【INTERVIEW:Kitri】
連弾の魅力に取り憑かれて
Mona:幼少の頃、一緒に通っていたピアノ教室の先生に連弾がすごく勉強になるから1回やってみたら? と言われて試してみたら、“なんだ、この面白い音楽は!”ってなって、連弾の魅力に取り憑かれました。それまでは1人で音楽が成立してたけど、連弾は2人で息を合わせないとうまくいかなくて難しいけど、それが醍醐味でもあるなと思いました。でもその後は、私は部活にも入らずピアノ一本で。
Hina:私は中学、高校で合唱の部活を6年間やっていたので、そっちに専念していました。
Mona:そんな中、大学に入る前くらいかな、将来音楽で生きていきたいなと思い始めて、面白いことができないかって考えていたときに連弾を思い出したんです。自分で曲を作って、連弾しながら声の似てる2人で歌ったら面白いんじゃないかって。で、Hinaにそういうユニットやってみない?って声をかけました。
Hina:連弾しながら歌うっていうのは新しいし、ほかにいらっしゃらないんじゃないかなと思って賛成しました。
ーー同じ声質なのに、メインボーカルがMonaさんで、コーラスがHinaさんとしているのは何か理由があるんですか?
Mona:2人とも、それぞれ好きなパートだったみたいな…なんでしょう?(笑)
Hina:合唱をやっていたときはソプラノ担当だったんですけど、コーラスをすることというか、ハーモニーを聴きながら歌うのがすごく好きで、なんか自然とそうなったかも。
Mona:コロナ禍でライブが中止になって、“出来ることは何か?”を考えて、3作連続で配信リリースをしたんですけど、みなさんにも楽しんでもらえたようで自信につながりました。アルバムはピアノ連弾ボーカルユニットというスタイルに留まらず、やってみたいことはどんどん挑戦しようということで幅を広げていって、曲ごとに世界観が違うような作品になったと思っています。ファンの方のことを“Kitrist”って呼んでるんですけど、いつも応援してくださる方々に愛を込めて届けたいと思っています。
ーー作品を作っていく流れはどういった感じなんでしょうか?
Mona:基本的には2人でこんな曲を作ろうって話し合いをして、私がメロディを書いて、それをHinaにパスして、意見をもらいながら歌詞を書いたりアレンジをしたりっていうやり方が多いです。最初にデモテープを作るんですけど、基本的にそれがいいねってなることは少なくて、1年2年かけて歌詞やメロディをブラッシュアップしていきます。
ーー1〜2年もかけて仕上げてるんですか? リスナーから、Kitriさんの楽曲は中毒性があるという声が上がっていますが、意識していることはありますか?
Mona:そんな風に思っていただけるんだって、最初はびっくりしました。最近はメロディにしても歌詞にしても“フック”となるような、自分たちも“また聴きたい!”って思えるようなものを作ろうっていう風には意識していますね。
ーーアルバムのリード曲である「青い春」ですが、春らしい楽曲にするために心がけた点はありますか?
Mona:そうですね、まず春の爽やかさや柔らかさを表現する時に、ピアノの透明感が出るような高音域から始めたら胸キュンするような曲になるんじゃないかなと思い、イントロにはこだわりましたね。
Mona:《さよならより言いたい言葉がある》と締めくくってるサビの歌詞には、メッセージを込めているので注目してもらえたらなと思います。春は新たなことが始まる期待や別れのせつない気持ちなど入り混じって心が動く季節ですけど、例えば別れがあった時に“さよなら”って表面上は使うだろうけど、もっとその奥に言いたい言葉があるんじゃないかなと思ってて。“また会いたいね”とか“すごく好きだよ”とか…。
ーー話をうかがって、よりあったかい曲なんだなと感じたので注目して聞きなおしてみます。次に、MVが公開された「未知階段」を楽曲化した理由を教えていただけますか?
Mona:『就活狂想曲』(注)の映像を見た時に自分も学生だったんですけど、流されてしまいそうだったり自分を保つ難しさみたいなものを感じたと同時に、これって誰にでも共通する事なのかなと思い、就活に限らず人生を生きる難しさとかを音楽にしてみたいなと思ってこの曲を作りました。
(注:アートディレクター吉田まほ氏が、2012年、東京芸術大学大学院で修了制作した作品。ごく普通の大学生が“就活”が何かを具体的に見極められないまま“ニッポン式就活”の渦中に引きずり込まれていく様子を描いた作品)
ーー私たちは就活生なんですが、なんか寄り添ってくれるなっていう感じがしました。ほかに今作のアルバムの中で思い入れのある楽曲を教えていただけますか?
Mona:私たちが影響を受けたクラシックというものにリスペクトを込めて作った「水とシンフォニア」です。グリーグの「朝」という曲をモチーフにしたり、サビの部分でKitriの「別世界」という曲のフレーズを取り入れたりして、今までの自分と今の自分を繋ぐような一曲になったので、そういう遊び心みたいなものも楽しんでいただけたらと思います。
Hina:「小さな決心」が好きなんですけど、1番の歌詞をMonaが2番を私が書くという、新しい書き方をしたので面白かったです。
Hina:音源を聞いたときに面白い旋律だったりいろんな音が出てきたりして、必ずしもそういう曲をライブでも原曲通りにしたいってわけではないんですけど、いろんな音で表現出来たらなとは思ってて、必然的に様々な楽器に挑戦することになりました。
Mona:あと、お客さんに毎回新しい感動を届けたいというか、“あ、今回Hinaはベース弾くんだ!”とか“あの楽器なんだろう?”っていう、ワクワクを一緒に共有出来たらいいなという風に思って、特にHinaがいろんな楽器を奏でています。
ーーチャペルなどでも公演していますが、ライブ会場を決めるのはご自分たちで?
Mona:基本的にはスタッフの方が決めてくださっていますが、こういうピアノがあるところが良いとか、こんな響きのある会場で弾いてみたいとか、意見だけは普段から伝えるようにしています。
ーーライブをする際に意識したり大切にしたりすることはありますか?
Mona:ライブってその日その瞬間しかない音源とは違ったものですけど、本当に楽しみに来てくださっていると思うので、時々緊張したり、大丈夫かなって不安になったりもありますが、私たち自身が誰よりも一番楽しもうと心掛けてライブをしています。
ーー今後の夢や目標はありますか?
Mona:多くの方に響くというか、長くずっと愛されるような曲を一曲でも作れたらいいなと思っています。
Hina:音楽作りもそうなんですけど、ライブで全国いろんな所に行って、応援してくださるみなさんに会えたらなって思ってます。
ーーでは最後の質問になりますが、あなたにとって音楽とは?
Mona:音楽とは“生きる道”なのかなと思っていて、自分自身が幼い時から音楽を聴いて救われたり、ひとりじゃないんだなって思えたりしたので、これからもずっと、音楽を好きな者としても発信する者としても触れ合っていきたいなって思います。
Hina:私的に音楽は“味方”というか、いつも自分の心のそばにいて、支えてくれているようなものだと思います。
(日本工学院専門学校 蒲田校/コンサート・イベント科)
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