【ハンサムケンヤ】『もしもケンヤが
ハンサムだったら2012』
2012年4月18日@下北沢CAVE BE


取材:土内 昇

客電が落ちるとステージを遮っていたスクリーンに映像が映し出される。新曲のPVか?…と思っていたら、すぐさま映像を中断させてスクリーン脇から所属レーベル“古都レコード”代表の新井ポテト氏が登場。その関西人特有のトークで観客の“いよいよライヴが始まる!”という期待感を笑いに変え、場の空気を微妙な感じにしてしまったのだが、それをオープニングナンバー「ダウンロード世代」の躍動的なバンドサウンドが見事に払拭した。サポートとはいえバンドメンバーの器量や個性の強さが、この時点でうかがえる。そして、そんな強力なバンドの熱量と別次元にある温度感で淡々と歌うハンサムケンヤ。ギターを抱えてフロントに立つ彼の姿は金髪に黒のセルメガネ、一番上のボタンまでしっかりと留められた赤のカウボーイシャツ…と見るからに異彩を放っている。もちろん、惹き付けられるのはそこだけではない。どこかシニカルでユーモアもある歌詞は自身の日記だと語るように、青春期の幻想と現実の狭間で揺れる心の叫びであり、永遠のロック少年が抱く夢であり、《唄には未来を 声には今の僕を》や《夢を見ている大人たち 夢を持ってる子供たち》などセンスフルに綴った言葉の裏にある想いを後味として残していく。まったくもって強烈なキャラだ。さらに、古き良き時代のロックや歌謡曲、ニューミュージック、関西ブルース等のエッセンスを感じさせつつも全てをポップに昇華し、“◯◯っぽい”などと思わさない個性的な楽曲のインパクトも絶大。歌詞であり、歌声であり、サウンドアプローチであり、一曲一曲が彼の側面を切り取っていると言える。また、ひと筋縄ではいかないバンドアンサンブルがうねればうねるほど、飄々としたヴォーカルの存在が際立ち、よりキャッチーな印象を残すのも特筆すべきところだろう。本人がハンサムかどうかはさて置き、なんか憎めない奴というか、ますます気になる存在となったことは言うまでもない。
ハンサムケンヤ プロフィール

1987年生まれ、熊本県出身のシンガー・ソングライター。2011年より本格的に活動を開始。同年5月、立命館大学在学中にバンド仲間とインディ・レーベルの古都レコードを立ち上げ、その第1弾アーティストとして1stミニアルバム『これくらいで歌う』をリリース。映像作家の椙本晃佑によるアニメーションやCGを取り入れた同作の収録曲「蟲の溜息」「これくらいで歌う」のビデオ・クリップが、動画サイトを中心に話題となる。同年8月、1stフルアルバム『エフコード』を発表。ポップなメロディを届けるどこか捻れたバンド・サウンドと日常を描きながらも非日常に誘うかのような歌詞世界で、徐々に注目を集めていく。2012年7月、「集積ライフ」「カサブタ」を配信リリースし、メジャーデビュー。同年10月には、メジャー1stミニアルバム『ゴールドマッシュ』を発表。2013年2月、メジャー2ndミニアルバム『ブラックフレーム』をリリース。とにかくクセになるポップ・ワールドはその人気をさらに拡大し、2014年3月には待望のメジャー初フルアルバム『アムネジア』を発表したオフィシャルHP
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