【城 南海 インタビュー】
これからの幅を
広げてくれる種になるアルバム
新しくもあり懐かしくもある
城 南海の表情
歌詞の部分では「青く晴れたら」の作詞の神田 澪さんって作家さんですよね? Twitter…Xで140文字の物語を書いている。
そうです。初めましての方で、ディレクターさんが“どうかな?”って紹介してくださってお願いしました。若い女性の方なので、そういう方に提供してもらうのもいいんじゃないかって。で、作曲はライヴでのバンマスの扇谷研人さんで。
じゃあ、これも詞先で?
メロディーが先でした。ライヴでみんなで歌えるような盛り上がれる曲が少ないので、そういうテンポ感のある曲をイメージして伝えて。歌詞に寄せたことで、結果的に研人さんからいただいたものよりも遅くなったんですが、すごくやさしい世界が紡げているなって。ここ数年、一緒に音を奏でて、いろいろ私のことを理解してくださっている研人さんが書いてくださったメロディーだし…ジャジーなところとか研人さん節がありますよね。温かくて美しい感じだから、ディレクターさんと“夜の散歩のシーンとかいいよね”って話して、神田さんにそういうオーダーをして歌詞を書いてもらいました。これ、タイトルは最後に決まったんですよ。《青く晴れた日には……》と繰り返すから、それがタイトルになるのかと思いきや“青く晴れたら”だったという。そういうところもいいなって。
言葉遣いも作詞家さんじゃなく、作家さんならではですよね。
そうですよね。“ふたり”“ひとり”とかだけで世界が創造されるところとか、140文字で物語を書いている方だからこそ…それは先入観があるのかもしれないけど、言葉で作っているストーリーが、これまでの私の作品と違うなって思いましたね。だから、アルバムの中でいいフックになると思って、この位置に置きました。
大石くんのカバー曲「またこいよ」についてもお願いします。
昔、ふたりで自由が丘のベンチのある遊歩道でストリートライヴをよくやっていたんですよ。私が三味線を持って、大石くんはアコギを持って、「童神 ~私の宝物~」(2014年発表のアルバム『綾蝶~アヤハブラ~』)とか「ハナミズキ」とかやさしい曲を歌っていて、犬を散歩しているおじいさんが通って“いいねぇ。頑張れよー”って言ってくれたり(笑)。その時によく歌っていたんです。
なぜこの曲を入れようと?
最初はこの曲をやる予定ではなかったんです。大石くんが地元の家族を思って歌っている曲なので、この曲はやめようと思っていたんですけど、吉田山田さんや笹川さんの曲を歌ったことで心境に変化が出て、みんなにとってのふるさとを歌えばいいと思うようになったんです。それで三味線1本でやろうと。普通は楽器と歌は別に録るじゃないですか。でも、この曲は三味線を弾きながら歌を録ったんです。
それ、分かります! ちゃんと音に出ていますよ。
本当にナチュラルに歌いました。3回くらいやって一番いいものを選んだ感じです。だから、編曲のクレジットが“城 南海”になっているんです(笑)。
そういう背景なんですね。15周年記念のアルバムなので家族への感謝の想いを入れたのかと思っていました。
もちろんそれもあります。それはこの曲に限らず、いろんな箇所に出ていると思いますね。「爛漫」も「私だけの海」もそうだし。だから、15周年記念のアルバムだからこそ、ふるさとをテーマにした曲ということで選んだところもあるので、そこを感じていただけて嬉しいです。
いわゆる自分のことを歌った“個”の曲だけど、だからこそ聴く人が自分のものに落とし込める曲でもありますよね。
そう思ってもらえると嬉しいですね。めちゃくちゃ音数が少なくて、ほとんどアカペラみたいな曲なんですが、ボーナストラックみたいにはしたくなくて。本当にアルバムの一曲として届けたかったんです。
そんなアルバムを三部作の最後だった「愛の名前」で締めるという。どんなアルバムが作れた実感がありますか?
「産声」(2021年1月発表の『Reflections』収録の森山直太朗から提供曲)からつながっていると感じていて…一番最初に大人たちと話し合っていた時も、“「産声」っていいよね。あの感じを出せたらいいね”と言っていて。だから、本当の私の声と素の自分…“人間・城 南海”が出せればって。それがわりとできたと思いますね。気負わずにみんなと作っていけた…だって、このジャケ写はマネージャーさんがiPhone15を買ったんで、それで何気に撮ったものなんですよ(笑)。もちろんブックレットの中の写真はバチバチに決めていますけど。新しいメーカーで、新しいチームという意味でもひとつのターニングポイントなんですが、ちゃんと話し合いながら作れたので、本当に良かったと思っています。すごくいいスタートになりましたね。自分の日常を歌うっていうところで曲を作れたのもそうだし、これからの幅を広げてくれる種になるアルバムだと思います。
笹川美和さんや吉田山田、矢野まきさんたちが別角度から南海ちゃんの魅力を引き出してますしね。
新しくもあり、懐かしくもある城 南海の表情を楽しんでもらえるんじゃないかと思いますね。笹川さんが歌っている姿を花に例えて“爛漫”と表現してくださったんですけど、そういうふうに咲き誇っていくように、みなさんの手元にいろんな色の花が届くといいなと思います。
取材:土内 昇
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アルバム『爛漫』2024年1月24日発売
テイチクエンタテインメント
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アルバム『「爛漫」15th Anniversary Deluxe Edition』2024年1月24日発売
テイチクエンタテインメント
『城 南海 ウタアシビ ~15周年記念コンサート~ in 奄美大島』
3/16(土) 鹿児島・アマホームPLAZA マチナカホール(奄美市市民交流センター)
『城 南海 ウタアシビ 2024 〜爛漫〜』
4/14(日) 宮城・LIVEDOME STARDUST
4/28(日) 大阪・umeda TRAD
4/29(月) 愛知・ボトムライン
5/03(金) 鹿児島・CAPARVOホール
5/04(土) 福岡・Gate’s 7
5/11(土) 東京・大手町三井ホール
キズキミナミ:平成元年 鹿児島県奄美大島生まれ。奄美民謡“シマ唄”をルーツに持つシンガー。2006年に鹿児島市内でシマ唄のパフォーマンス中にその歌唱力を見出され、09年1月にシングル「アイツムギ」でデビュー。代表曲は、NHKみんなのうた「あさなゆうな」、「夢待列車」をはじめ、NHKドラマ『八日目の蝉』の主題歌「童神~私の宝物~」、NHKBSプレミアム時代劇『薄桜記』の主題歌「Silence」、一青窈作詞、武部聡志作曲・プロデュースのシングル「兆し」など。また、テレビ東京『THE カラオケ★バトル』に2014年7月に初出演以来、毎回高得点をたたき出し、現在、番組初となる10冠を達成。オンエアの回数が重なるにつれ、カバーアルバムを望む声が多く集まり、15年に初となるカバーアルバム『サクラナガシ』『ミナミカゼ』、17年11月には3枚目のカバーアルバム『ユキマチヅキ』をリリース。20年にはディズニー実写映画『ムーラン』の日本版主題歌「リフレクション」の歌唱が決定し、日本版の訳詞も担当。ライヴでは毎年恒例のワンマン公演『ウタアシビ』の他、さまざまな音楽フェスティバル、イベントに出演している。城 南海 オフィシャルHP
愛の名前」MV
「あなたへ」MV
「柔らかな檻」MV
城 南海"duoでduoアシビ〜十六夜〜
" Digest(爛漫 15th Anniversary
Deluxe Edition )