『みねこ美根の“映画の指輪のつくり方”』

『みねこ美根の“映画の指輪のつくり方”』

『みねこ美根の
“映画の指輪のつくり方”』
- 第四十九回 -
「アリス・イン・ワンダーランド
/時間の旅」の指輪

2017年から本格的に活動を開始したシンガーソングライター〈みねこ美根〉が大好きな映画の世界から作り出す紙粘土細工と指輪の制作過程をお見せします。ミニチュア好きな方、アクセサリーづくりに興味のある方は是非見ていってください。指輪はライブ会場にて展示しております。

動画監督・撮影・編集・演奏・文:みねこ美根

「奪う前に与えてくれてるのね。(2016年「アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅(Alice Through the Looking Glass)」)」

ぎりぎりに支度を始め、大慌てで出発する、私です。このぎりぎりを、本当に卒業したい。この間、たまたま見かけたYouTuberのモーニングルーティン動画で、めちゃめちゃ優雅に支度をして出かける、というシーンを見て、カルチャーショックを受けた。出かける前って慌てるものだと思って生きてきたので、動画が優雅過ぎて、ひっくり返った。時間の逆算が苦手で、いい加減もう子供ではないので、今絶賛訓練中なのだが、時間にはいつも追われてばかり。原因は、どうにもこうにも私の性格の問題なのですが…。ぎりぎりの状態から一度間に合ってしまうとアドレナリンが出て、ぎりぎり中毒になってしまう、というのを聞いたことがある。思い当たる節と、失敗の数々…。どうにかして、ゆとり中毒になりたい。
そんな大切な“時間”をテーマにした映画を今回紹介したい。「アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅」です。「アリス・イン・ワンダーランド」の続編で、ティム・バートンが製作総指揮を務めている。華やかで独特な世界観、公開当時もたくさん宣伝されていたから、知っている人は多いかなと思う。今回は、私が好きな方の2作目をご紹介します。ただ私の耳に入ってきた感想は、めちゃくちゃ評判悪いの、この映画!(笑) 良く言っても、「賛3:否7」くらいの、賛否両論、という感じかな。レビュー観てても、「良いね!」と言ってる人を一生懸命探してる自分がいる。ありゃ。まぁ、私は好きなので、好き勝手書きます。私と同じ“賛”の人を勇気づけられますように(笑)。
幼いころマッドハッターや赤の女王、白の女王が住む“不思議の国”に迷い込み、成長してからはその危機をも救ったアリスは、父の精神と船を受け継ぎ、船長として貿易の仕事に精を出していた。3年の航海を経てロンドンに帰還したアリスは、自宅の所有権を譲渡する契約を無効にすることと引き換えに船を渡せと、元婚約者で貿易会社の会長となったヘイミッシュに迫られる。父の船を渡したくないアリスは、自宅の所有権を生活苦と娘アリスの未来のために譲渡する契約を結んだ母を許せず、喧嘩をしてしまう。そこへ、マッドハッターの異変を伝えに、蝶となったアブソレムが現れる。再びアンダーランド(ワンダーランドではないの)に戻ったアリスは、「死んだはずの家族は実は生きているかもしれない、家族を探してくれ」と心身ともに病んでしまったマッドハッターに頼まれ、一度は断るものの、瀕死のマッドハッターを助けるため、時間を遡るクロノスフィアを持つ“タイム”のもとへ向かう…。という感じで始まる話。

前作は、ティム・バートン自身が監督をしているからか、色合いに終始独特な寂しさが漂い、痛そうな場面やグロテスクな描写が多いが、今作は、鮮やかで華やかな印象であるのと同時に物語の筋書きの巧妙さが増していると感じた。
まず、私が好きなのは、アリスのアリスたる所以、「不可能を可能にするのは、信じること」というモットーだ。私は、「きっと無理だ、どう謝ろうか」「きっと私にはできない」そんなことばかりが、弱い自分に逃げ道を与えて、未来を狭めていたことに最近やっと気が付いたところだったから、改めてこの映画を見直して、今の自分に刺さった。こういうファンタジーものって、「信じる」とか「叶う」とかいう言葉がたくさん出てくるから、大切なメッセージだとしても「はいはい、信じればいいんでしょ」って思っちゃってた。でも、大人になって改めて聞くと、信じること・夢が叶うことの難しさ、でも信じられたときに起きることの尊さがなんとなく分かるから、言葉にさらに意味を感じて、もっと信じたい、叶えたい!って思えるようになった。
そして、この映画の最大のテーマである「時間」。
過去を変えようと奔走するアリス、「過去は変えられない」という“タイム”の言葉。“タイム”は、クロノスフィアをアリスから取り戻そうと追いかけてくる時間をつかさどる“時の番人”で、本作の新キャラだ。つまりは、“タイム”の擬人化とも言うべき存在、“time”を使った言葉遊びも面白い。

この映画、マッドハッターの家族を探すというのが本筋かと思いきや、赤の女王と白の女王の隠された過去の話も登場する。何故、二人が決別したのか、と言うのが分かってくる。いろいろなレビューを見ていると、一番多い批判が、「えっそれでいいの?」というもの。ぜひ見て確かめて欲しいんだけど、私は、全然アリだと思う。「ただそれを言って欲しかった。」ということは沢山あるから。家族なら尚更。言えなかったこと、意地になってしまったこと、聞きたかった言葉、つい言ってしまったこと。私の場合、子どもの頃は特に、つい口をついて出てしまった言葉と罪悪感のオンパレードだった。一言がとんでもない結果になることもあるし、大人になるにつれて、とんでもない結果ばかりが溢れて、原因が何だったかも分からないほどになってしまう。でも、最近本当に思うのは、いつでも伝えようと思えば伝えられるから、伝えろ!ということ。遅いかもしれないけど、“今”が一番早いタイミングだもんね。赤の女王や白の女王の気持ちも、妹がいるから分かるし、マッドハッターの厳しいお父さんに認められたい気持ちも、苦しくなるほど感情移入しまくり。私なんかは最近も家族に甘えて酷い態度をとってしまったので、本当に後悔しないように、自分をコントロールしたい。。。。「今と向き合うこと」を教えてくれる映画です。最後にアリスが“タイム”に言う名言にも注目。
そんでもって、アンダーランドの居場所。本作では明確に言及されないが、アニメとかは“夢落ち”というラストで物語が終わる。でもね、この映画でとっても好きなセリフがあって、

マッドハッター「思い出の庭や、夢の中の宮殿、僕らはそこで会おう」
アリス「でも夢は現実じゃないわ」
マッドハッター「そんなこと誰に分かる?」

ってところ!これ凄く良い。思い出や夢の中での心の大冒険があるから、現実を頑張れるんだよね。アリスも、そのままのアリスでいられる大切な場所や不思議な友達がいるから、大人になっても頑張れてる。心の中の大切な世界、小さいころの思い出や夢みた場所は、いつでも私たちを支えてくれてるって思えたら、すごく勇気が出てくる。

それと、本作は、アブソレムの声を務めた、アラン・リックマンの遺作となっている。見るたびに声を聴けて嬉しいんだ。

大切なことがたくさん詰まった、「アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅」。ぜひあなたの目で見て確かめて欲しい。でも誰が何と言おうと、私の中では良作です!(笑)

自分を信じる、過去ではなく今を見つめる。簡単そうなことほど難しい。でもきっとやれたら、「不可能なことを可能にする」のなんて朝飯前だ。心をたくさん冒険させて、強く生きていこう。
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モチーフ:クロノスフィアと大歯車、ティーセット、タルト、アリの巣、アブソレム、赤の女王の薔薇、「私をお食べ」のケーキ、アリスのお父さんの時計、マッドハッターが初めて作った帽子。
音楽:「Alice’s Theme」 Danny Elfman
   「Just Like Fire」P!NK
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みねこ美根情報

新曲「さよなら起承転結」好評配信中!
https://lnk.to/SayonaraKishoutenketsu

次回ワンマンライブ決定【初めての神奈川県ワンマンライブ】
A Special Day of Mine “BAYSIS 15th ANNIVERSARY”
6月29日(火)横浜BAYSIS
来場チケット予約・配信チケットはチケット予約2021年5月19日(水)0:00~より販売開始。
詳しくは本人はTwitterかホームページにて 
みねこ美根Twitter:https://twitter.com/me_chat_3ne
みねこ美根情報サイト:https://powerpop1999.wixsite.com/minekomine
みねこ美根 プロフィール

ミネコミネ:6歳の時にピアノで初めて作曲、11歳からはギターでの作曲も開始し、現在はピアノとギターを用いてライヴ活動中。2019年1月リリースの配信EP『心火を従えて愈々』で楽曲のクオリティの高さ、世界観が注目を集め始める。同年8月に下北沢GARDENで初のワンマンライヴを開催し、座席チケット、立見チケットともに完売。20年はサウンドプロデュースを手がける誠屋の小名川高弘氏とともに制作した「水面へ」「僕らは飛べるようにできてる」「くわの実」「傷跡」を配信リリース。みねこ美根 オフィシャルHP

OKMusic編集部

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