80年代以降の音楽の構造を
変革したクラウト・ロックの鬼才
ホルガー・シューカイの傑作
『ムーヴィーズ』
音楽の制作スタイルさえ変えてしまった
シューカイの革新性、智能
『ムーヴィーズ』以降、特に次作となる『ノーマルの頂へ(原題:On the Way to the Peak of Normal)』(‘81)も高い評価を受け、世のシューカイへの注目はもちろん、カンへの再評価も高まり、80年代以降、それまで一般には関心を持たれなかったカンやジャーマンロックに光が当たるようになった。ジャーマンロックという言い方さえ、90年代に入るとクラウト・ロック(語源はドイツの一般的な食品ザワークラウトから来ている)と呼び名を変え、今や日本のマーケットでも特別なものではなくなっている。シューカイの功績と言ってもいいかもしれない。
TEXT:片山 明