L→R 小室ぺい(ギボ)、やぎひろみ(ジャズマスター)、松島早紀(ベイス オン ベイス)、岩方ロクロー(ドラムス)

L→R 小室ぺい(ギボ)、やぎひろみ(ジャズマスター)、松島早紀(ベイス オン ベイス)、岩方ロクロー(ドラムス)

【ニトロデイ インタビュー】
名盤を作る。
そして、時代に名を刻みたい

要注目の新人バンド、ニトロデイの2nd EP『レモンドEP』がここに完成。ヒリついたロックを搔き鳴らす、前作以上にポップなエッセンスを加えたかったという今作にはバンドの飛躍的な成長が刻まれている。小室ぺい(ギボ)に直撃した!

バンド自体は2016年3月に結成されたそうで、男女比2:2という編成もちょっと珍しいですね。

結果的にそうなっただけです。やぎ、松島は趣味が合ったし、岩方は身近で叩ける存在だったので。同性も異性もどっちでも良かった。結成時はまだバンドとして何も固まってなかったけど、このままのシーンが続くなんてつまらないなという気持ちは強かったんです。当時はそんなに日本の音楽を知らなかったという側面も大きいけど、邦楽シーンは自分にとってリアルじゃないものがはびこってるイメージでした。“表面だけで音楽をやってんのかよ、こいつら”って思ってた。今では突然少年、BALLOND'OR、uri gagarn、ナードマグネット、THIS IS JAPANとか素晴らしいバンドもたくさん知っていますけど。

ニトロデイを形成する上で影響を受けたアーティストというと?

The Smashing Pumpkins、Weezer、The Rentals、FOW、BLACK KIDS、New Order、Pixies、NUMBER GIRL、スーパーカー、Syrup16g、ART-SCHOOL…などで、サウンド面や歌詞だったり、曲調だったり、バンドとしての在り方だったり、いろんなところで影響ありですね。

「青年ナイフ」のMVの中で小室さんはG.B.H.のTシャツ、岩方さんは原爆オナニーズのTシャツを着てますが、パンク、ハードコアも好んで聴かれるんですか?

初めて出会ったハードコア的な音楽は岩方の父がやっていたWORSTVISIONで、ハードコア自体は本当にたまに聴くくらい。ハードコアテクノの方が聴きますね。

高校生の時に『RO69JACK 2016』で優勝し、その後『COUTDOWN JAPAN 16/17』に出場しましたが、優勝した時はどんな心境でしたか?

優勝が決まる前までは自分がバンドをやることに投げやりになりかけていたことも考えると、自信を持ち直す契機になりました。振り返ると、『COUNTDOWN JAPAN』の演奏は下手くそながら頑張った。あの時点での全力は出せました。セットリストを勝手に変えて怒られたのも良い経験で、間違いなく今に活きてると思います。

昨年7月に出したEP『青年ナイフep』は現在の自分たちから見返して、どんな位置付けの音源と言えますか?

思ったより多くの世間の人や自分が尊敬するミュージシャンの方々にまで届いたというのは驚いたし、嬉しかったですね。ただ、今思うと詰めが甘い部分もあるなと。この時は曲の方向性も好き勝手に書いていたし、歌詞も何も考えずに書いていました。今はある程度スタイルを確立させた中でいろいろやるようにしています。今では短歌に出会ったことで、一語一語の重みを意識して言葉を置けるようになったかな。

今作『レモンドEP』は約1年振りの音源ですが、この1年はどんな期間でしたか?

バンドとして何がやりたいのか、それが固まってきた中での第一歩になりました。したいことはできたんで、あとは聴いた人の反応が少し気になりますね。

バンドとして固まってきた部分とは?

言葉にするのは難しいけど、前作で“グランジが~”“オルタナが~”とか言われて、“マジでそういう枠でしか語れないのかよ、ライターのくせに”とか思うことがすごく多かった…まぁ、前作を聴けばそんな語りになるのは文句が言えないとも思うんですけど、そこから脱したかった。もちろん大事なルーツのひとつではあるんだけど、自分のポップなエッセンスをそこにもっと加えたいって思うようになりました。

なるほど。今作は“夏”をテーマに制作されたそうですが、夏にはどんなイメージを抱いてますか?

周りの人たちはみんな頭が暑さで茹で上がってるから、現実の夏はまったく好きじゃなくて。それを無視すれば、夏は切なさがきれいでいい。

1曲目「レモンド」では《不甲斐ないな》《冴えないな》と歌詞を繰り返すフレーズがインパクト大で、とてもパワーがある楽曲だなと思いました。

いつかの夏の夕方、急に雨が降ってきたけど傘を持っていなくて、ずぶ濡れで帰っているのがとても不甲斐なかったし、冴えなかった。自分は曲を作る時に歌詞はあとで考えることが多くて、この時もそうなんですよ。ちょうど思い付いた曲、メロディーにこの体験だったり、風景だったりを思い出して重ねて出来上がっていったような感じです。

「グミ」は女性コーラスを効果的に活かし、今作の中でもキャッチーなナンバーに仕上がってますね。

ありがとうございます。ひねくれたポップが書けたと思います。随所で結構変なことをしてると思うけど、それをコンパクトに、ひとつの曲としてかたちにできました。あとは、歌詞も心にロマンを持って書けたので良かったなと。

ラスト曲「ユース」は7分超えの大作で、個人的にも好きな一曲です。曲調にストーリー性を感じさせ、小室さんの雄大な歌メロから後半にかけて絶叫に近い声質にスライドする展開にもドキドキさせられました。この曲は新たな挑戦という気持ちはありました?

作り方が他の曲とはかなり違いますね。新たな挑戦というよりは、試しにやってみたって感じです。まぁ、7分と長いのでアレンジは随所随所で力を入れました。やぎが作ってきたひとつのリフから、メンバー内でアイデアを出し合って曲を拡張させていったら7分を越すようなアレンジになりました。こういう作り方は初めてですね。特に2番の後の間奏がドラマチックになるよう心がけました。

曲作りで特に大事にしていることはあります?

このバンドでしか表現できないことをやろうと思ってます。自分の声は他の誰とも似ていないと思う…よく言われますし。でも正直、自分の声はまったく好きじゃなくて。その中でこの声が活きるような曲を作って歌詞を書いてます。いつか自分の声が好きになれたらいいなと思います。

最後に今後の夢や目標などがあれば教えてください。

名盤を作る。そして、時代に名を刻みたい。

取材:荒金良介

EP『レモンドEP』2018年7月25日発売 SPACE SHOWER MUSIC/Beacon Label
    • PECF-3205
    • ¥1,500(税込)
ニトロデイ プロフィール

ニトロデイ:神奈川県横浜市出身のギターロックバンド。90年代のオルタナティブロックから影響を受けたローファイな爆音グランジサウンドが特色。2016年3月に結成。同年12月の『RO69JACK』での優勝を経て『COUNTDOWN JAPAN』に出場し注目を浴びる。ニトロデイ オフィシャルHP

L→R 小室ぺい(ギボ)、やぎひろみ(ジャズマスター)、松島早紀(ベイス オン ベイス)、岩方ロクロー(ドラムス)
EP『レモンドEP』

OKMusic編集部

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