写真左上段より時計回りに、鈴木慶一(Vo&Gu)、鈴木博文(Ba&Gu&Cho)、岡田 徹(Key&Cho)、夏秋文尚(Dr)、武川雅寛(Violin&Trumpet)、白井良明(Gu)

写真左上段より時計回りに、鈴木慶一(Vo&Gu)、鈴木博文(Ba&Gu&Cho)、岡田 徹(Key&Cho)、夏秋文尚(Dr)、武川雅寛(Violin&Trumpet)、白井良明(Gu)

こう見えて我々は
意外とサービス精神が豊富

それぞれが過ごす時間を大切にできる空間が作られていたんですね。そして、一番訊きたかったことなのですが、活動休止期間中でもバンドの周年やバンド関連のことで何かがあった時にはライヴを開催し続けています。moonridersが続いているのは、ライヴ活動も大きな要因だと思ったのですが、いかがでしょう?

鈴木
それはあるかも。ライヴが嫌いな時期もあったけどね。ライヴをすることは楽しいし、こう見えて我々は意外とサービス精神が豊富なので(笑)。お客さんを楽しませるとか、意表を突くことを考えるのも楽しくて。それって2011年から活動休止中のことですよね?

はい。白井さんはいかがですか?

白井
昨年の12月に恵比寿ザ・ガーデンホールで開催した『moonriders アンコールLIVE マニア・マニエラ+青空百景』では、新しいライヴのプロットが出来上がった手応えがありました。曲間の表現の仕方やステージの始まり方など、ものすごく新しいシーンが入ってくる気がしていて。常にライヴに対しても新人の感覚を持っているから、楽しいんでしょうね(笑)。
鈴木
そのライヴは『マニア・マニエラ』(1982年12月発表)と『青空百景』(1982年9月発表)というアルバムを再現するために開催したけど、完全再現にはならなかった(笑)。そうやる気も全くなかったし。でも、いろんなことをしたんです。モップで床を掃いたりしてね。終わったらとても面白いライヴになりました。
白井
Open Reel Ensembleも参加してくれたから、表現の幅がすごく広がったんですよ。常に面白いことを実現しようとしているから、『マニア・マニエラ』と『青空百景』を表現するためにこのような編成にしました。他にも僕が自作した楽器の“ギタギドラ”を演奏するという挑戦もしたし。81年か82年の渋谷公会堂でのライヴを再現するという意味で言えば、丸、三角、四角の札を出したりしたので、音楽以外でも忙しい部分がありましたね。
鈴木
それも含めてライヴをやっているということは、とてもいいことだと思います。最新作のインプロに挑戦したアルバム『Happenings Nine Months Time Ago in June 2022』(2023年3月発表)もそうですが、我々のできることは未だに広がっている気がしますね。

バンド活動って休止したりすると戻ってこられない場合が多い印象がありますが、moonridersのライヴはメンバーにとっても、ファンにとっても帰ってくる場所になっている気がします。

鈴木
2020年以降にメンバーと再びライヴをやるようになってから、毎回演奏する曲が違うんですよ。個人的に私は相当練習なくちゃいけなくて(笑)。ライヴで演奏したことがない場合もあるので、耳コピしなきゃいけないのが大変。でも、それをやめちゃったら終わりだと思うな。

多くの方はやっていない曲や久し振りすぎる曲は避けたくなると思うので、それをされていることがすごいです。今の自分たちで演奏するから違った景色が見えたりもするのでしょうね。

白井
そうそう。その当時とは違う感じになるし、今の自分たちの感じている雰囲気で表現したりもするから。

お話をうかがって、みなさんが常に音楽を楽しまれて、挑戦し続けているんだということがより深く分かりました。では、最後にバンドにとってのキーパーソンを教えてください。

鈴木
今はやはり岡田 徹くんになりますね。知り合ってから長いし、いい曲もたくさん作っていたし、その曲に歌詞を書かせてもらったし。楽曲を並べてみるとこの曲もあの曲もいい曲だったと思いますよ。岡田くんと最後に交わした言葉について話すと、1月にファンクラブのイベントがあった時に岡田くんが私に対して“いい曲がどんどんと出来上るね”と言っていたので、“そんなことないよ。岡田くんも作ってよ。2020年以来作ってないじゃない”と答えたんです。わりと冷たい言い方をしてしまったので、それが少し悔いに残ってはいますね。
白井
でも、それは怒って言っているわけじゃないからね。
鈴木
岡田くんに“新曲を作ってよ”という気持ちが本当に強かったし、彼の曲が聴きたかったんですよ。もう新曲が聴けないのかと思うと残念で悲しいことだけど、本当にたくさんのいい曲がある。彼の曲はmoonridersのメインストリームをどこか支えていたところがあって。岡田くんがそんな曲を作ってくれるから、私は少し変な曲が作れていた気もしますね。

岡田さんがいるから新しいことに挑戦できたということですね。

鈴木
そうそう。かしぶち哲郎くんもそうなんだよね。11年ぶりにレコーディングをした『it's the moooonriders』(2022年4月発表のアルバム)の制作時もふっと彼がいないことを感じたんです。私の曲がある、白井くんもある、岡田くんもあったし、武川雅寛くんも夏秋文尚くんも鈴木博文もある。でも、何か足りないと思ったら“あっ、かしぶちくんだ!”と強く思いました。
白井
あの人は独特な曲を作っていたからね。
鈴木
その要素があってバランスがいい作品が生まれるんです。だから、また次の作品を作る時に岡田くんの不在間を感じると思うんですよ。
白井
僕がmoonridersに加入する時、最初に電話をしてきてくれたのが岡田くんだったんです。クラブの先輩だった彼が、僕をこっちの世界へ導いてくれたんですよね。だから、今の僕があるきっかけを作ってくれたのが岡田くんなので、僕もキーパーソンは彼になりますね。

取材:岩田知大

OKMusic編集部

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