【ANABANTFULLS インタビュー】
地道に進んできた自分たちを
讃えるアルバムにしたかった
埼玉は北浦和にて結成された4人組ロックバンド、ANABANTFULLSが3年振りのニューアルバム『自然発火』をリリース。ポジティブなパワーが炸裂する骨太なロックサウンドに“このまま突き進んでいく”という覚悟と情熱を注ぎ込んだ、自分自身を鼓舞する今作について語ってもらった。
“がらりと変えない、
アナバンはこのままでいく”が
コンセプト
アルバム『自然発火』からは迸る野心をひしひしと感じましたが、結成してからの6年間はどんな時間でしたか?
鯉沼
メンバーに対しての信頼も増したし、“こうやって生きていくんだ”って思い描いて突き進んだ6年でした。今も“まだまだ突き進む”っていう気持ちのままです。
松村
6年経った実感はなく、あっと言う間でしたね。こうして飽きずに続けていけるのは、常に新しいことに挑戦できているからだと思います。
小林
僕の人生の中で一番感情的になっている6年間です。だからなのか、とにかく早かった。最近では対バンするバンドから刺激を受けることが多くなり、まだまだこれからだなとわくわくしています。
安田
決して楽しいことだけではなかったですし、バンドとしてストレスフルな時期もあったんですけど、ただ今はそれと上手く向き合えて、それぞれがユーモアを手にして同じ方向に向かっていると思います。
アルバムとしては前作『BAKAMANIA』から約3年振りとなりますが、2017~18年にリリースした会場限定シングル2作「乾杯!」「目を覚ませ!」を発表した時点で、今作についてのイメージはありました?
安田
“3年掛けてアルバムを作るぞ!”というイメージは特になくて、ライヴをして、スタジオに入って、いい曲ができたら新鮮なまま聴いてほしいという気持ちがあったので、シングルを続けてリリースしたんです。アルバムに収録されたシングルの楽曲は今でもアナバンの血肉になっているので、『自然発火』までの流れとして美しいと思っています。
アルバムの制作はどんなことから取り掛かっていったんですか?
安田
メンバーの気持ちがどの方向に向いているのかを一番先に確かめました。“堂々の開幕宣言!”という感じではなく、ここまで積み重ねた経験、地道に進んできた自分たちを讃えるアルバムにしたかったというか。端的に言うと、“がらりと変えない、アナバンはこのままでいく”がコンセプトで、メンバーも同じ方向を向いていると思います。
毎回気合いが入っている作品であることはもちろん、今回はよりバンドを見つめ直してからのリリースだったのでは?
安田
僕らはかなりのライヴ本数をやってきていて、ガラガラのライヴハウスでノルマ払って、バイトに行って、お金がなくて、疲弊して…みたいなループにずっと入っていたから、自分たちを見つめ直すのがずっと怖かったんです。だからこそ、今回のアルバムリリースが決まる少し前からバンド内である程度の取り決めをして、辞めてしまうような強いストレスをメンバーに与えない活動にシフトしました。強い意志表示に見える文言も、続けていく将来が明るくなったからだと思います。
今作は「Brother」の殺伐とした雰囲気を醸し出すリフで力強く幕開けを飾っていて。タイトルからも分かる通りバンド仲間や身の周りの人のことを想像して書いた曲なのかと。
安田
アナバンの強みはリフで、『BAKAMANIA』もリフで始まっているので、そこは意識しました。アナバンのひとつの美学になればと。歌詞については聴いた人の解釈が全てだと思ってますが、僕の今目の前にいる人、すぐ近くにいる人について書いています。
“太陽まで”という意味を持つ「アンテイルザサン」を聴いた時に“ここから這い上がっていくぞ!”という決心が伝わってきましたが、同時に陰を感じる瞬間もあって。
安田
これは自分の人生について深く考えていた時期に書いた曲なんです。バンドを辞めるという選択肢はなかったんですが“だったら、なぜ辞めないんだろう。ただの意地? ただ怖いから?”と頭をぐるぐるしてるうちに、シンプルに“僕は前を、上を向いて生きていたいんだ!”と思って。僕がバンドをやってる理由、そんな曲です。メンバーもこの曲をやってる時は目の色が違うんですよね。