かわいそうな相方の詩人の誕生日:枡
野浩一連載25
枡野浩一の「今夜も仲なおり」
第25回「かわいそうな相方の詩人の誕生
日」
2月20日は詩人の誕生日でした。
一年前の同日、コンビ「詩人歌人」のネタ合わせのため、二人で新宿二丁目のバー「A Day In The Life」(
一年前の同日、コンビ「詩人歌人」のネタ合わせのため、二人で新宿二丁目のバー「A Day In The Life」(
)にいました。文藝賞受賞作家の伏見憲明さんがオーナーをやっているバーで、私たちは腐女子の主婦「マキさん」がママを担当する日によく行きます。厳密に言うと2月19日にバーに行き、日付が変わって詩人の誕生日になったわけですが、私はその日が誕生日であるということを知りませんでした。
詩人はサプライズが用意されていると期待していたのに、「もう終電がなくなるから帰れば?」と私に言われ、しょんぼりと一人で帰ったそうです。ああ、かわいそうな詩人。
だけど、詩人は自分の誕生日であるということをその前後にも一切言わず、だいぶ経ってから喧嘩の最中に「ほんとうはあの日、誕生日だったのに!」と打ち明けたのでした。
何それ。
恋人同士とかだったら私が責められても仕方のない状況かもしれない。でも芸人コンビの相方の誕生日って、言われもしないのにあらかじめ調べておいたりするものなんでしょうか。そもそも相方の誕生日を祝ったりするんでしょうか、世間一般の芸人の皆々様は。
今年の2月20日は、トリオ「詩人歌人と植田マコト」として、中野のライブに出ていました。終演後、飯でも食べようということになりましたが、時間が遅かったので空いている店がなかなか見つからなくて、私の提案でルノアールでお茶になりました。今こうして文章にしてみると、ちょっとかわいそうだったかもしれない。その日の私は体調が悪く金もなく、店を考えるのがめんどうだったのです。
誕生日プレゼントは買っておいたものを渡したし、「おめでとう」と言ってコーヒーで乾杯もしたのですが、問題はそのあとでした。
詩人はライブでミスをしていたのです。
いつも、私が詩人のことを責めたりした日は、植田マコトさんが優しくフォローするのですが、植田さんが詩人のミスをたしなめた日は、尻馬に乗って私も詩人を攻撃してしまいます。過去の彼がやった酷いことを次々と思いだし、口がとまらなくなるのです。
まあ話がひととおり終わって、前向きな挨拶をしてお開きとなり、詩人と私は家の方向が同じなので荻窪駅まで一緒に帰りました。そして改札口を出たところで立ったまま、私はまた三十分くらい怒ってしまいました。
詩人の誕生日なのに。
さすがに悪かったかなと思い、「阿佐ヶ谷に真夜中までやってるケーキ屋があるけど、まるいケーキでも食べる?」と言ってみたら、「いや、もう、キャパシティ・オーバー」と言い残し詩人はアパートへ帰っていきました。
帰り際、「僕は友達いないから、ライブにお客さん呼べないんです」と言ってました。かわいそう。どなたかファンになってあげて!
冒頭の写真は先日の「さるフェス」で漫才を披露したときの詩人歌人と植田マコト。
詩人歌人と植田マコトは相変わらずライブ三昧の毎日を過ごしています(
詩人はサプライズが用意されていると期待していたのに、「もう終電がなくなるから帰れば?」と私に言われ、しょんぼりと一人で帰ったそうです。ああ、かわいそうな詩人。
だけど、詩人は自分の誕生日であるということをその前後にも一切言わず、だいぶ経ってから喧嘩の最中に「ほんとうはあの日、誕生日だったのに!」と打ち明けたのでした。
何それ。
恋人同士とかだったら私が責められても仕方のない状況かもしれない。でも芸人コンビの相方の誕生日って、言われもしないのにあらかじめ調べておいたりするものなんでしょうか。そもそも相方の誕生日を祝ったりするんでしょうか、世間一般の芸人の皆々様は。
今年の2月20日は、トリオ「詩人歌人と植田マコト」として、中野のライブに出ていました。終演後、飯でも食べようということになりましたが、時間が遅かったので空いている店がなかなか見つからなくて、私の提案でルノアールでお茶になりました。今こうして文章にしてみると、ちょっとかわいそうだったかもしれない。その日の私は体調が悪く金もなく、店を考えるのがめんどうだったのです。
誕生日プレゼントは買っておいたものを渡したし、「おめでとう」と言ってコーヒーで乾杯もしたのですが、問題はそのあとでした。
詩人はライブでミスをしていたのです。
いつも、私が詩人のことを責めたりした日は、植田マコトさんが優しくフォローするのですが、植田さんが詩人のミスをたしなめた日は、尻馬に乗って私も詩人を攻撃してしまいます。過去の彼がやった酷いことを次々と思いだし、口がとまらなくなるのです。
まあ話がひととおり終わって、前向きな挨拶をしてお開きとなり、詩人と私は家の方向が同じなので荻窪駅まで一緒に帰りました。そして改札口を出たところで立ったまま、私はまた三十分くらい怒ってしまいました。
詩人の誕生日なのに。
さすがに悪かったかなと思い、「阿佐ヶ谷に真夜中までやってるケーキ屋があるけど、まるいケーキでも食べる?」と言ってみたら、「いや、もう、キャパシティ・オーバー」と言い残し詩人はアパートへ帰っていきました。
帰り際、「僕は友達いないから、ライブにお客さん呼べないんです」と言ってました。かわいそう。どなたかファンになってあげて!
冒頭の写真は先日の「さるフェス」で漫才を披露したときの詩人歌人と植田マコト。
詩人歌人と植田マコトは相変わらずライブ三昧の毎日を過ごしています(
)。
3/28(土)と予告していた単独ライブの追加公演は、3/29(日)に変更になりました(
3/28(土)と予告していた単独ライブの追加公演は、3/29(日)に変更になりました(
)。荻窪公演はお酒やコーヒーも飲めます。残り20席ちょっと。どうぞよろしくお願いします!
【短歌】
「生まれる」は受動、「生きる」は能動と考えている誕生日イブ (枡野浩一)
※『57577 Go city, go city, city!』(角川文庫)より
【枡野浩一:プロフィール】
ますの・こういち
歌人。2013年春、まさかの芸人宣言。2013年秋、詩人の本田まさゆきと、お笑い芸人コンビ「詩人歌人」を結成。2014年秋、事務所SMA(ソニー・ミュージックアーティスツ)の先輩芸人・植田マコト(元「うえはまだ」ツッコミ)をむかえ、トリオ「詩人歌人と植田マコト」を結成。
【オススメ書籍】かんたん短歌の作り方(ちくま文庫)
【短歌】
「生まれる」は受動、「生きる」は能動と考えている誕生日イブ (枡野浩一)
※『57577 Go city, go city, city!』(角川文庫)より
【枡野浩一:プロフィール】
ますの・こういち
歌人。2013年春、まさかの芸人宣言。2013年秋、詩人の本田まさゆきと、お笑い芸人コンビ「詩人歌人」を結成。2014年秋、事務所SMA(ソニー・ミュージックアーティスツ)の先輩芸人・植田マコト(元「うえはまだ」ツッコミ)をむかえ、トリオ「詩人歌人と植田マコト」を結成。
【オススメ書籍】かんたん短歌の作り方(ちくま文庫)
枡野さんの、よくわかる短歌入門書。 絶賛発売中!
【オススメ書籍】『57577 Go city, go city, city!』(角川文庫)
【オススメ書籍】『57577 Go city, go city, city!』(角川文庫)
※URLがリンクしないサイトでごらんの場合、ブラウザのURL欄にURLをコピペしてください。
アーティスト
タグ
ブッチNEWS