フールズ・ゴールドの2ndアルバム
『ミスター・ラッキー』は
歌も演奏も文句なしの傑作
イーグルスの弟分
フールズ・ゴールドというグループ
イリノイ州出身のケリーとヘンソンは1969年頃からザ・ギルドというブレッド風のソフトロックグループで一緒に活動しており、シカゴのソウルレーベルであるトワイナイトから1枚、72年にはエレクトラからも1枚、それぞれシングルをリリースしているが鳴かず飛ばずであった。
メンバー4人がフールズ・ゴールドとして揃ったのは74年、同郷のシンガーソングライター、ダン・フォーゲルバーグのツアーバンドとしてオーディションで集まったのがきっかけだ。売れっ子のフォーゲルバーグのバックを務めたことで、多くのアーティストに彼らの名前が知られるようになる。翌75年、グリネールは、ジム・ゴードン(元デレク&ドミノス)が抜けたサウザー・ヒルマン・フューレイ・バンドのドラマーに抜擢されるが、1年経たずにグループは解散、すぐにフールズ・ゴールドに出戻らざるを得なくなった。
76年、フォーゲルバーグの口利きで大手のアリスタ(所属はフォーゲルバーグの持つモーニング・スカイ・レーベル)から1stアルバム『フールズ・ゴールド』をリリースする。前述したように、このアルバムはケリーとヘンソンの優れたソングライティングとイーグルス譲りのコーラスを武器に、デビュー作ながら優れた内容となった。特に、ジョー・ウォルシュが参加した「カミング・アウト・オブ・ハイディング」やドン・フェルダーが参加した「レイン・オー・レイン」などはウエストコーストロック史に残る名曲だと言えるし、フォーゲルバーグ作の「オールド・テネシー」はオリジナル録音(『囚われの天使』(’75)所収)よりも出来が良いのではないかとさえ思う。