OLDCODEX Painter YORKE.
『WHY I PAINT
~なぜボクがえをかくのか~』
- 第64回 ♪月夜の散歩
/ エレファントカシマシ -
季節は巡っていく。4月。
ぼくがこの世界にやって来て39回目の春。
風が強い日を越えて
雨が過ぎたら季節が変わってる。
軽いパーカーを羽織って街を歩く。
何度も何度も歩いてきた道に
散った桜の花で線が出来る。
あっという間に散っていく。
誘われたお花見パーティー、
桜の木の下の宴会は今でも苦手だ。
ブルーシートより綺麗な春の空と
桜のコントラストの方が美しいよなあ。
オレは父親の手を引いて歩く。
刹那な瞬間の連続を一緒に掴んでる。
いつか君も今のオレと同じ季節
この場所に立つ時。
桜の花びらで出来た道のような線を
振り返って君も同じ様な事を想うのかなあ。
老いてゆく父親を気遣って歩幅を合わせたりして。
失った時を覚えてる事がふと悲しくなったりして
幻影みたいなモノを春の風の中に見るのかなあ。
オレ達はこの夜に置いていかれないように
子どもの頃みたいに月を追いかけるんだ。
その時”揺れた灯り”の中にぼくらの影が見えるよ。
YORKE. / april, 2018