじゃないかな。

「メモリートレイン」はやっぱりそうだったんですね。イントロの高揚感と歌詞のぼんやりした感じは、現状を表現している気がしてました。

とだ
去年の8月は信じられないくらいギスギスしてたし、常に“俺は何をやってるんだろう”って気持ちでした。自己嫌悪にもなったけど、“何かチャンスがあるんじゃないか”“やっぱり4人でやりたい”って気持ちがもちろんあったから、上手くいかないモヤモヤした気持ちとか、現状が一番リアルに詰まっている曲だとは思います。
大武
こうして出会ったドラマーや、3人になったことで力を貸してくれた人はもちろん、特に僕らはいろんな場所でライヴをして出会う人がたくさんいて、その人たちに再会できるようにっていう想いもあって活動しているので、今までの出来事も浮かびます。ヨッシーのことだけじゃなくて、過去を振り返った時に“もっとあの時の自分にできることがあったんじゃないかな”って、自分がしたことに対しての後悔があるんですけど、その想いも込みで、いろんな気持ちを力にして歌ってます。
とだ
この曲はこれからライヴでやればやるほど意味が広がっていく気がするんですよ。今のせんちゃん(大武の愛称)の話を聞いても、まだ具体的じゃない部分があると思ったし。
L→R とだげんいちろう(Ba&Cho)、大武茜一郎(Vo&Gu)、カニユウヤ(Gu)
L→R とだげんいちろう(Ba&Cho)、大武茜一郎(Vo&Gu)、カニユウヤ(Gu)

OKMusic編集部

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