【INTERVIEW:
超能力戦士ドリアン】
2人を笑わせるところから
始めないといけなくて
撮影:キセキミチコ
やっさん
やっさん:まさにその反応をもらうためにつけたんです。どこも5に掛かってないやん! っていうことで。ただそれだけでつけたから理由を聞かれると困ることに気づきまして(笑)。なので後付けの理由を考えました。バンド結成してからずっと、自分たちの実力よりちょっと大きいライブハウスのワンマンを組んで埋めて次のステップへ進むみたいな、背伸びをしたスタンスで頑張ってきてまして。じゃあ4枚目を背伸びしたら5だなってことで、バンドのスタンスを表した1枚になってます(笑)。
ーーなるほど(笑)。アルバムで特に力を入れた点は、どういったところですか?
やっさん:今回はアルバムを通した上で、全曲、僕の歌詞と鼻唄が出そろった段階でターゲットを決めて会議して。例えば「家のお風呂でさっパーリーナイト」だったら、家のお風呂って入らない人は基本的にはいないだろうから、全年齢対象の楽曲にしようと思って、誰が聴いてもわかりやすく楽しい楽曲にしたり、各楽曲ターゲット層を決めた上で曲作りしたので、アルバムを通して全方位向けるように意識しましたね。
けつぷり:どうやったらテーマをもっと感じてもらえるかっていうのを意識してバラエティ豊かな音使いとか構成だとか、僕ららしさだけじゃなくテーマに寄り添ったものを考えるようにしましたね。流行ってる他のアーティストさんの曲と並べて聴いてもらっても音楽的に負けてないというか、そういうことも意識して力を入れて作りました。
おーちくん:曲作りに関しては、普段は一歩引いて俯瞰で見てるんですけど、まぁ1曲ぐらいやろうやって話になって…。で、「HAHAHAハッピーライフ」って曲に初めて歌詞を書くことになって、自分の中にあるものを1番初めに出すべきだと思い書いた結果、この曲だけ共感性が1ミリもない、ちょっと変な曲になりました(笑)。
やっさん:「HAHAHAハッピーライフ」の“HA”ってなんなの?
おーちくん:歯。toothです。歌詞書いた時は、奥歯の右3、左2で5本無かったんです。あの、教育テレビとかで“歯磨きはちゃんとしようね”みたいな歌あるけど、実感こもってないなと思ってて。ほんとに歯の歌を歌えるのは僕だけだなと。無くしてから気づいても遅いっていうことをみんなに知ってほしくて、共感性は低いけど最終的な土台は誰にでもわかる曲かなと思って書きました。
おーちくん
おーちくん:家のお風呂入って気持ちよくなったって演出で、すごい気持ちいいっていうのを表すために私有地の山をお借りして大自然で撮影したんです。浴槽も合成とかじゃなくて自分らで山に運んで、ただお湯は持っていくことが出来ないので水で無理やり。冷水に浸かりながら、あーお風呂気持ちいい!みたいな顔して大変でした。2人は全力で演奏してくれてるから、むちゃむちゃ熱いって言ってるところで、僕、凍えてました(笑)。
やっさん:撮影止まるたびにタオルが投げ込まれてた。バスタブから地面に降りたら浴槽汚すからダメってなって、風呂の縁に三角にM字開脚みたいな体勢とりながら(笑)、そこにバスローブとタオルが投げ込まれて、なんかすごい愉快でしたね。
ーー(笑)。お湯だと思ってました。
おーちくん:そういう風に見えてたならよかった。頑張って演技してるんですけど、身体だけは騙せなかったんで、よく見ると唇は紫(笑)。
ーー「Thank You for耳」の歌詞で《両耳ほんまにおおきに》や《仕事多すぎる労基にTEL》とか着眼点がすごいと思ったのですが、どのような気持ちで作られたんですか?
やっさん:基本的には耳は音を聞く、目は物を見る、鼻は匂いを嗅ぐ器官で、目と鼻ってそれ以外の役割あんまりないじゃないけど、耳って眼鏡かけられたり、ピアス開けられたり、イヤホンつけられたりとかで、仕事多すぎん?って。負担えぐいなと思って、耳への感謝の曲を作りたいってところから。日常生活でも、これ俺の仕事じゃないのに、やらなきゃいけないってことあると思うんですよね。耳の曲ではあるけれど、実はそんな風に頑張って働いてる人たちの応援歌になったら良いなというテーマで歌詞を完成させました。その結果、ホーンセクションだったり、応援歌っぽい要素が増えてます。ノリ良いし曲も短いんで、出勤前とかに聴いて“よし、頑張るぞ!”って、気持ちを上げる1曲として使ってもらえたら嬉しいです。
ーー歌詞や曲名が印象に残るものが多いですが、どのようにアイデアが出て来るのか、印象付けるために意識していることはありますか?
やっさん:僕が歌詞とタイトルを決めて、それを鼻歌で録ってけつぷりに送って、けつぷりが曲にしてくれるっていう流れなんですよ。だから僕の歌詞とテーマが面白くないと曲になってこない。どんなテーマで作ってんねん!とか、どんなタイトルつけてんねん!って感じで2人を笑わせるところから始めないといけなくて。なので、2人がおもろい!って思ってくれるかなっていうのを一番大事に考えてますかね。
ーー「シークレットトラック」はCDについて歌っている曲だと思いますが、CDへの思い入れやこだわりがあれば教えてください。
やっさん:僕、漫画好きで電子書籍を結構買うんですけど、ほんとに好きな漫画は置いときたいなって思うんです。でもパッと読める漫画と違って、CDは楽しむためにプレイヤーやパソコンに入れたりしないといけなくて、ひと手間かかる。同じ様にはいかないからこそ、CDの中身、ジャケット、断面とか全部にこだわって付加価値を少しでもつけて。手に取ってよかったと思ってもらえるものにしないと、もう出す意味ないなと思っているので、その辺を今後も頑張りたいですね。
けつぷり
けつぷり:頑張る! に尽きるんですけど、とにかく動きを止めないことが大事かなと思っています。戻ってきてくれる人とか、続けていることで新規で好きになってくれる方って絶対いるわけだから。そういう人にずっと見せ続けたいなって気持ちがありますね。
やっさん:会場の規模も一番大きく、チケット代も一番高くて。お客さんにチケット代が勿体なかったと思われたら絶対あかん仕事だからこそ、それに見合うパフォーマンスや演奏をして、楽しんでもらえるようにしたいなと思っています。
ーーでは最後の質問になりますが、あなたにとって音楽とは?
おーちくん:…人生ですね。ご飯食べさせてもらってるわけですし、自分の全部をかけてやってるもんなんで。一言で総括して“人生”かと。
けつぷり:唯一、一生続けたいなと思えるものですね。他の仕事だったら我慢できないけど、音楽やったらなんでも出せるっていうのが音楽にはあって。だから、僕は一生音楽しかないんだと思って今もこれからもやっていきたいと思いますね。
やっさん:仕事ですね、生活の中心だし。社会人の時に目の前のことを全力でやれなかったら転職しても上手くいかないっていうマインドでずっと仕事をしてて。音楽はその時と一緒だなというか、全力で今後も頑張りたいなと思います。
超能力戦士ドリアン × 日本工学院専門学校 蒲田校 コンサート・イベント科 学生
撮影:キセキミチコ