コロナ禍の今、再び脚光を浴びる
レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン
の鮮烈なデビューアルバム
『レイジ・アゲインスト・
ザ・マシーン』
トム・モレロのバックボーン
モレロはジミー・ペイジとトミー・アイオミに影響を受け、自分のギタースタイルを作り上げたとインタビュー等で語っているが、2013年にリリースされたウディ・ガスリーの生誕100年を記念したトリビュート作品『Woody Guthrie At 100 ! Live At The Kennedy Center』(CD & DVD)にも、ライ・クーダー、ジャクソン・ブラウン、ジョン・メレンキャンプ、ランブリン・ジャックらとともに参加しており、生ギター1本でウディ・ガスリーをカバーしている姿を見ると、フォークリバイバルに影響を受けたインテリ(実際、モレロはハーバード大学卒)のフォークシンガーにしか見えない。モレロは思想的にもガスリーの影響を受け、レイジの音楽を構築していったのだろう。彼の音楽的および政治的なバックボーンはフォークリバイバルにもあるようだ。
ちなみにウディ・ガスリーは反体制のシンガーソングライターで、ボブ・ディランやランブリン・ジャック・エリオットをはじめ、後のアメリカのフォーク、ロック全体に大きな影響を与えた巨人である。
オルタナティブ・メタル
(ファンク・メタル、ラップ・メタル)
ヘヴィメタルとファンクがミックスされるのは、80年代にフィッシュボーン、リビング・カラー、バッド・ブレインズなど、それまではほとんど存在しなかった黒人ロックグループが参入するようになってからのことだと思う。そして、黒人音楽の世界でラップが登場すると、今度は白人がラップを取り入れるようになり、ロックはどんどんオルタナティブ化していく。92年頃はまだそういった音楽は散発されているにすぎず、ファンクメタルとかラップメタルという言葉はなかったはず(そう記憶している)であるが、レイジの登場によってそれらの音楽が明確に認識されるようになり、オルタナティブメタルという概念が現れることになる。