【Kidori Kidori】足し算引き算の先
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前作『El Blanco 2』から約半年振りのリリースとなるEP『El Urbano』は、日本語の新曲3曲+洋楽カバー3曲を収録! “都会”をテーマに、現在、さらに次なる作品への伏線まで示した今作についてマッシュ(Vo&Gu)に訊いた。
取材:高良美咲
2014年は活動の拠点を大阪から東京に移したり、メンバーがふたりになったりと、変化が多かった年だと思います。振り返ってみてどのような1年でしたか?
大変でしたが、さまざまな部分で成長できた年になりました。そのおかげか、“これから”の話をよくするようになったと思います。
そんな中、8月13日にリリースした前作『El Blanco 2』ですが、ライヴで演奏してみて手応えはどのように感じていますか?
とても反応が良くて、本当に嬉しかった。リード曲である「Come Together」はもちろん、日本詞の「テキーラと熱帯夜」もライヴでは定番曲になっています。ヘンテコとマニアック、おとぼけとキャッチー、これら全部がKidori Kidoriなのだと伝わってきたような気がします。
2月18日にリリースとなった今回のEP『El Urbano』は、いつ頃から制作に取り掛かったのでしょうか?
いつ頃かは思い出せないのですが、そんなに遠くない気がします。やはり今のバンドの状態がパッケージされているものがいいと思っていて、そういう曲もできてきたので、それらの曲の集まりである今回は、“都会”というタイトルにしようと思いました。
今作には新曲3曲と洋楽カバー3曲が収録されていますが、このようなかたちの作品にした理由は?
今作は先に出るアルバムを見越した作品なので、自分の中ではシングルというか、アルバムのサイズダウンしたものという頭でいて、シングルならばカップリングにカバーが入っているものも多いし、どんな趣向のバンドなのかも伝わるし、何より若い人が洋楽に触れるきっかけになればいいなと思って収録しました。
日本語の楽曲はこれまでにもありましたが、収録された新曲の3曲全てが日本語の楽曲であるというのも最初から構想の中にあったのでしょうか?
最初からと言っていいかは分かりませんが、面白いものを作ってやろうとは考えていました。
「ホームパーティ」は初めての日本語詞リード曲ということで、今のKidori Kidoriを前面に押し出した楽曲だと思うのですが、制作時はどのようなイメージを持っていたのでしょうか?
今の自分たちを出しつつ、きちんと伝わるもの、それでいて楽しい曲なら最高だと思って作りました。かつ、先に出すアルバムの伏線というか、どういうものになるのかというヒントも忍び込ませようとしました。結果、きちんとそういうものになったと思っていますが、制作の作業は本当に難航しました。自信がある曲なので、妥協はしたくなかったです。今はいいものを作ったと思っています。ライヴでもすでに定番曲で、いろんな感情が見え隠れする曲なので、お客さんの反応というか、曲を聴いてのリアクションからも、“あぁ、Kidori Kidoriなんだなぁ”と思いますね
「記号の街」は落ち着いた雰囲気に乗った意味深な歌詞、淡々と繰り返されるフレーズが印象的でした。
音楽を聴きながら街を歩く際に視界に入るものに合ったBGMを選曲する遊びが好きで、渋谷の街を歩いているとファンキーなものがしっくりきたので、そういうバッキングにして、都会に迎合しようとする田舎者の自分を表すべく、フォーキーなメロディーを乗せました。
3曲目の「PJ状態」は昨年ライヴ会場限定でリリースした7インチレコード『Limited e.p 3』にも収録されていますが、今作にも収録しようと思った動機は?
今作の日本語3曲には役割があって、「ホームパーティ」は今の暮らしや生活、「記号の街」は見えているもの、そして「PJ状態」は気持ちを表しています。今作にこの曲を収録したのは、この曲に込めた気持ちを今も持っているからです。
3曲の洋楽カバーが収録されていますが、誰もが知っているであろう「Take Me Home, Country Roads」はひと筋縄ではいかない、良い意味で期待を裏切るようなアグレッシブなアレンジに吃驚しました。
元気いっぱいのアレンジになったと思います。みんな知っている曲なので、自分たちらしさを入れようと思って、このようなアレンジにしました。
続くThe Smithsの「There is a light that never goes out」は壮大でどっしりと構えた大作に仕上がっていまね。この楽曲の選曲の理由は?
カバーの3曲は洋楽を聴かない人にとって、初級、中級、上級という並びで収録されていて、これは中級編です。コンセプトに沿っているものの中でこのような並びにすることも先に考えていたので、中級編ではロックをこじらせてきたくらいの時期に好きになった曲ということで、大好きなこの曲を収録しました。
Frank Zappaのカバー「Why Does It Hurt When I Pee?」は、今作をKidori Kidoriらしい遊び心で締め括る選曲ですね。どのようなアレンジにしようと考えていましたか?
原曲が面白くて壮大な曲なので、カッコ良いものにしようと思いました。今回、初めてカバーをやって、これらの曲の素晴らしさを再確認し、曲のパワーというやつを本当に感じました。いくらいじくり回しても、もとの力が一番強い。なので、カッコ良くて面白いものになったと思います
さまざまな6曲が収録された今作の制作では挑戦がたくさんあったと思うのですが。
たくさんあります。作り手としてはそういうところにこそ力を発揮しなければならないので、本当にいろいろやりました。けど、そういった努力やテクニックの足し算引き算があって、その先の“=”(イコール)こそが大切なので、それを楽しんでほしいなぁと思います
作り終えた現在はどのような心境ですか?
毎回思うのですが、子を思う母の心とはこのような気持ちなのだろうな、ということです。どの曲も愛おしく思っていますし、名曲と言われるものって、すごいなぁと思いました。新曲は日本語でやってどうなるかとも思いましたが、Kidori Kidoriらしい新譜になったと思います。
リリース後は2月25日に新代田FEVERにて『Kidori Kidori presents "1989"』を開催しますが、どのようなイベントにしたいですか?
来てもらえれば楽しい夜になるイベントにしたいなぁと思っています。素晴らしいバンドばかりなので、そうなると確信しています。
そして、6月には初の東名阪ツアーを行ないますね。
初めてのワンマンツアーなので、自分たちは一生忘れないと思いますが、同じ気持ちを来てくれた人にも持って帰ってもらえるようなものにします。あと、ドラムの川元はツアーまでに10キロの減量をするそうです。失敗したらお寿司をおごってくれるそうなので、失敗しないかなぁと思っています(笑)。
最後に、2015年の活動の目標は?
今年はいろいろなことをやります。それらがきちんと楽しいものとしてたくさんの方に伝われば、2015年はいい年になったと言えると思います。
- 『El Urbano』
- RDCA-1038
- 2015.02.18
- 1620円