仏コメディ映画の愛すべき鬼才、
ジャック・タチの世界を彩った、
楽しさあふれるサウンドトラック
ヴィジュアル・コメディという
領域を確立する
サウンドトラックであるから、本当は映像を観ながら聴くのが一番だとは思う。ぜひ、レンタル店、ダウンロード配信なども利用されて、『ぼくの伯父さん』や『プレイタイム』をご覧になっていただきたい。どちらも独特の小粋な笑い、ペーソスがあり、平穏で満ち足りた気分にさせてくれること請け合いだ。意地悪で、危険な登場人物はまず出てこない。それに、わざとらしいウケ狙いの笑い、ギャグ、作為的な仕掛けがこらされることもない。登場人物の何気ない動作、特に『ぼくの伯父さん』に出てくるコートにチロリアン風ハット、いつも手にしているステッキ、パイプをくわえたジャック・タチ演ずる「ユロ伯父さん」の愛すべきキャラぶりには一度目にしたら忘れられないものだと思う。このユロ伯父さんのキャラクターはジャック・タチの他の作品でも度々登場し、観る者を和ませてくれる。