ベースボールにまつわる5曲

ベースボールにまつわる5曲
第5回ワールド・ベースボール・クラシック(以下、WBC)の日本代表・侍ジャパンが連勝街道を突っ走っている。テレビの前にかじりついて観ている人も多いのではないだろうか。二刀流の大谷翔平は投げて打って盗塁まで決めてしまう破格の活躍ぶりを魅せ、ヌートバーはここぞ!という場面でヒットを打つ一方、守備でもスーパープレーでチーム全体の士気をグッと高め、不調が続いていた村上宗隆はチェコ戦でやっと初ヒットを放ち(ホッとした!)、今後の侍ジャパンの試合も目が離せない。ということで、今回は野球にまつわる楽曲を取り上げてみました。
「Separate Ways」収録アルバム『FRONTIERS』/Journey
「BASEBALL BAT」収録アルバム『THANK GOD, THERE ARE HUNDREDS OF WAYS TO KiLL ENEMiES』/SiM
「STANDin」収録アルバム『Fin』/10-FEET
「ホームラン」収録アルバム『HIGH KICKS』/THE BLUE HEARTS
「青い空」収録アルバム『青い空』/マイナーリーグ

「Separate Ways」('83)/Journey

「Separate Ways」収録アルバム『FRONTIERS』/Journey

「Separate Ways」収録アルバム『FRONTIERS』/Journey

まずはこの曲を取り上げないわけにはいかない。WBCのテーマ曲として流れているため、耳にしている人もたくさんいるだろう。2009年のWBC・侍ジャパン中継時からこの曲は使用されている。ジャーニーは前作7thアルバム『ESCAPE』が1200万枚という大ヒットを飛ばし、そのプレッシャーを跳ね飛ばし、この曲を収めた本作8thアルバム『FRONTIERS』は全米チャート9週連続で2位を記録。余談だが1位はマイケル・ジャクソンの『THRILLER』で、この作品がなければ間違いなく1位を獲得していたに違いない。本作はセールス的にも800万枚を売り上げ、2作続けてモンスター・アルバムを作り上げた。この曲はシンセを全面に押し出し、スティーヴ・ペリーのパワフルな歌声にも胸がアツくなる一曲だ。もちろんアルバム自体も素晴らしいので、ぜひ手に取ってもらいたい。

「BASEBALL BAT」('20)/SiM

「BASEBALL BAT」収録アルバム『THANK GOD, THERE ARE HUNDREDS OF WAYS TO KiLL ENEMiES』/SiM

「BASEBALL BAT」収録アルバム『THANK GOD, THERE ARE HUNDREDS OF WAYS TO KiLL ENEMiES』/SiM

湘南発レゲエパンクバンド、SiMが野球オマージュの楽曲をリリース。ステージでMAH(Vo)はいつもお約束のように漆黒のバットを振りかざし、メジャーコードを用いたポップな曲調で観客を騒乱させる無類のパーティーチューンになっている。MVではメンバー4人が野球のユニフォームを着込み、マキシマム ザ ホルモン、MAN WITH A MISSION、Dragon Ashなど総勢70人以上の豪華ゲストが参加した大掛かりな映像も必見だ。エッジ鋭いラウドロックのイメージが強い彼らだけに、ここまで振り切ったシンガロングナンバーもちょっと珍しい。フェスでも不特定多数の観客を飲み込むアンセム曲と言っていい。

「STANDin」('17)/10-FEET

「STANDin」収録アルバム『Fin』/10-FEET

「STANDin」収録アルバム『Fin』/10-FEET

これは思いっきり野球をモチーフにした歌詞に貫かれており、野球好きのTAKUMA(Vo&Gu)の趣味が全開になった楽曲に仕上がっている。イントロからシャウトで始まるテンションの高さで、レゲエっぽい歌い回しを用いながら、ライヴハウスが目に浮かぶアグレッシブさと聴きやすさを備えたサウンドが特徴的だ。2分半というコンパクト曲調にもかかわらず、そこに込められた熱量はとても高い。

「ホームラン」('91)/
THE BLUE HEARTS

「ホームラン」収録アルバム『HIGH KICKS』/THE BLUE HEARTS

「ホームラン」収録アルバム『HIGH KICKS』/THE BLUE HEARTS

5thアルバム『HIGH KICKS』に収録されている曲で、こちらも野球を題材にした楽曲である。マーシーこと真島昌利(Gu&Vo)作詞作曲によるもので、《となりのグランドでは ガキ共が熱くなってる 21世紀の金田やONがいるぞ》の歌詞の中にある”ON”とは、言わずもがな王 貞治と長嶋茂雄のことを指しており、世代が表れていると言えるだろう。楽曲的にはアコースティックギターを使ったシンプルなサウンドだが、朴訥としたメロディーラインが胸に染みる。ずっと聴いても飽きのこない普遍的な良さがある。

「青い空」('97)/マイナーリーグ

「青い空」収録アルバム『青い空』/マイナーリーグ

「青い空」収録アルバム『青い空』/マイナーリーグ

最後に取り上げたいのは、ちょっと変化球的なピックアップ。バンド名自体が野球に関するネーミングを掲げた彼ら。こじつけかもしれないが、筆者が大好きなバンドなのでここで紹介したい。過去にVISION OF DISORDER(スプリット作も一緒に出している)、QUICKSAND、MADBALLなどの海外勢とも共演を果たし、日本のラウドフェスの先駆けであった『BEAST FEAST 2001』(※後継フェス『LOUD PARK』へと発展)に出演したりと、ジャパニーズラウド/ミクスチャーシーンに欠かせない重要バンドで、今なお活動は継続中である。柴田 匠(Vo)と大工原 享(Vo)によるツインヴォーカルを看板に、野獣のごとく掛け合うスリリングな緊張感もたまらない。ちなみにUVERworldのTAKUYA∞(Vo&Programming)はマイナーリーグ のライヴを観て、ヴォーカルに目覚めたそうだ。

TEXT:荒金良介

荒金良介 プロフィール:99年からフリーの音楽ライターとして執筆開始。愛読していた漫画『ジョジョの奇妙な冒険』(登場人物に洋楽アーティスト名が使用されていたため)をきっかけに、いきなりレッド・ツェッペリンの音源を全作品揃える。それからハード・ロック/ヘヴィ・メタルにどっぷり浸かり、その後は洋邦問わずラウド、ミクスチャー、パンクなど、激しめの音楽を中心に仕事をしてます。趣味は偏ってますが(笑)、わりと何でも聴きます。

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