Editor's Talk Session

Editor's Talk Session

【Editor's Talk Session】
今月のテーマ:
ライヴハウスから
離れてしまった人を
もう一回集めるために

音楽に関するさまざまなテーマを掲げて、編集部員がトークセッションを繰り広げる本企画。第24回目のゲストは9月より4カ月連続企画イベント『生きづらい;あなたへ』を主催しているThe;Cutleryより福島裕太(Gu)と、同公演の配信の監督を務めている映像クリエイターの小嶋貴之。インディーズながら配信映像のクオリティーにもこだわり、ジャンルレスなライヴを展開している想いなどを語ってもらった。
【座談会参加者】
    • ■福島裕太
    • The;Cutleryの総司令官兼ギター。カトラリーを始めてシューゲイザーというジャンルがあることを知る。バンドは趣味。普段はフリーランスのシステムエンジニア。
    • ■小嶋貴之
    • ジャッキー・チェンを目指していたら、いつの間にか映像の世界へ。メジャー、インディー問わず約800本超のMVやライブビデオ、CM、アニメーション、ドラマ、短編映画などを監督。短編映画が海外映画祭にて受賞多数。
    • ■石田博嗣
    • 大阪での音楽雑誌等の編集者を経て、music UP's&OKMusicに関わるように。編集長だったり、ライターだったり、営業だったり、猫好きだったり…いろいろ。
    • ■千々和香苗
    • 学生の頃からライヴハウスで自主企画を行ない、実費でフリーマガジンを制作するなど手探りに活動し、現在はmusic UP's&OKMusicにて奮闘中。
    • ■岩田知大
    • 音楽雑誌の編集、アニソンイベントの制作、アイドルの運営補佐、転職サイトの制作を経て、music UP's&OKMusicの編集者へ。元バンドマンでアニメ好きの大阪人。

配信をやるのであれば
観せたいものを作りたい

千々和
The;Cutlery主催の連続企画『生きづらい;あなたへ』ですか、どんな経緯で始まったんですか?
福島
昨年はコロナ禍の影響で一年間ライヴができていなかったんですけど、今年の4月から徐々にできるようになり、そのタイミングで文化庁が立ち上げたARTS for the future!を知ったんです。コロナ禍を乗り越えるための文化芸術活動の充実支援事業で、募集要項に沿った申請が通ればライヴ開催の支援として補助金がいただけるんですよ。任意団体でも申請ができるということなので、ライヴ配信事業に特化した団体をThe;Cutleryが主体となって立ち上げました。インディーズで活動していると、バンドに出演料を払ったりプロモーションをするのは簡単にはできないことなので、そこも補助金を活用して挑戦してみようと。ただ、今のところどの公演も申請中です(笑)。
千々和
えっ、そうなんですか!? 9月からの4カ月連続企画だから、現時点で第三弾公演まで終了していますが…。
福島
はい。補助金制度を知ったのがきっかけで始まった企画ですが、そのお金をあてにして始めたわけではなく、The;Cutleryを聴いてくれている方や、お世話になっている音楽業界の方にこの企画を通して恩返しができたらと思っていたんです。コロナ禍で何をしたらいいか分からない中、バンドを動かすきっかけにもなりました。開催に向けて本格的に準備を始めて直ぐ、第一弾公演にAliAさんが出てくれることが決まって、第二弾公演にはaquarifaさんが2年振りのライヴとしてステージに立ってくれたり、小嶋さんにはフルセットで配信準備をしていただいているし、本当にいろんな人にサポートしてもらっているので、せっかくならやりきりたいと思って毎月開催しています。今じゃなければ対バンできなかったバンドに出演してもらえたのも、“どんどん好きにやってみよう!”という後押しになりましたね。ちょっと言い方が難しいけど、“コロナ禍だから”ではなく、“コロナ禍だからこそ”と考えて動けるようになってきました。
千々和
ライヴを生配信することに対してはどのように思われていましたか?
福島
The;Cutleryは昨年4月に残響レコードからアルバム『water;echo』をリリースしたんですけど、緊急事態宣言が発令されたタイミングだったからCDショップは閉まっていたし、準備していたレコ発のワンマンもできなかったんです。その状況を受けて無観客ライヴもやったんですけど、その時はライヴハウスから配信することは僕にはディスプロモーションにしか思えませんでした。チケット代はかかるのに音が悪いし、固定カメラの1台だけだったので、これを配信する必要があるのかなって。そう感じていた時に西川口Heartsで働いているスタッフと話す機会があったので、他と違ったことがしたいと提案をして、カメラ6台を使って素人だけで配信ライヴをやってみたんですよ。残響レコードの社長はまだ配信には手を出さなくていいという判断だったんですけど、実際に観てもらったら思っていたよりも映像が良かったみたいで、音が悪いことだけ怒られたんです(笑)。そこで手応えを感じて、次は吉祥寺SHUFFLEで配信ライヴをすると決めた時にプロである小嶋さんに相談をしました。その時のライヴ映像はYouTubeにもアップしていますが、映画っぽくてめっちゃカッコ良いんです! 今後もこれ以下のクオリティーにはしたくないと思っています。ただ、ELLEGARDENがYouTubeで無料配信ライヴをやっていて、それを観ちゃったら僕らが固定のカメラ3台くらいでお金を取って配信をするのはどうなんだと思って…。そういうのもあって、配信をやるのであれば、観せたいものをしっかり作りたいと思ったんです。

OKMusic編集部

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