音楽フェスよ、不滅であれ。心が震えたあの曲・あのフェスTOP5

音楽フェスよ、不滅であれ。心が震えたあの曲・あのフェスTOP5

音楽フェスよ、不滅であれ。
心が震えたあの曲・あのフェスTOP5

日本にもようやく根づいた音楽フェス文化。しかし、今、再開どころか存続すら危機的状況に追い込まれている。価値観や常識、モラルは個々に異なるし、参加した人、そのフェス開催によって影響を受けた人、それぞれに言い分があるのも分かる。けれど、大規模イベントの中で音楽フェスだけがひと括りに叩かれ続けるのはいかがなものかという想いは拭えない。そこで今回は、音楽フェスで観た素晴らしい景色を曲とともに振り返ってみよう。
「Live Forever」収録アルバム『Definitely Maybe』/Oasis
「Who Are You」収録アルバム『Who Are You』/The Who
「We Will Rock You」収録アルバム『News Of The World』/Queen
「Creep」収録アルバム『Pablo Honey』/Radiohead
「日曜日よりの使者」収録アルバム『THE HIGH-LOWS』/↑THE HIGH-LOWS↓

「Live Forever」(’94)/Oasis

「Live Forever」収録アルバム『Definitely Maybe』/Oasis

「Live Forever」収録アルバム『Definitely Maybe』/Oasis

日本最後のショーとなった09年の『フジロック』がよく語られるけれど、個人的には初めて観た01年の『フジロック』でのパフォーマンスが圧倒的に素晴らしかった。彼らが奏でる極上の音楽と苗場の大自然に身も心も包まれて、お酒も入って気分は最高潮。そんなフェスの醍醐味を教えてくれた世界的モンスターバンド、オアシスのショー体験は、筆者の英国とグラストンベリーへの憧れを一気に加速させ、彼らの故郷マンチェスターで暮らし始める原動力のひとつに。今月公開される映画『ネブワース1996』の先行公開ライブ映像でもこの曲が取り上げられているように、オアシス作品を代表する傑作。先週の『レディング』出演時、リアムはこの曲をチャーリー・ワッツに捧げている。

「Who Are You」(’78)/The Who

「Who Are You」収録アルバム『Who Are You』/The Who

「Who Are You」収録アルバム『Who Are You』/The Who

『グラストンベリー・フェスティバル』に初参加した07年。ヘッドライナーはアークティック・モンキーズとザ・キラーズ、そしてザ・フーだった。この曲が始まった途端、「Who are you?」と曲に合わせて話しかけ、「ひとりでいないで仲間に入れ!」と大勢で賑わう方を指す男性が現れた。幼い孫を含めた3世代家族で楽しんでいるという。聞けば近所に暮らし、グラストに50年通っているという。ザ・フーが素晴らしかったのはもちろんだが、フェスが地域に根づき、老若男女がロックを楽しむ風景を日本ではまだ観たことがなかったのでとても羨ましく思えた。日本から来たと告げた時、「私たちの祭りにようこそ!」と言った彼の言葉と笑顔がフェスのもたらす豊かさを象徴していた。

「We Will Rock You」(’77)/Queen

「We Will Rock You」収録アルバム『News Of The World』/Queen

「We Will Rock You」収録アルバム『News Of The World』/Queen

これぞフェスというシーンで忘れられないのが、ロンドンのハイド・パークで観たフーファイターズ公演でのセッションだ。アンコールでデイヴがこの曲を叩き始め、シークレットゲストとしてイギリスの至宝クイーンのブライアン・メイとロジャー・テイラーが現れた。生クイーンを観たことがなかった筆者にとっては目の前の光景が信じがたく、興奮を通り越してアドレナリンが瞬時に噴出。当時は現在ハイドパークで行なわれている夏フェスの創生期で、フーファイターズがイギリスでの地位を確立した公演でもあった。モーターヘッドがオープニングアクトを飾るなど、世界の都市型フェスの一遍を8万人とともに体感。この日の模様は映像商品化されている。

「Creep」(’92)/Radiohead

「Creep」収録アルバム『Pablo Honey』/Radiohead

「Creep」収録アルバム『Pablo Honey』/Radiohead

前身の富士急ハイランドサイウンドコニファー時代から参加し続けてきている『サマーソニック』。最も感動的だったステージは03年のレディオヘッドだ。彼らにしか生み出せない音でじわじわと織りなされ、積み上げられてゆく独自の世界観にグッと引き込まれきっていた数万のオーディエンス。そこに「やらないだろう」と思われていた「クリープ」が突如投下されたあの瞬間に感じた“奇跡って起きるんだな”という他では得がたい喜びの感覚や、スタジアム上空に弧を描いて浮かんだ月と音との神秘的な融合の様は18年経った今でも鮮明に覚えている。現在、今年開催のぜひがマスコミに取り沙汰されているが、海外音楽を日本に伝える貴重な日本を代表する音楽フェス。

「日曜日よりの使者」(’04)
/↑THE HIGH-LOWS↓

「日曜日よりの使者」収録アルバム『THE HIGH-LOWS』/↑THE HIGH-LOWS↓

「日曜日よりの使者」収録アルバム『THE HIGH-LOWS』/↑THE HIGH-LOWS↓

最後は日本のフェスの素晴らしさを初めて教えてくれた日本のバンド、ザ・ハイロウズ。日本ロック史の宝である甲本ヒロトと真島昌利はザ・ブルーハーツ時代も現在のザ・クロマニヨンズでも全国のフェスに引っ張りだこであるのは周知の事実だが、筆者が初めて観たのは97年の嵐の『フジロック』だ。あの日も最高だったが、その上をいったのが同じく『フジロック』での02年のステージ。ロックを愛する人の放つ音楽と言葉とその優しさ、それをともに体感する万人のオーディエンスが存在する心強さ、そして、それら全てを包み込むフェスティバルという巨大な音楽空間の偉大さに心から感動し、生きていて良かったと思えたあの経験こそが現在もフェスに関わる根幹となっている。

TEXT:早乙女‘dorami’ゆうこ

早乙女‘dorami’ゆうこ プロフィール:栃木県佐野市出身。音楽を軸に、コンサート制作アシスタント通訳、音楽プロモーション、海外情報リサーチ、アニメや人形劇の英語監修及び翻訳、音楽情報ウェブサイトにて執筆を担うパラレルワーカー。

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

新着