『城 南海×笹川美和 duoでduoアシ
ビ ~十六夜~』、稀有な才能を誇る
歌姫・二人が語るイベントへの想い

鹿児島県奄美大島出身、奄美民謡「シマ唄」をルーツに持つ歌姫・城 南海が、7月から3ヶ月連続でゲストを迎えてのイベント『城 南海 duoでduoアシビ』を開催している。7月ゲストの吉田山田、8月の大石昌良に続いて、言葉を紡ぎ出すストーリーテラーな面と経験を歌に昇華するエッセイスト的シンガーソングライターとして、唯一無二の楽曲を生み出し続け、9月13日にはデビュー20周年記念アルバムをリリースする笹川美和を迎えての第三弾『城 南海✕笹川美和 duoでduoアシビ ~十六夜~』を9月30日(土)渋谷duo MUSIC EXCHANGEにて開催する。イベントの開催も迫って来たこの機会、公私ともに仲が良いという稀有な才能を持つ歌姫二人に、出会いからイベントへ向けての想いを存分に語っていただいた。
――取材開始前からとても楽しげにお話しされていたお2人、まるで仲睦まじい姉妹のように見えます。
笹川:あ、そんなふうに見えました? 私からすると、南海ちゃんは本当にかわいくて。
城:私も美和姉のことが大好きすぎて、取材だというのにいつもと変わらないテンションになってしまっています。
笹川:ホント、南海ちゃんと話してると取材であることを忘れちゃう(笑)。私は2019年6月に地元・新潟から東京に引っ越してきたんですけど、それからほどなくしてコロナ禍に突入してしまって。3年近く、南海ちゃんともなかなか会えなかったよね。
城:そうそう、お互いに「会いたいね」って言いながら。でも、美和姉がSNSで“うたつなぎ”のバトンを渡してくれて。
笹川:南海ちゃんが三味線を弾きながら歌う「BELIEVE」、すごくよかった。
城:美和姉がバトンを渡してくれたおかげで、中学生のときに合唱コンクールで歌った思い出の曲を久々に歌うことができました。
――2016年に城さんがリリースしたアルバム『月下美人』に収録の「月下美人」「晩秋」という2曲を笹川さんが楽曲提供されたり、笹川さんの15周年ライブに城さんがお招きされたりもしていて、プライベートでも懇意にされているというお2人。仲良くなったきっかけ、憶えていますか?
笹川:今言っていただいた「月下美人」「晩秋」がきっかけだよね。
城:そうですね。「曲を書いていただけますか?」ってお願いしたら快諾していただいて。美和姉は私にとって憧れの存在だったから、飛び上がるほど嬉しかったです。
笹川:ホントに? 南海ちゃんの存在はもちろん知っていたし、私はクセが強すぎるのか楽曲提供の依頼ってなかなかないので、逆に私でいいの?ありがとう!っていう驚きと喜びがあって(笑)。南海ちゃんの故郷である奄美大島の色を出しつつ、もしかしたらそれまで南海ちゃんが歌っていなかったような艶っぽい歌詞を入れてみようとか、いろいろ試行錯誤して曲を作りました。

城 南海

――笹川さんにとって、城さんは創作意欲を駆り立てる存在でもあったのでしょうか。
笹川:まさにそうですね。曲を作る人間にとって、歌唱力が抜群であるっていうのはまず大きな安心素材だし、南海ちゃんはアイデンティティもしっかりしているので。
城:当時、カラオケ採点のテレビ番組でカバー曲を歌うことが多かったんですけど、それをきっかけに私のことを知ってくださる方たちに自分の音楽も発信していきたい、という気持ちが強まっていたタイミングで、美和姉が私のためにいろいろ考えて2曲も書いてくださって。本当に素敵な2曲をいただいてありがたかったし、美和姉のピアノと歌声が入っているデモ音源、今も大切にとってあります。
笹川:え、まだ消してないの? 弾き語りは苦手だからお恥ずかしい……。
城:いえいえ、添えられていたお手紙にしても私の宝物ですから! 本当に感謝してもしきれないです。
笹川:張り合うわけじゃないけど(笑)、私も感謝してるんだよ? 完成した曲を聴かせてもらったら、南海ちゃんの歌声もお任せしたアレンジもドラマティックで素晴らしくて。自分の作った曲が素敵な南海ちゃん色で彩られている、すごい!って感動したもん。
城:そう言っていただけると嬉しいです!
笹川:ちなみに、「晩秋」のMVは、私がデビューのときからずっとアレンジでお世話になっている林有三(作曲家、編曲家)さんの息子さんである林響太朗さんが監督されているんですよ。
城:MV撮影の現場で「実は僕の父がずっと笹川さんの楽曲のアレンジをしているんです」ってうかがって、それはもうびっくりしました。こんな偶然があるんだ!って。
笹川美和
――なにかとご縁のあるお2人なんですね。
笹川:やっぱり、運命感じるよね。
城:ですね。
笹川:その後、私の15周年ライブに南海ちゃんがゲスト出演してくれて、そのあたりから一緒にご飯に行くようになって。最初に食べに行ったのは、確かエスニック料理だったよね。
城:すごく美味しかったし、初めての2人ご飯のときからめちゃめちゃ楽しかった。
――波長が合うし響き合うし、一緒にいて居心地がいいというか。
笹川:そうなんだと思います。アーティストとして同じカテゴリーに属しているから、私の知り合いのアーティストさんと会ってもすぐに仲良くなるだろうし。南海ちゃんは、私にとってとても居心地のいい人なんですよ。
城:私も同じです。なんでしょうね、美和姉は新潟、私は奄美大島で地域性は違うけど……お互いに田舎育ちだからかな(笑)。
笹川:それはあるかも(笑)。あらためて考えると、音楽の話はほぼしないけどね。
城:言われてみれば確かに。
笹川:音楽論を熱く語らないところも合うのかもしれない。あと、さっき「姉妹のよう」って言っていただきましたけど、私は長女で南海ちゃんは末っ子だから、自然と姉妹みたいになるのかもしれませんね。私は下に弟が2人いて……。
城:私は兄が2人。
――お互いに、こんな妹がほしかった、こんなお姉ちゃんがほしかった、みたいな。
笹川:そうそう!
城:それですね。美和姉はすごく才能溢れる音楽家ですけど、話してみると気さくで優しくてお茶目な人。本当に魅力的なんです。
笹川:抜群に歌がうまくて、見た目も性格もかわいい南海ちゃん。目の中に入れても痛くないですよ(笑)。
城 南海 / 笹川美和
――お互いにベタ惚れであることがひしひし伝わってきます(笑)。アーティストとしてお互いのどんなところに惹かれるか、それを言葉にしていただくことはできますか?
城:私は中学生のころに美和姉の歌声に出会ったんですけど……。
笹川:もしかして私が1stアルバム『事実』をリリースしたくらい?
城:そうですそうです。地元の奄美大島を出て鹿児島市内に移ったんですけど、同じ鹿児島県でも言葉や人との接し方、文化があまりに違いすぎて、最初はなかなか馴染めずに不安な日々を過ごしたんですね。そのころから歌手デビューして今に至るまで、美和姉の歌はずっと私の背中を押し続けてくれているし、私にとって美和姉の歌は心の支えだし、人生に欠かせないものなんです。自分の10周年ライブのときには、勝手ながら美和姉の「笑」をカバーさせていただいたりもしたんですよ。
笹川:そうなの? ありがとう!
城:美和姉の歌声はもちろん、歌詞も大好きで。そのときそのときの自分の気持ちを重ねられるし、いつも勇気をもらっています。ピアノを弾きながら歌詞とメロディを同時に紡いで作り上げいく美和姉の曲には、心地よいうねりがあって。私は小さいころクラシックピアノを習っていたんですけど、作曲はあまりしてこなかったので、ピアノで独創性ある素敵な曲を生み出し続ける美和姉は憧れの存在でもあります。
笹川:そんなふうに言っていただけてどう答えていいものやら戸惑ってしまいますけど(笑)……すごく嬉しいです。私はもう、南海ちゃんの歌唱力は本当に素晴らしい!と思っていて。自分で曲を作って好きなように歌っている私と違って、南海ちゃんはいろいろなカバー曲はじめどんなテイストの歌も歌えるし、それでいてオリジナリティもしっかり持っている、その2つの軸がしっかりあるアーティストって、実はそうそういないと思うんですよね。あと、三味線を弾けるというのも羨ましいんですよ。しかも圧倒的にかわいい!(笑) 南海ちゃんなら、三味線一本とその歌唱力で世界中どこにいっても人の心を惹きつけられると思います。
城:わ、嬉しい。美和姉にそう言っていただけると自信を持てます。
笹川:もともと歌手としての素養があって、“シマ唄”が根付く生まれ故郷で幼いころからしっかり才能を磨いてきた南海ちゃん。先日のワンマンライブ(2023年3月開催)を観に行かせてもらったときも、歌も三味線も本当にうまいな、と心底思いましたから。
城:ありがとうございます! 私は、美和姉さんの歌には“紫雲寺の風”を感じてもいて。
笹川:今は隣町に吸収合併されてしまった私の地元・紫雲寺町、かなりの田舎だけどね(笑)。
城:その地元の香りをずっと大事にされているのがすごく素敵だし、美和姉の歌はどれも美しい景色が見えるんですよ。この間、プラネタリウムでのワンマンライブ(2023年6月開催)を観させていただいたときは、ずっと泣いていました。
笹川:そうだったの?
城:もう、涙が止まらないんですよ。1stステージと2ndステージ両方観させていただいたんですけど、目の前に広がる星空と美和姉の歌声の相性がよすぎて、ただただ浸っていました。
笹川:ステージは想像以上の暗さで演奏陣ともどもなかなかの緊張感があってしびれたけど(笑)、没入してもらえたならよかった。
城:終演後には、楽屋でいろいろな方を紹介してくださって。美和姉、疲れているはずなのに……ありがとうございます。
――尊敬し合い信頼し合う仲だからこそ、自分にとっての大切なものや人たちをお互いに紹介したり共有したりしたいというか。
笹川:そういう感覚、あると思います。
城:それこそ、美和姉の15周年ライブでウッドベースを演奏していた鈴木正人さんが素敵だな、と思って『城 南海✕大石昌良 duoでduoアシビ ~山の日~』で初めて私のライブに参加していただいたりとか。
笹川:そうやって自分の好きな人、大事な人がつながっていくのってすごく嬉しいことでもあるんです。プラネタリウムライブにしても、南海ちゃんにぜひやってほしいな。すごく合いそう。
城:美和姉のプラネタリウムライブ、本当に素敵だったので私もいつかやってみたいです。
笹川美和
――そして、2023年9月30日に渋谷Duo Music Exchangeで昼夕2公演開催される『城 南海duoでduoアシビ ~十六夜~』、これは城南海さんと笹川美和さんの初のツーマンライブとなるんですよね。
城:そうなんです。『duoでduoアシビ』と題して3か月連続でご縁のある方とツーマン公演させていただくにあたり、最終回はぜひ美和姉とご一緒させていただきたいな、と思いまして。美和姉ご自身が20周年でお忙しいと思うんですけど、今回もまた出演を快諾していただけたんですよ。
笹川:もちろんですよ。南海ちゃんが歌ったり、小さくてかわいいお手々で三味線を弾いたりする姿をすぐ隣で観られるって、特権ですからね(笑)。
城:私、美和姉が15周年ライブで「サンクチュアリ」を歌ったときは隣でずっと泣いていたし、今思い出しても泣いちゃうくらいで。
――だとしたら、今度のツーマンライブ大丈夫なのかという心配が……(笑)。
城:そうなんですよ、感動のあまり涙止まらなかったらどうしましょう(笑)。でも、念願だった美和姉との初のツーマンライブ、私たち自身楽しんで、来てくださる方たちにも楽しんでいただけるものにしたいです。
――城さんはデジタルシングル「柔らかな檻」「あなたへ」、笹川さんはデビュー20周年を記念した初の2枚組アルバム『続』と、直近の発表楽曲も聴けたりしそうでしょうか。
城:ですね。『続』の曲が聴けるの、すごく楽しみです!
笹川:ありがとう、私も南海ちゃんの新曲を生で聴けるの、リハーサルから楽しみにしてる。
城:あと、“十六夜”というサブタイトルにちなんで月にまつわる楽曲もセットリストに入ります。
笹川:この日ならではの選曲だよね。
――お2人のコラボも期待していてよろしいでしょうか。
城:もちろん、コラボもします。
笹川:私が楽曲提供した「月下美人」「晩秋」だけじゃなく、お互いの曲をカバーしたり一緒に歌ったりとか。昼公演と夕公演で披露する曲を変えようかな、とも思っています。ただ、2人で話し始めると止まらなくなっちゃうし、どうしても素が出ちゃうからね。MCからちゃんと歌に戻れるかは心配(笑)。
城:予定時間内に収まりますかねぇ(笑)。
笹川:でも、そういうトークも含め、ライブならではの楽しみが絶対にあるし、どちらのファンも一緒になっていい空気感が生まれるといいよね。
城:“アシビ”の意味は“遊ぶ”なので。ファンの方も一緒にみんなが音楽でつながれる、楽しくて幸せな1日にしたいです。

城 南海

――今後、お2人でやってみたいこともあるのでしょうか。
笹川:お互いの地元で、一緒にライブやってみたくない?
城:私もそれ、思ってました! 一緒に地元でライブができたら、それぞれの曲の背景にこういう景色があるんだ、っていうことをお互いのファンの方にも感じていただけるだろうし。美和姉の案内で、紫雲寺や佐渡島も行ってみたいです。
笹川:佐渡島はね、すごくいいところ。紫雲寺の街自体は、入ったと思ったらすぐ出口のすごく小さな街なんだけどね(笑)。
城:そういう長閑な空気を感じながら、美和姉の地元で歌ってみたいな。
笹川:私も奄美大島に行ってみたいんだよね。南海ちゃんのご両親にご挨拶もしたいし(笑)。
城:ぜひぜひ!(笑)
笹川:まずはあれだね、お互いの地元を一緒に旅して、どこでライブができそうか下見をしよう。
城:そうしましょう!
笹川:あとさ、海外にも行ってみたくない?
城:(すかさず)行きたい!アイルランドとか。美和姉の曲、アイリッシュなテイストのもの結構ありますよね。
笹川:うん。アイルランド民謡とかアイリッシュな音楽が好きで。アイリッシュ音楽と三味線ってすごく合うんじゃないかな、って思ったりもする。
城:そうなんですよね。実際、元ちとせさんがアイルランドのバンド・ザ・チーフタンズとコラボしていたりして。
笹川:アイリッシュフルートとかアイリッシュハープとかのきれいすぎないざらついた音って、三味線とすごく相性がいいもんね。
――じゃあ、アイルランド旅行に行くなら城さんに三味線を持っていっていただいて……。
笹川:飛び込みでライブしてみたりとか。
城:現地のミュージシャンとセッションしたりできたら楽しそうですよね。
――お2人で話していると、夢もどんどん膨らんでいきますね。聞いているだけでワクワクします。
笹川:そう思っていただけたらよかったです(笑)。南海ちゃん、これからも末永くよろしくね。
城:こちらこそよろしくお願いします!

取材・文=杉江優花 撮影=大橋祐希
城 南海 / 笹川美和

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

新着