L→R 橋本 薫(Vo&Gu)、稲葉航大 (Ba)、熊谷太起(Gu)

L→R 橋本 薫(Vo&Gu)、稲葉航大 (Ba)、熊谷太起(Gu)

【Helsinki Lambda Club
インタビュー】
原点に立ち返るコンセプトで作っても
面白いものに仕上がる自信があった

1年振りの新作となる「Good News Is Bad News」は配信シングルとライヴ会場限定の音源付きTシャツでリリース。ジャケットはスペインのバルセロナを中心に、世界中で活躍しているイラストレーターのCristina Dauraが手掛け、海を越えたコラボレーションが実現しつつ、楽曲は原点に立ち返ったサウンドとのこと。毎回興味を引くアプローチを続けるHelsinki Lambda Clubの現在について、橋本 薫(Vo&Gu)を直撃した。

まだ若いって思えるうちに
若さが必要なロックを鳴らしたかった

ジャケ写にこだわった前作ミニアルバム『Tourist』(2018年12月発表)をはじめ、8センチシングル、USBでのリリースなど、“音楽をどう届けるか”を常に考えてきたバンドだと思いますが、さまざまなアプローチをしてみての感触はいかがですか?

正直なところ自分たちが常に楽しみたいという自己満足的な部分もあるので、“こういった試みでバズろう”と考えているわけではないのですが、毎回納得のいくかたちでリリースができています。バズりはせずとも、そういったパッケージングから興味を持ってくれた人たちも確実にいますし、バンドを応援してくれている人には僕らが作品作りに誠実かつ楽しんで向き合っている姿勢がよりしっかりと浸透してきているんじゃないかと。

“手に取れるもの”でのリリースを続けることにはどんな想いがあるのでしょうか?

時代は変わりますし、単純に資源という観点で言えば漫然とCDでリリースを続けるというのは理にかなっていないと思います。ただ、音楽には音以外に込められた想いであったり、喚起される風景や匂いもあるので、そういった部分を余すところなく伝えようとするという意味ではアートワーク含め、聴覚以外の感覚に訴えるものを媒介するのは非常に有用だと思っています。あとは、ものを買うというひと手間があると、音楽を聴くことの間にその人のストーリーが加わることもあると思うので、より長く作品を愛してもらえるきっかけにもなるんじゃないですかね。

今作「Good News Is Bad News」は配信シングル&音源付きTシャツ(ライヴ会場限定)としてリリースされるわけですが、Cristina Dauraさんにジャケ写のデザインをお願いした理由は?

もちろんイメージに合いそうという気持ちもありましたが、彼女の作品にとにかくビビッときたという点が一番大きくて、良い意味で想像を裏切ってくれそうだと思ったからです。作風が多様だし、必ずどこかに癖みたいなものが表れていて、そういった部分もヘルシンキの音楽と共鳴するものがありそうだなと。

今回は“よりカルチャーをクロスオーバーさせた作品を作ってみたい”という想いがあったそうですが、Tシャツを含めてひとつの作品にするというアイデアはイラストが完成する前からあったのでしょうか?

Cristinaにお願いする前から構想としてありましたが、Cristinaにお願いしたことで海を越えたつながりで作品ができたので、さらにワクワクできるものになりましたね。アイテムに関してはいろいろと悩んだんですけど、やはり手に取りやすいものがいいというのと、ファッションとも絡んでいくことでまた違ったジャンルの人たちの目にも届くかと思ったり、セレクトショップで置いてもらっても面白いと思ったからです。

今作の収録曲は“初期のヘルシンキのサウンドにもう1度アプローチしてみよう”という構想から始まったとのことですが、そういった構想が生まれたきっかけは?

僕が今29歳で、世間的に見ればギリ若者っていう世代かと思うんですけど、まだ若いって思えるうちに若さが必要なロックを鳴らしてみたいと思ったんです。ギターが熊谷になってからはあまりそういう雰囲気の曲は作っていなかったんですけど、もともと熊谷とはガレージロックの趣味なんかも合うので、今のメンバーでもう1度そういう曲を作ってみたいという気持ちもありました。

ヘルシンキは現体制になってからグルーブ感がどんどん増していっている印象があり、自然と新しい楽曲が生まれているように感じます。そのモチベーションのままに初期のサウンドを意識したらまた違ったものが作れるという自信もあったのかなと。

原点に立ち返るコンセプトで作ったとしても、重ねた年月やプロセス的に確実に進歩の形跡は見えるので、ちゃんと面白いものに仕上がるという自信はありましたね。なので、立ち返ると言いつつも当初思い描いていた音像からはかなりずれた部分もあります。そこは成り行きに任せました。

楽曲に関しては“肩の力が抜けつつもグルーブを意識したサウンドになっている”とコメントにありましたが、それは「PIZZASHAKE」(2018年6月発表の配信シングル)以降からバンドの強みになっている気がします。あと、ここ1〜2年のヘルシンキには自然体になっている印象もあって。

マインドとしてはあまり変わっていませんが、やはり今のメンバーになって、音楽的にかなり信頼できるようになり、メンバーのアイデアを取り入れる比重が大きくなったことが自然体という部分には影響していると思います。信頼関係は大事ですね。
L→R 橋本 薫(Vo&Gu)、稲葉航大 (Ba)、熊谷太起(Gu)
配信シングル「Good News Is Bad News」

OKMusic編集部

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