「臼井孝のヒット曲探検隊
~アーティスト別 ベストヒット20」
男女問わず幅広い年代に支持される
平井堅のヒットを探る
“無難”と“意外”の
二面性でヒットを量産
しかし、事実上ラスト・チャンスとなった2000年の8作目のシングル「楽園」が男性R&Bブームに乗ってヒット。以降、フェロモン全開の優しくソウルフルな作品を何作か続けてヒットし、一気に男性ソロのトップ・アーティストに上り詰める。
「楽園」のヒットの裏に
見事なヒット・ストーリーあり!
しかし、重要なのは、このようにゴールに向けて、様々なスタッフが懸命にプッシュすることで、実際にヒット曲が生まれたという事実だ。2018年現在では1曲のためにCDシングル購入にたどり着く人は滅多にいない事から、レコード会社側もCDを売るためにと1人に何枚も買わせる方に躍起になり、ヒット曲作りがおろそかになっている所も少なからず感じられる。
さらに、2002年に「大きな古時計」のカバー、2004年に「瞳をとじて」で年間シングル1位を獲得し、男女問わず幅広い年代にまで名前が浸透し、2018年まで44作ものシングルをリリースしている。
福山雅治と平井堅の楽曲は似ている?
それとも、まったく異なる?
福山雅治はバラードからロックまで幅広い視点の楽曲を歌いつつも、安定してカッコいい男性像は崩さない王道のポップスだ。これに対し、平井堅はヒットを狙い定めたような泣きのラブ・バラードを歌ったかと思いきや、次の作品でカラオケでまったく歌えそうにないファンキーな楽曲(「Strawberry Sex」や「style」)や卑猥な楽曲(「Strawberry Sex」や「CANDY」)を発表することが多い。
上記の会話に戻ると、平井堅の王道の部分が好きな人は福山との掛け持ちが「分かる!」のであって、ちょっとコアな楽曲が好きな人が「全然違うのに!」となるのかなと、推察している。
更に、2017年は「生きること」をテーマとしたシリアスな歌詞を絶唱する「ノンフィクション」や、2018年にはスクール・カーストを裏テーマとしたという婉曲的な表現に満ちたバラードの「知らないんでしょ?」(パリコレばりの派手な衣装に身を包み、ド派手な帽子を目深に被って椅子に座り、つぶやくように歌唱というTVパフォーマンスも深遠さに拍車をかけていた)と、これまでの作風から更に深みを増した作品も発表しており、ますます唯一無二の存在感を放っている。
「知らないんでしょ?」
MV(Short Ver.)
そうした縦横無尽な音楽活動を続ける平井堅の中で、何がヒットしてきたのかあらためて見てみたい。