Editor's Talk Session

Editor's Talk Session

【Editor's Talk Session】
今月のテーマ:
“音楽の楽しさを伝えたい”
ヤマハ音楽教室の変わらぬ想い

国内をはじめ世界でもカリキュラムを展開し、長年愛され続けているヤマハ音楽教室。コロナ禍になり、教室の運営においても変化を求められるようになった。第30回目の編集部座談会では、ヤマハ音楽振興会より大人向けのプロモーションサービス開発を担当されている中島貴志氏、野村幸代氏、中村秀紀氏を招いて、音楽教室の現状について語ってもらった。
【座談会参加者】
    • ■中島貴志(指導運営推進部運営企画グループ リーダー)
    • ヤマハ音楽教室の普及拡大に向けたプロモーション全般を担当。楽器演奏とライヴ活動の楽しさを全世界に広めるべく、未だ諦めることなくオヤジロックバンド活動に勤しむ日々。
    • ■野村幸代(指導運営推進部 運営企画グループ)
    • 大人向け『ヤマハミュージックレッスン』の企画・宣伝を担当。子供の頃にピアノを習ったことはあるが、同僚からは“音楽の香りがしない人”と言われることも。
    • ■中村秀紀(事業企画開発部 第2開発グループ リーダー)
    • 幼少期よりエレクトーンが大好きで、気がついたらヤマハ音楽振興会に入っていた。音楽スタッフとして各地で経験を重ね、近年は研究・開発を担当。
    • ■石田博嗣
    • 大阪での音楽雑誌等の編集者を経て、music UP’s&OKMusicにかかわるように。編集長だったり、ライターだったり、営業だったり、猫好きだったり…いろいろ。
    • ■千々和香苗
    • 学生の頃からライヴハウスで自主企画を行ない、実費でフリーマガジンを制作するなど手探りに活動し、現在はmusic UP’s&OKMusicにて奮闘中。
    • ■岩田知大
    • 音楽雑誌の編集、アニソンイベントの制作、アイドルの運営補佐、転職サイトの制作を経て、music UP's&OKMusicの編集者へ。元バンドマンでアニメ好きの大阪人。

アンサンブルを楽しむこと、
音楽を創る楽しさに重きを置いている

岩田
コロナ禍は3年目に入り、日常生活に大きな変化が起こりましたが、ヤマハ音楽教室としてのこの3年間はいかがでしたでしょうか?
中島
大人向けの音楽教室も子供向けの教室も2020年3月から、特に5月は全面的にストップしていました。6月頃から少しずつ再開しましたが、2月と比べてもレッスンに参加される方が激減していましたし、特に教室での三密回避対策に悩みました。密閉空間でのレッスンになるので厳しい状況ではありましたが、この2年間で新たな会員と、戻ってきた会員の数が増えてきたので、現在は9割くらいまで回復しています。
岩田
飲食店を見ても少しずつ利用客が戻ってきている印象がありますが、音楽教室も同じような傾向になっているということでしょうか?
中島
そうですね。ただ、大人向けの音楽教室は会社員の方がメインになるので、オフィスからの帰宅途中で受講されるケースが多いのですが、テレワークが主流になったことで、会社の帰りに教室へ行くという習慣が少なくなった点も影響があったかもしれません。
岩田
なるほど。また、コロナ禍で楽器を始める方が増えてきているというニュースもありますよね。以前、楽器店の方からもコロナ禍初期は楽器人口が増えたとうかがったのですが、その実感はありますか?
中島
2020年はギターなどの楽器が売れていましたよね。
野村
『ヤマハミュージックレッスン』はいろいろな楽器のコースがありますが、ギターとかウクレレなど、家で演奏できる楽器が比較的に増えていたと思います。しかし、大きな音が出る楽器は練習場所を選ぶので、中でも管楽器はダメージが大きかったですね。意外なところで言うと、バイオリンは増えています。
石田
自分の部屋で軽く始めてみようかなというノリで、もう一回楽器を手にする人が多かったということでしょうか?
野村
そうだと思いますね。
石田
ピアノやキーボードなどの鍵盤楽器はいかがでしたか?
中島
飛沫の心配もあって、吹奏楽は大きな影響があったと聞きましたが、鍵盤楽器は一番コロナ禍の影響を受けにくかったです。
野村
楽器からウイルスが出ているわけではないという研究結果をヤマハの公式サイトにも掲載しましたが、楽器から吹き出しているイメージが強いのか、情報がなかなか広まらなくて。
中島
ヤマハでは楽器とウイルスの関係について、どの程度の飛沫が飛ぶのかという観点で実証実験も行ないました。実験結果を根拠に楽器の安全性を広めようとしています。
岩田
感染対策の情報拡散に関しては、カラオケ業界の方も苦戦されているとうかがいました。
中島
そうなのです。音楽の授業でリコーダーの使用を自粛している学校もあるので、それも影響が出ている一例ですよね。
岩田
コロナ禍以降はオンラインでの受講が主流になってきていますが、ヤマハ音楽教室でもYouTubeなどを活用して“配信&音楽を楽しもう”をコンセプトに『おかえり、おんがく。』という企画を展開されたりもしていますよね。
千々和
『おかえり、おんがく。』の特設ページにはたくさん動画がアップされていますが、中でも講師の方がひとりひとり演奏しているシーンを撮影して一曲の合奏を完成させた「おかえり講師スペシャルバンドver.」は、ヤマハ音楽教室の教育方針を感じられるものでした。離れた場所でも“みんなで音楽を楽しむ”という想いが全面に出ていて、例えオンライン授業でも、技術を磨くだけでなく、あの動画にあった合奏の楽しさが大切なのだなと。
中島
ヤマハ音楽教室は子供向けの教室から始まったものなので、おっしゃっていただいたことが今でも根底にあります。楽器のスキル習得や譜面を読むといったことよりも、みんなで楽器のアンサンブルを楽しむことや、自分で想像して音楽を創り出すということに重きを置いていて、大人向けの『ヤマハミュージックレッスン』もベースは同じですね。私たちはその楽しさを伝えたくて、講師と一緒に頑張っているので、あの動画からそれが伝わったのであれば嬉しいです。
野村
撮影したのはコロナ禍の影響が特に大きかった時期だったので、パートごとに別撮りをし、ギターとベースのチーム、管楽器チーム、キーボード、ヴォーカルと分けて、一週間くらいかけて撮影をしました。
千々和
今までなら合奏する時の空気感を伝えてきたのに、人が集まることができなくなり、別撮りは編集も大変だと思うのですが、ヤマハ音楽教室にとっての新しい取り組みだったのではないでしょうか?
野村
確かにそうですね。手前味噌ではありますが、本当にいい演奏を講師がしてくれたと思います。
千々和
他にも『おかえり、おんがく。』では、映画『竜とそばかすの姫』で使用されている楽曲を受講者の方がリモートで演奏されている映像もありましたが、中にはアマチュアの方もセミプロの方もいらっしゃるでしょうし、この機会だからこそ実現したような、リアルでの合奏とは違った感動がありました。
中島
ああやって映像をつなげて動画を作ることで、リアルのアンサンブルに向かってほしいという想いもあります。また、ヤマハでは『SYNCROOM』というネット上でアンサンブルができるサービスも提供していますので、時代の流れに合わせた企画を通して、その想いは伝え続けていきたいと思っています。

OKMusic編集部

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