「臼井孝のヒット曲探検隊
~アーティスト別 ベストヒット20」
デビュー40周年を迎えた
竹内まりやのヒットを探る

CD、音楽配信、カラオケの3部門からヒットを読み解く『臼井孝のヒット曲探検隊』。この連載の概要については、第1回目の冒頭部分をご参照いただきたい。ただし、第5回の安室奈美恵からは2017年末までのデータを反映している。

スローペースな音楽活動ながら
第一線をキープ

目まぐるしく移り変わる日本の音楽界の中で、竹内まりやは最も幸運な立ち位置で活動しているアーティストの一人だろう。なにしろ、デビュー当時はバラエティー色のある音楽番組やレコード会社対抗運動会などタレント的な活動を並行しつつもその数年後から自然な形でシンガーソングライターに移行し、82年の山下達郎との結婚後は数年に1枚アルバムをリリースするというスローペースを維持、その合間も女性アイドルを中心とした楽曲提供が途絶えることがなく、ほぼ第一線をキープしているのだから。

具体的に2018年末現在、新録アルバム(オリジナル+カバー)の作品数を、日本の3大女性シンガーソングライターで比較してみると、1972年デビューの松任谷由実が39作、1975年~の中島みゆきが42作、そして1978年~の竹内まりやが12作と、他の2人に比べて圧倒的に少ない。勿論、時代に左右されないエバーグリーンでハイクオリティーな作品が多いから当然だという意見もありそうだが、新作を発表しないうちに売上を大きく落としてしまう邦楽アーティストが大半の中、竹内の場合は作品が出るたびに「○年ぶりの新作!」と大きな話題となるので、やはり恵まれた状況にあるのは間違いないだろう。

竹内まりや×山下達郎のタッグにより、
30年間にわたってアルバムが連続ヒット

そんな彼女は1955年島根県出身で、慶應義塾大学での音楽サークルでの活動を経て、1978年11月25日にシングル「戻っておいで・私の時間」とアルバム『BEGINNING』で同時デビュー。デビュー当時はTV番組にも多数出演しており、1979年にシングル「SEPTEMBER」で日本レコード大賞新人賞を受賞、翌1980年には資生堂の化粧品ソング「不思議なピーチパイ」で『ザ・ベストテン』にも登場、同作を収録した3rdアルバム『LOVE SONGS』は初のオリコン週間1位にもなった。

1982年にはレーベルメイトで音楽的な相談相手でもあった山下達郎と結婚し、出産した1984年、アルバム『VARIETY』以降は基本的には本人が全楽曲の作詞・作曲をし、山下達郎が全面プロデュースするというスタイルが定着。以降、結婚生活や山下達郎の音楽活動を優先したマイペースな音楽活動ながら30数年間にわたって発表した7枚のアルバムはいずれも週間1位レベルの高セールスとなっている。

人気アイドルへの楽曲提供でも
ヒット曲多数

これだけ寡作ながら常にアーティストとしての現役感を保っているには、1980年以降に始めたアイドルを中心とした楽曲提供も大きいだろう。河合奈保子の「けんかをやめて」の初TOP10入りを皮切りに、薬師丸ひろ子、岡田有希子、中山美穂、中森明菜、広末涼子、松田聖子などのヒット・シングルやアルバムのリード曲を手がけており、常に話題となってきた。また、2016年には竹内が作詞、山下が作曲した嵐の「復活LOVE」も50万枚以上のヒットとなっている。

2018年はデビュー40周年、
数少ないメディア露出も自然体

さらに、2018年には約4年ぶりとなる両A面のCDシングル「小さな願い/今を生きよう(Seize the Day)」を発表、またデビュー40周年を記念して過去の貴重なLIVE映像をまとめた『souvenir the movie~Mariya Takeuchi Theater Live~』の映画館での上映も開始される。
両A面シングル「小さな願い / 今を生きよう(Seize the Day)」

両A面シングル「小さな願い / 今を生きよう(Seize the Day)」

山下達郎のラジオ番組など年1~2回のペースでラジオ番組に出演したり、近年の自身の作品でライナーノーツを手がけたりする際に垣間見える、男気すら感じさせるほどサバけている本人のキャラクターも魅力的だ。特に、ライナーノーツはもともと音楽編集者を目指していたということもあり、各作品やアーティストに対する愛情が溢れていて、何度も読み返したくなるほど。

「souvenir the movie 〜MARIYA TAKEUCHI Theater Live〜 」特報映像

タレント・シンガーとして、シンガーソングライターとして、楽曲提供者として多面的に人気を築いてきた竹内にはどんな曲が総合的にヒットしているのか、以下見ていこう。

OKMusic編集部

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