「臼井孝のヒット曲探検隊
~アーティスト別 ベストヒット20」
ネオ・フォーク系のパイオニア、
ゆずのヒットを探る
総合2位は夏の定番曲、
1stシングル「夏色」!
ちなみに『ミュージックステーション』などで若い世代を中心に実施されるアンケートでも、毎年TOP5内の人気となっている。発売から約20年が経過しており、明らかに発売当時を知らないリスナーにも浸透していることが分かる。「駐車場の猫」や「長い長い下り坂」、「自転車」など、若い世代にも身近な夏景色が多数登場することや、高音ボーカルが駆け抜けていくような曲想も人気の要因だろう。
本作は、当時はノンタイアップ曲で、各FM局や音楽専門チャンネルでの熱い支持を経てじわじわと人気が広がっていたが、今ではTV番組内の尺の短いLIVEでも必ず歌われるほどの定番曲となっている。いったん演奏が終了してから、観客から「もう1回!」コールが起こり、その後、北川が観客を罵倒するという所までお約束になっている、なんてアーティストや楽曲はおそらく日本に100曲も存在しないのではないだろうか。それほどまでのド定番で、現在は京浜急行の上大岡駅の接近メロディーに使われたり、また2017年にはロッテの氷菓『爽』のCMソングに起用されたりと、今なお人気が引き継がれている。
蛇足だが「夏色」と言えば、早見優「夏色のナンシー」、堀ちえみ「夏色のダイアリー」、菊池桃子「夏色片想い」、小川範子「夏色の天使」など、80年代女性アイドルの楽曲タイトルにも多用されるほど、夏の陽射しを受ける爽やかな女子をイメージする言葉だったが、偶然とはいえ、彼らがこの言葉を使ったことも、同作の青春や胸キュン色を助長しているのではないだろうか。
総合3位は前向きなバラードとして
多くの共感を呼んだ「雨のち晴レルヤ」
同作はNHK朝の連続テレビ小説「ごちそうさん」の主題歌で、時代の荒波にも負けず、前向きに生きる主人公・め以子の心情ともリンクした前向きなバラードとして多くの共感を呼んだ。なお、作曲は北川悠仁と篠笛奏者・佐藤和哉の連名となっており、これは同作が佐藤の「さくら色のワルツ」を原曲としているため。また、間奏にドヴォルザークの「新世界」が引用されているのも含め、近年のゆずの楽曲は、他のアーティストや楽曲の特性をしなやかに取り入れるのが実に上手い。こうした点も二人組ながら決して単調にはならない要因だろう。