「臼井孝のヒット曲探検隊
~アーティスト別 ベストヒット20」
実はスゴい存在の
AKB48のヒットを探る

総合1位は特大ヒットとなった
「恋するフォーチュンクッキー」

総合1位となったのは2013年のCDシングルとしては33作目となる「恋するフォーチュンクッキー」。“さっしー”こと指原莉乃が総選挙で1位を勝ち取り、それによって楽曲路線も急遽変更、これまでのヲタ芸でノリやすいスピーディーな楽曲から一変、70年代のフィリーソウル風のミディアム歌謡、歌詞も彼女に合わせて、コンプレックスに悩みがちな女子が主人公、だけど「人生捨てたもんじゃないよ」と、過去の交際スキャンダルで堕落しかけた彼女だからこそ説得力のあるエールソングに仕上がった。
その結果、CDは150万枚を超えるセールス(約155万枚)、ダウンロードはレコチョク2013年度年間2位でミリオンヒット、カラオケも長くヒットし2017年でも2位という特大ヒットとなった。その要因としては、そうした楽曲のキャッチーさに加えて、“おにぎりダンス”と呼ばれるパパイヤ鈴木による親しみやすいダンス、さらには動画サイトにてダンスビデオを募集し、各自治体や法人団体がAKB公認ビデオとなるべく、こぞって応募したことも大きな要因となっているだろう。こうしたSNSを使った戦略面でも一歩リードしているのが心ニクい。

初の日本レコード大賞を受賞した
「フライングゲット」が総合2位に

総合2位は2011年のCDシングル23作目となる「フライングゲット」。同作は前田敦子主演のドラマ『花ざかりの君たちへ~イケメン☆パラダイス~2011』に起用されたが、そのヒットへの影響はさほどなく、イントロからノリのよいラテン歌謡テイストや、イントロ、サビ、間奏など、それぞれで真似しやすい振り付けなど、LIVEでもカラオケでも大きく盛り上がる楽曲ということが大きいだろう。

ちなみに本作で彼女たちにとって初の日本レコード大賞を受賞したが、CDは約162万枚、ダウンロードもミリオンヒット、カラオケも当時から大流行で現在でも4位という人気から、その受賞にも大半の方が納得したのではないだろうか。なお、女性芸人のキンタロー。が、ブレイクを果たしたのも本作での誇張した前田敦子のモノマネがキッカケ。最近では欅坂46の「風に吹かれても」にてセンターの平手友梨奈をマネしたことで、ネット上で大炎上が起こったが、それにより配信チャートでも再浮上を果たしたし、この「フライングゲット」がいっそう大衆化したのは彼女の功績もあるだろうから、やはりモノマネは目くじら立てることなく、ふだん音楽に興味のない人に楽曲の魅力を伝えうる強力な手段、くらいに思っておくのが良いと思われる。

この総合1位と2位はともに85ポイントを超えるほどバランスの良いヒットとなっている。つまり、好き嫌いを超えて、誰もがヒット曲と認めざるを得ないレベルだ。どちらも一部のコアファンが大量にCDを買うことで話題の『総選挙』投票シングルではなく、その総選挙によって選抜されたメンバーによるシングルというのも興味深い。

OKMusic編集部

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