ザ・ベンチャーズの
『コンプリート・ライヴ
・イン・ジャパン ‘65』は
ライヴアルバムの決定版!

『Ventures Complete Live In Japan ‘65』(’95)/The Ventures

『Ventures Complete Live In Japan ‘65』(’95)/The Ventures

60年代中頃、日本で一大ムーブメントを巻き起こしたエレキブームは、加山雄三や寺内タケシらの活躍によって、後のGS(グループサウンズ)の誕生やアマチュアミュージシャンの増加に大きな役割を果たしたと言えるだろう。その最初の火付け役となったのが、今回紹介するザ・ベンチャーズだ。当時の日本での彼らの人気は圧倒的で、海外で爆発的な人気があったビートルズ以上だった。この7月27日から9月11日まで、全国30カ所に及ぶザ・ベンチャーズ結成60周年の記念公演が行なわれる。とはいうものの、65年から現在に至るまで彼らは年に1回以上の来日をしており、日本人アーティストよりも公演回数は多い。「いつでも観ることのできる外タレ」は、いつの頃からかありがたみがなくなったのも事実である。毎回観に行くほどの熱狂的なファンは今でも少なくないが、昔からのファンの高齢化は確実に進んでいる。しかしながら、最近では若い人も増えてきている(家族ぐるみのファン)ようだ。また、ザ・ベンチャーズのコピーバンドは全国津々浦々、老若男女を問わず驚くほど多い。ベストアルバムを含めると100枚以上の作品の中から1枚を選ぶというのは困難な作業であるが、今回は絶頂期とも言える白熱した演奏が味わえる『ザ・ベンチャーズのすべて』(2枚組)のCD化『コンプリート・ライヴ・イン・ジャパン ‘65』を取り上げる。

60年代中頃の日本

僕が洋楽に目覚めたのは9歳で、生まれて初めて買ったシングルレコードはビージーズの「マサチューセッツ」(‘67)だった。この曲は海外のアーティストが初めて日本のチャートで1位を獲得したことで知られているが、今でも名曲中の名曲だと思う。ビートルズもヒット曲を出していたはずだが、なぜかまったく記憶にない。この頃は小学4年生、近所に10歳以上年上のおじさんと4歳上の従兄弟がおり、ふたりとも音楽が好きだったのでたぶん影響されたのだろう。当時子供の間で流行っていたのは、野球、プロレス、相撲、切手集め、テレビ鑑賞(洋画、海外ドラマ、時代劇、ヒーローもの)あたりであったか。平日、友達と夕方まで泥んこになって遊び、日曜日(うちはサラリーマン家庭であったが、当時は土曜日も休日ではなく父親は出勤していた)には母親に連れられてよく映画を観に行った。家族ぐるみの娯楽と言えば遊園地や映画ぐらいだったから、映画館はいつも混んでいた。ゴジラやガメラなどの怪獣映画はもちろん、加山雄三の若大将シリーズもよく観ていた。

エレキブームに一役買った
“若大将シリーズ”

人生が変わるような映画と出会ったのは、その頃だ。それが加山雄三の『エレキの若大将』(‘65)である。この映画でエレキギターのカッコ良さを知り、加山雄三や寺内タケシのレコードを貪るように聴いた。先駆者であるザ・ベンチャーズの存在はその後知った。60年代中頃、日本の洋楽ファンはエレキバンド一色ではなかったか。少なくとも僕の周りではそうだった。エレキブームは大多数の若者たちの支持を得て、テレビやラジオでのオンエアをはじめ、レコード店にもエレキ関係のレコードがたくさん置いてあった。海外のグループではザ・ベンチャーズ(アメリカ)の人気が断然トップであったが、スプートニクス(スウェーデン)、アストロノウツ(アメリカ)、シャドウズ(イギリス)なども人気があった。中でも、僕は寺内タケシが誰よりも好きで、彼のテクニックは海外のアーティストと比べても群を抜いていたように思う。彼や加山がよく弾いていたモズライトのギターがどの楽器店にも飾ってあったことを、昨日のことのように覚えている。

OKMusic編集部

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