文学座の新作は東憲司(桟敷童子)書き下ろし第2弾『田園1968』〜農地をめぐる三世代の物語を、新橋耐子、加納朋之、越塚学が語る〜
テント芝居の系譜にあり、九州の歴史や伝説を下敷きにした、ケレンと懐かしさに富んだ作品を手掛ける劇作家・演出家、東憲司。彼が率いる劇団桟敷童子とは一見、正反対の関係にありそうな文学座に『田園1968』を書き下ろした。10年前にアトリエ公演として上演された『海の眼鏡』に続く第2弾だ。1968年という混沌とした時代を背景に、都会と田園風景がせめぎ合う日本の地方に暮らす家族の物語。先祖から受け継いできた農地を守ろうとする祖母・サワ役の新橋耐子。農業は時代に合わないからと農地を売りに出そうとする工務店経営の父・梁瀬孝雄役の加納朋之。足を怪我してから前向きになれず、会社務めをやめて祖母の農園を継ごうとする長男・博徳役の越塚学。三世代の俳優陣が紡ぐ物語に、文学座の姿が重なって見えた。