【INTERVIEW:門脇更紗】
ボロボロになって頑張る姿は、
何よりも“きれいだ”
「シンガーソングライターのYUIさんが好きで、“だったら弾いてみたら”って母の勧めもあってアコギを始めました。10歳の頃ですね。でも弦を押さえるのにすごく手が痛くて、最初の気持ちは“これは手が届かんなー”っていう感じでしたね(笑)。だから、軽く押さえられる父のエレキギターですっごい練習してました」
ーー作詞、作曲はいつ頃から始めたんですか?
「初めて作ったのは14歳の時です。あるオーディションを受けて落ちた時の気持ちを曲にしました。高校1年の夏からライブ活動をするようになったのをきっかけに、やるなら自分の曲を披露したくて増やしていった感じですね」
——路上ライブもやっていたようですが、どんな感じだったんですか?
「最初は地元の駅で始めたんですけど、誰も集まらなくて1回で諦めました(笑)。人を集めることはすごい難しいんだなって身に染みて…。その後、グランフロント大阪でやってた時は、ライブハウスで知ってくれたお客さんが来てくれるのもあって、“小さなワンマンライブ”みたいになるのですごい楽しかった記憶があります。暑さとか寒さに耐える的なことではメンタルを鍛えられたかもしれない(笑)」
——いろんな活動のつながりから今年3月にメジャーデビューとなりましたが、心境の変化などありますか?
「正直デビューしたっていう実感はあまりないんですよね。こうやって取材をして頂くことで“デビューしたんだなぁ”って、じわじわと感じたりはしますけど、前より不安になっているかも(笑)。でも、良い意味でも悪い意味でもプレッシャーは大きく感じますが、今の大きな夢は“武道館に立つ”ということなので、このプレッシャーはそれに向けての通過点だと思っています」
——3ヶ月連続配信リリースというスタートですが、デビュー曲となるのは3月リリースの「トリハダ」になりますよね。このインパクトのあるタイトルとこの曲が選ばれた経緯を教えてもらえますか?
「17歳の時、ライブの出番後に、お客さんに声をかけられて“ご興味があったら”って渡された名刺を見た瞬間、私の17年間の人生の中で一番の“鳥肌”が立ったんです。“鳥になってしまうんじゃないか”って思うほど(笑)。なぜかっていうと、14歳の頃から所属するのが夢だったスターダストプロモーションの名刺だったから。その話をスタッフさんにしたら、“それ、面白いから「鳥肌」っていう曲作ってみたらいいじゃん”って言われて曲を書き始めました。まさかデビュー曲になるとは思ってなかったんですけどね。他にも色々考えてみたけど、最終的に一番インパクトがあった、カタカナで「トリハダ」というタイトルにしました」
——「トリハダ」には“夢を追いかけ、自分の道を進んでいく力となるように”という想いを感じます。ご自身のことでもあると思いますが、どういう人に届けたいですか?
「この曲には“周りの目を気にせずに自分を信じて突き進んでいって欲しい”という想いを込めているので、夢を持っているけど周りの環境に悩んでいる方々に届くといいな。私もずっと本気で音楽活動をやっていたんですけど、きっと周りからは趣味程度だと思われてたので、そんな人たちにも伝えたいかなぁ(笑)」
——笑。4月リリースの「わすれものをしないように」は、ドラマ『ゆるキャン△2』エンディングテーマ(テレビ東京/木ドラ24)、5月リリースの「きれいだ」は、アニメ『セスタス-The Roman Fighter-』エンディングテーマ(フジテレビ「+Ultra」ほか)のように、タイアップ曲を書き下ろしたことには、どのように感じていますか?
「タイアップはとてもやりたかったことのひとつなので、お話をいただいて凄く嬉しかったです。自分の曲を書くのはもちろん楽しいけど、“こういうイメージで”っていうテーマを頂いて書くことも結構自分に合っていて楽しいんだなって、この経験を得て思いましたね」
——「わすれものをしないように」は、どのようなイメージで作ったんですか?
「春に始まるドラマなので、春らしい暖かみとテンポ感のある曲がいいなと思いました。自然と笑顔になれるようなドラマなので、一緒に“温かさ”を感じてもらえるように意識して作りました」
——確かに聞いていてとても暖かみを感じました。歌詞にはネガティブな言葉は見当たりませんが、門脇さんはどのような性格ですか?
「結構ポジティブです。嫌だなってことはもちろんあるけど、都合よく頭に入れるタイプで(笑)。なので“よしっ、経験だ”と思えればやっていける感じがあります」
「“ボロボロになって頑張る姿というのは何よりもきれいだ”ということを伝えたい。
セスタスは強いですが、精神面では気弱な部分のある優しい人で。でも気持ちの面でも戦う面でも強くなっていく姿を見て、嬉しい気持ちもあると同時に遠くに行ってしまいそうな寂しい気持ちもありました。私も小学校から仲のいい友達と久しぶりに会ったときに、大人になっている姿を見て同じように感じたことを思い出して、セスタスを家族や友人みたいな存在だと思ってこの曲を書きました」
——なぜこのような視点で書こうと思ったのでしょうか?
「最初はどういう視点で書くかすごく悩んだんですが、参考にしたのは「若者たち」という曲ですね。《♪君のゆく道は 果てしなく遠い だのになぜ歯を食いしばり〜》って歌詞なんですが、なんでそんなに頑張れるの?って、目の前のあなたに問いかけてるような曲がテーマに合っている気がしたので」
——なるほど。この3曲の中で、門脇さん自身が一番手ごたえを感じている曲は?
「「きれいだ」がすごく好きです。手ごたえはあるかもしれないです」
——すごく力強い歌声で朝も聴いてきたのですが、すごく励まされました。
「ありがとうございます! でもキーがすごく高いんですよ。最後に転調してキーが上がるんですけど、ライブでどうしようかって、今ちょっと…(笑)」
——そのライブに関してですが、ライブは門脇さんのアーティスト活動においてどのくらい必要性があるものですか?
「ライブをしているときが一番“生きているな”と思う瞬間で、100パーセント必要です。今後はエレキでのパフォーマンスやアコギで出している曲をピアノで聴いてもらう機会がライブであればいいなと思います。今は配信でお客さんが目に前にいないので、めっちゃうずうずしてますね(笑)」
——目指しているご自身のアーティストとしての姿はどのようなものでしょうか?
「 “かわいい”より”カッコいい”と思われたいっていうのが自分の中でのアーティスト像かな。性格は楽しい人間なので、“カッコいいけど楽しい”っていう人間性も音楽を通してみなさんに知ってもらいたいです。あとはまだ夢がないなと思う10代の子に“こうなりたい!”と思ってもらえるようなアーティストになれればいいな」
——では最後の質問になりますが、門脇さんにとって音楽とは?
「すごいカッコいいこと言わないといけない感がある(笑)。そうですね、“一番自分を輝かせてくれるもの”です」
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