『みねこ美根の“映画の指輪のつくり方”』

『みねこ美根の“映画の指輪のつくり方”』

『みねこ美根の
“映画の指輪のつくり方”』
- 第四回 -
「ロブスター」の指輪

2017年から本格的に活動を開始したシンガーソングライター〈みねこ美根〉が大好きな映画の世界から作り出す紙粘土細工と指輪の制作過程をお見せします。ミニチュア好きな方、アクセサリーづくりに興味のある方は是非見ていってください。指輪はライブ会場にて展示しております。

動画監督・撮影・編集・演奏:みねこ美根

「私は猛禽類が良いな」(「ロブスター」の指輪)

 年度初め、新しい季節、春。ワクワクする分、心労も重なり、落ち着かない時分でもある。そんな時は、狂った映画を見るのが良い。あなたが思い浮かべる狂った映画は何だろうか。
 私はこの春大学4年生になる。この時期は時間割を組んだり、新しく教科書を買ったりしなくてはいけない。年度初め、教科書売り場が大学敷地内に設置され、そこへ購入しに行く。レジ前の行列に並ぶと、あぁ新学期なのね、と思う。行列には入学したての1年生たちも並んでいるわけだが、新入生同士の会話がなかなか興味深く、一人耳を澄ます。よそよそしくぎこちない会話や、まるで幼馴染のようにきつい冗談を言い合っているのに会話の内容が「初めまして」感丸出しでお互いに傷をえぐり合うだけのやりとり、趣味や出身高校について話していたのにマウンティングが始まってしまい収拾がつかない会話…。なんて難しいのだろうか、会話。私も、入学当初の悩みは、会話が続かないことだった。今もしばしば悩まされる。どうやって話したら良いんだっけ? どうやって友達って作るんだっけ? そんな疑問が大学生にもなって湧いてくる切なさと言ったらない。

 新1年生の会話を聞きながら、老婆心ながら無理はするなよと、曲を作るそんな春。つらいときは、クレイジーな映画を見るのが一番だ。今回、指輪のモチーフにしたのはヨルゴス・ランディモス監督作品2015年「ロブスター」だ。好きな俳優が出ていたので、公開時、劇場に赴いたことを覚えている。
 独身者はパートナーを見つけなければ、動物に変身させられてしまう…という世界。コリン・ファレル演じる独り身の主人公は、独身者が集められる施設に送られてしまう。追い詰められた人々は、なんとかパートナーを見つけようと必死に共通点を見出し、嘘をつき、試行錯誤する。狂った世界のルールに従順に生きる人々の滑稽さが可笑しくて、切ない。極端な設定ではあるが、それゆえに切実さや醜さが際立つ。観客である私たちが生きる世界の、何かのつまみをMAXまで振り切ったのが本作であり、我々の世界の延長線上に存在する世界だから、無責任にわはは!とは笑えない。

 ベン・ウィショー演じる「足の悪い男」が「鼻血を出す女」に近づくため、鼻を力任せにぶつけてわざと鼻血を出すシーンがある。他にも「共通点がなければ親しくなれない」と妄信する登場人物の姿がよく見られる。人間関係において「共通点」はどれほど重要なのだろう。「共通点」を見出すことに躍起になって、その人の素敵なところを見落としてしまわないようにしたいなア…。会話が苦手、友達作りが苦手なあなた、ここにもひとり、そのような人間おります。そして安心したついでに、私の曲を聞いてくれたら嬉しい。聞いてもらえるその日のため、お客様を増やすのだ。さあ、頑張ろう。
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指輪:モチーフ…薄情な女の足、施設のワンピース、右足と裾につく○○の血
   音楽…Sophia Loren & Tony Maroudas Sagapo(Ti einai afto pou to lene agapi)
                        (オルゴールVer. cover)
みねこ美根 プロフィール

ミネコミネ:東京都出身の現役大学生シンガーソングライター。幼少時よりバレエ、ピアノを習い、6歳の時にピアノで初めて作曲。11歳からはギターでの作曲を開始し、現在はピアノとギターを用いて活動中。映画をテーマにデザインした指輪の制作なども行なっている。みねこ美根 オフィシャルHP
みねこ美根 オフィシャルTwitter
みねこ美根 オフィシャルInstagram
みねこ美根 オフィシャルYouTube

OKMusic編集部

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