僕は小学生の時、いじめられっ子だったんです。じゃんけんで負けた子が全員の鞄を持たないといけないという、鞄持ちっていうゲームがあってね。鞄をたくさん持たされてました。まぁ、その前に掃除もさせられているんですけど(笑)。ひとりで床を拭いていると、いじめっ子たちがズラッと並んで“おい、まだか”って言うので、“終わりました”って言うと“じゃあ、鞄持ちじゃんけんだ”ってなってじゃんけんをするんですけど、僕が負けるまでやるんですよ。僕が勝った時は“後出しだ”って言われるの。当時はよく道路にわんこの排泄物が放置されたままになってたから、それを棒でぐりぐりぐりと捏ね繰り回したものを鼻のところに持ってこられたり、竹刀みたいなもので脛を叩かれたり…でも、鞄を落とすとまた学校からやり直しになるんで、それに耐えながらね。もうつらくてつらくて。だけど、母親に言うこともできずに我慢していたんですが、とうとう“実は…”と言った時があったんです。そしたら母はものは考えようというか、“いじめてくれたおかげで、それに耐え抜けた自分は心を強く持つことができたと思っておきなさい”と。“むちゃくちゃなことを言うなぁ”と最初は思っていたんだけど、“このいじめられている体験がいつか人に話せたり、役に立つことがあるんじゃないか”と思うようになったのね。で、あまりにつらすぎて妄想が膨らんで、“いつか誰かが迎えに来て、自分を天空に羽ばたかせてくれるんじゃないか”と夢のようなことを思っていたら、24歳の時にソニーレコードの人から電話があって、“お前をマディソン・スクエア・ガーデンに連れて行く”って言われたんですよ。思っていたことが本当になっちゃった。それ以来30年、この仕事をやって、今日この話をまたしていると!