L→R gyary(Gu&Key)、三好空彌 (Ba)、松本幸太朗(Vo&Gu)、古俣駿斗(Dr)

L→R gyary(Gu&Key)、三好空彌 (Ba)、松本幸太朗(Vo&Gu)、古俣駿斗(Dr)

【東京少年倶楽部 インタビュー】
4人で作った作品っていう
感覚がすごく強い

東京少年俱楽部の2ndミニアルバム『自明の理』はメンバー4人の気持ちをひとつにしてできた作品。あらかじめコンセプトを決めずとも、真っ新な状態でバンドが表現したいことに向き合い、“今の東京少年俱楽部はこれです”と胸を張れる出来栄えになった今作について、松本幸太朗(Vo&Gu)に語ってもらった。

今思ったことをそのまま
詰め込むことができた

今回のタイトル“自明の理”は“説明する必要のない明白な道理”を表す言葉ですが、今は何でも説明しがちな世の中なのでインパクトがありました。

今作はメンバーと泊まり込みの合宿をして制作したんですけど、歌詞も狙わずに書いたというか、今思ったことをそのまま詰め込むことができたんです。前作の『空の作りかた』(2020年6月発表)では作れなかったようなバンドの変化が出ている曲もあり、今やりたいことができたと感じた時に“自明の理”という言葉が頭に浮かびました。タイトルに意味を持たせてコンセプトを設けるのではなく、“今の東京少年倶楽部はこれです”と言える作品になったので、一番しっくりきたんです。

やりたいことができたという手応えは合宿で制作したことも大きそうですね。

そうですね。滋賀県の彦根市にいつもお世話になっている楽器屋さんがあって、そこの建物の上の階で一週間くらい泊まり込みで作りました。自分の日常は音楽が大部分を占めているし、メンバーと一緒にいる時間も長いので、あまり頭で考えず、自然な感覚でできた曲が多いです。

M1「白昼堂々」はタイトル然り、前向きに進んでいく様子が描かれているように思えますが、Bメロあたりからノイジーっぽいサウンドも入っていて少し歪さがあり、音を詰め込んでいる印象です。

『空の作りかた』に収録されている「1998」のストリングスを逆再生して、リアンプして作りました。東京少年倶楽部が歩んできた過去を、この曲の背景に映すために入れたかったんです。今自分たちがやりたいことと、これから先の希望みたいな、“こういうのができたらいいな”っていうのを詰め込んでいて。gyary(Gu&Key/2020年1月加入)が入る前の、男の子3人でガチャンガチャンにやっていた頃から知ってくれている方にも、今作から知ってくれる方にも、自分たちのやりたいことを示したかったし、とにかく僕ら4人のために作った曲です。かなり意気込んで作りました。

「1998」は『空の作りかた』の最後に収録されている曲で、1作目の「ファーストシングル」(2018年11月発表のシングル)にも入っている、バンドにとっては思い入れの深い曲ですよね。その音がかたちを変えて鳴りながら、《今から始める全ては光になるずっと》と歌うサビには何だか励まされます。

誰かを励まそうと思ったわけではないけど、そう受け取ってもらえたら嬉しいです。この“光”って言葉は抽象的ですが、あえて具体的に書いていなくて。4人がやりたい音楽とか、ここから見たい景色だったり…僕は弾き語りを始めた17歳の頃から変わっていない感覚があるんですけど、それを言葉にできないから、ぼんやりと表現しました。

松本さんはこれまでの楽曲でも過去や時間の流れをとても大事にされていますが、それは東京少年俱楽部を結成してからですか?

それ以前の弾き語りをしていた時からずっと大事にしています。“忘れる”とか“記憶をなくす”って感覚は、実はないんじゃないかと思ってるんですよ。幼い頃に遊園地に連れて行ってもらったこととか、母の何気ないひと言、車の中で母がかけてる音楽を聴きながら見た高速道路の景色を、今でも機材車に乗ってライヴに向かってる時や、ふとした時に思い出すことがあるんです。年齢を重ねて…と言ってもまだ22歳なのでクソガキだけど、幼い頃から持っている感覚は、気づいていないだけで今でも変わらずに持っているものだと思っています。

今作には松本さんが十代の頃からあった曲も収録しているそうですが。

「僕の中に住んでる女の子」と「七月」は十代の頃からある曲です。今までは3人の頃の東京少年俱楽部と、今の4人の東京少年俱楽部をつなげようという感覚があったんですけど、今回はそういうのもなく、前の曲を引っ張り出してきてリアレンジしました。メロディーも変わったし、選曲もアレンジもすごく自然な流れでできたんです。

「七月」は“自明の理”という作品のタイトルにも通じるような、真っ直ぐな想い以外を取っ払って歌っているように聴こえます。

サビ以外の歌詞は18歳の頃からありました。学校を卒業すると、同じ教室にいた時は仲が良かった人ともだんだん関係性が変わっていってしまうじゃないですか。そういう生きていて何とも言えない変化に気がついた時に書いた曲です。その当時の想いを尊重したまま、22歳になった僕が受け継いで、サビはストレートに歌いたいと思って書き直しました。十代の頃は難しいことばっかり考えて、それを音楽にしがちだったけど、《帰り道にトイレットペーパー/買って帰らなきゃな》という最後のフレーズは、今の僕じゃないと書かなかったと思うし、生活感が出て素の姿に近づいていると思います。

十代の頃に比べて、ご自身の考え方がやわらかくなってきている実感はありますか?

あります。生活している環境だったり、周りの言葉にも影響されるし、これと言ったきっかけはないけど、時間の流れで徐々にそうなっていると思います。

ご自身のどんなところが変わったと思いますか?

前よりも社交的になりました。音楽と人は切り離せないので、自分の内面が明るくなった分、音楽にも影響してるのかなと思います。
L→R gyary(Gu&Key)、三好空彌 (Ba)、松本幸太朗(Vo&Gu)、古俣駿斗(Dr)
ミニアルバム『自明の理』

OKMusic編集部

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