「臼井孝のヒット曲探検隊
~アーティスト別 ベストヒット20」
男女問わず幅広い年代に支持される
平井堅のヒットを探る

総合1位はCDが週間最高2位ながら
年間1位となった「瞳をとじて」

※同点の場合は、3部門のバランスから上位を決定した。青い網掛けはアルバム収録曲。(但し、今回の「LIFE is...」の場合、CD,配信はリアレンジされた「LIFE is...~another story~」がヒット、カラオケはオリジナルの「LIFE is...」がそれぞれヒットしたものを対象としている。)

※同点の場合は、3部門のバランスから上位を決定した。青い網掛けはアルバム収録曲。(但し、今回の「LIFE is...」の場合、CD,配信はリアレンジされた「LIFE is...~another story~」がヒット、カラオケはオリジナルの「LIFE is...」がそれぞれヒットしたものを対象としている。)

総合1位は、その小説、コミック、映画、ドラマと関連作品すべてが大ヒットとなった“セカチュー”こと、『世界の中心で、愛をさけぶ』の映画主題歌のシングル通算20作目となる「瞳をとじて」。シングル1位、配信2位、カラオケ1位という、圧倒的な強さだ。

優しく切ないバラードゆえに、映画同様に大切な人を亡くした人へのレクイエムにもなるし、また失恋ソングとして癒す効果もありそう。発売当時は映画公開後もTVで歌唱する度に何度も再浮上を繰り返し、2004年4月の発売ながら翌2005年の春頃までCDチャートでランクインする超ロングヒットに。しかも、週間では最高2位ながら、2004年の年間ランキングでは堂々の1位で、この「(週間)1位を取っていないのに、(年間)1位になった曲」としては1987年の瀬川瑛子「命くれない」以来17年ぶりで、いかに快挙だったかが分かるだろう。平井自身も、当時の年間ランキングを発表する各メディアにて、この年間での1位をとても喜んでいたのが印象的だった。

総合2位はフジ月9に起用された
80年代アイドル風の「POP STAR」

次に、総合2位は、シングル9位、配信4位、カラオケ3位という安定した強さで2005年のシングル23作目「POP STAR」となった。当時は社会現象になることも多かったフジテレビ月曜9時(いわゆる“フジ月9”)枠のドラマ『危険なアネキ』の主題歌だったことも、ヒットの要因となっているだろう。本作は80年代アイドルも歌っていそうなほど彼の中では最大限に陽気な楽曲で、ミュージックビデオでは平井堅がアフロなディスコ・キングや7:3分けのオジさん、さらには着ぐるみなど、様々な役柄を1人で演じたもの話題となった。

この「瞳をとじて」と「POP STAR」はCD、配信、カラオケのどの部門でもヒットしているが、その他の作品はCD、配信、カラオケのうちいずれかの部門が突出しての上位入りとなっていて、なんと3位から14位まで接戦状態となっている。

これは平井堅が、ともすれば無難な作品でファンを安心させるのではなく、常にファンの予想を裏切るような作品を発表し続けることで、売上が安定しない、しかし、意外な所からヒットが生まれるという表れではないだろうか。

総合3位はTVパフォーマンスでも
魅了した「ノンフィクション」

その中で総合3位となったのは、2017年の通算42作目となるシングル「ノンフィクション」。CDは1.8万枚と決して大ヒットではないが、配信では25万件超の3位、カラオケでも2位となり、総合3位となった。

本作は社会派ドラマの多いTBS系日曜劇場の2017年4月クールド『小さな巨人』の主題歌に起用されたシリアスなバラードで、主人公の長谷川博己が様々な逆境に追い詰められる際に楽曲が流れ始め、そのやるせない気持ちを代弁するような効果があった。また、TV出演時には片手で大きな花束を抱えながら絶唱し、まるでもう逢えなくなった相手への慕情を綴るようで、このドラマティックな演出からも記憶されるヒットとなったのではないだろうか。特に、同年のNHK紅白歌合戦では、義足のダンサー大前光市が同曲に合わせて一心不乱に踊る姿から、配信やカラオケチャートが再浮上する現象も起こり、本作は今後、上位2作にも劣らぬロングセラーになりそうな気配が漂っている。

「ノンフィクション」MV(Short Ver.)

NHK『みんなのうた』に起用された
「大きな古時計」が総合4位に

総合4位は「大きな古時計」。2002年の発売で、当時まだシングルの音楽配信が始まっていなかったこともあり、配信は10万件未満だが、シングルが約77万枚の売上で2位、カラオケではカバーソングゆえに、彼の中では超絶に歌いやすく6位となっている。

本作は、NHK『みんなのうた』に起用されたことがヒットのキッカケだが、平井自身が幼少の頃から大好きだった曲(それゆえ、CDジャケットの時計の絵も、その頃に本人が描いたもの。更には、本作にまつわるドキュメンタリーも好評を博した)で、ライヴでも以前から披露していたこと、物悲しくもどこか温かさの残る楽曲で、平井の声に見事に合致しており、子供には童謡として、大人には上質のバラードとして楽しめることがより大きなヒットになった要因だろう。つまり、作り上げられたストーリーではなく、アーティスト本人のリアルな愛情の深さがヒットに結びついたと考えられる。

OKMusic編集部

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