女王陛下・エリザベス2世のお気に入りソング5曲

女王陛下・エリザベス2世のお気に入りソング5曲

女王陛下・エリザベス2世の
お気に入りソング5曲

2022年9月8日、イギリスのエリザベス女王が死去されました。君主として歴代最長の70年間在位した女王の死を悼み、音楽界からもミック・ジャガー、ブライアン・メイ、エルトン・ジョン、ポール・マッカートニー、スティング、オジー・オズボーンらが追悼しています。そんな女王のお気に入りの曲が、2016年にBBC Radio2で放送された『Our Queen: 90 Musical Years』にて、女王の従姉妹のエリザベス・アンソンによって明かされています。90歳だった女王のお気に入りソングとは?
「Oklahoma!」収録アルバム『Oklahoma! (1947 Original London Cast)』/V.A.
「Sing」収録アルバム『Sing』/Gary Barlow & The Commonwealth Band featuring Military Wives
「Cheek to Cheek」収録アルバム『Dancing Cheek to Cheek』/Fred Astaire
「The White Cliffs Of Dover」アルバム『White Cliffs Of Dover by VERA LYNN (2000-06-28)』/Vera Lynn

「Oklahoma!」(’47)/Howard Keel

「Oklahoma!」収録アルバム『Oklahoma! (1947 Original London Cast)』/V.A.

「Oklahoma!」収録アルバム『Oklahoma! (1947 Original London Cast)』/V.A.

当時の情報によると、賛美歌やミュージカルの歌を好んでいたというエリザベス女王。『オクラホマ!』はロジャース&ハマースタインのコンビによるミュージカルで、43年にブロードウェイで初演された後、世界各地でも上演された作品です。イギリスでは47年4月にロンドンのドゥルリー・レーン劇場にて上演され、アメリカ人のハワード・キールがカーリー役を務め、戦後初めてロンドンで巡業したアメリカ製ミュージカルとなり大成功を収めたそうです。当時、のちに女王となるエリザベス2世も出席した日のアンコールは、なんと14回にも及んだという逸話も! 若き日の女王が熱狂した作品や当時のウェスト・エンドに思いを馳せ、聴いてみてはいかがでしょうか。

「Sing」(’12)/
Gary Barlow &
The Commonwealth Band
featuring Military Wives

「Sing」収録アルバム『Sing』/Gary Barlow & The Commonwealth Band featuring Military Wives

「Sing」収録アルバム『Sing』/Gary Barlow & The Commonwealth Band featuring Military Wives

エリザベス・アンソンによって“女王のお気に入り”として挙げられた10曲の中で最も新しい作品が、ゲイリー・バーロウとアンドリュー・ロイド・ウェバーが手掛けた「シング」です。スティーヴィー・ワンダー、ポール・マッカートニーらが出演したエリザベス女王の即位60周年記念祝賀コンサートの総指揮を務めたゲイリーですが、その記念コンサートのテーマソングであったこの曲には当時ロイヤルファミリーだったハリー王子がタンバリン奏者として参加し、全英チャートで1位を記録。また、ソロとしてだけでなく、テイクザットのメンバーとして数多くのヒット曲を世に送り出してきた経歴を持ち、チャリティ活動にも熱心なゲイリーは名誉大英勲章(OBE)も受賞しています。

「Cheek to Cheek」(’35)/
Fred Astaire

「Cheek to Cheek」収録アルバム『Dancing Cheek to Cheek』/Fred Astaire

「Cheek to Cheek」収録アルバム『Dancing Cheek to Cheek』/Fred Astaire

「チーク・トゥ・チーク」は、アーヴィング・バーリンによって、スター俳優のフレッド・アステアのために作曲された楽曲で、ミュージカル映画『トップ・ハット』に提供されたもの。2000年にグラミー賞の殿堂入りを果たしているこの作品は、これまでに幾多のアーティストによってカバーされてきました。近年では、2014年にトニー・ベネットとレディー・ガガによるデュエット、コラボレーションアルバムが記憶に新しいところです。翌2015年に行われたヨーロッパ、アメリカでのツアーも絶賛の嵐で、アルバムはグラミー賞最優秀トラディショナル・ポップ・ヴォーカル・アルバム部門を獲得。女王のお好きだったオリジナルと聴き比べてみるのもお勧めです。

「The White Cliffs Of Dover」
(’42)/Vera Lynn

「The White Cliffs Of Dover」アルバム『White Cliffs Of Dover by VERA LYNN (2000-06-28)』/Vera Lynn

「The White Cliffs Of Dover」アルバム『White Cliffs Of Dover by VERA LYNN (2000-06-28)』/Vera Lynn

ヴェラ・リンは第二次世界大戦期より活躍したイギリスを代表する歌手であり女優。戦地での慰問活動をはじめ、晩年も慈善活動に時間を費やした彼女は2020年6月18日に103歳で亡くなった後も、母国イギリスの国民からはもとよりアメリカでも深く愛されています。彼女の死に際し、女王エリザベス2世は遺族に私的な弔意を送ったほか、“イギリス軍の恋人”という名に相応しい軍葬が執り行なわれ、この作品タイトルのドーバー海峡に面した白亜の崖にはリンの映像が映し出されたそう。また同年、女王は新型コロナウイルス感染拡大時に、リンのもうひとつの代表曲「We will meet again」の歌詞を引用し、国民へメッセージを送ったことも印象的でした。

「Leaning on a Lamp-post」(’37)/

George Formby

ノエルゲイによる作品で、イギリスのミュージカル・コメディ映画『フェザー・ユア・ネスト』に登場したのが初とされるこの曲。歌唱しているジョージ・フォームビーは、1940年代の映画を通じて世界に知られるようになったイギリスの俳優でありシンガーソングライター、そしてコメディアン。彼は舞台、映画、レコードにおいて、軽快でコミカルな歌を披露するのと同時に、ウクレレまたはバンジョーレレを演奏し、イギリスで最も高給とりのエンターテイナーへと成長したとか。この作品に限らず、今回取り上げた女王のフェバリット・ソングは軽やかでリズミカルなサウンドが多く、心が晴れやかになる作品ばかりでしたね。お人柄が偲ばれる作品群でした。
サブテキスト

TEXT:早乙女‘dorami’ゆうこ

早乙女‘dorami’ゆうこ プロフィール:栃木県佐野市出身。音楽を軸に、コンサート制作アシスタント通訳、音楽プロモーション、海外情報リサーチ、アニメや人形劇の英語監修及び翻訳、音楽情報ウェブサイトにて執筆。

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