城 南海

城 南海

【城 南海 インタビュー】
これからの幅を
広げてくれる種になるアルバム

新しい引き出しを作りながら、
自分とも向き合う

そんなー配信三部作を経ての15周年記念のアルバム。どんな作品にしたいと思っていましたか?

“愛”をテーマにした三部作がありつつ、新しいチームということもあり、私のこれまでの曲を聴いていただいた上で、今までやってこなかったような曲を意識して集めてくださったりして。あと、『城 南海 duoでduoアシビ』(2023年7月から3カ月連続で行なった自主企画公演)をやった時はアルバムに曲を提供してもらうっていう流れはまったくなかったんですけど…

えっ!? 吉田山田、笹川美和さんと曲提供してくれている人たちとの共演でしたよね。

そうなんですけど、あれは本当にライヴ単体で考えていたので。でも、アルバム制作に入った時だったから、まず吉田山田さんに楽屋で“ちなみに楽曲を書いてもらえたりとかって…”と言ったら“書くよ”って言ってもらえて、笹川さんにもお願いして…まぁ、大石くんは忙しくてカバーになったんですが。だから、あれだけ好き勝手にやらせてもらったライヴがアルバムにつながって良かったし(笑)、ありがたいなって。そうやって私のことを知ってくれている人たちからの楽曲提供と、“こういう曲はどう?”っていうもので構成…編曲の方もエンジニアの方も全部同じ方なので、そういう統一感もありながら、新しいチームで作っていって、新しい引き出しを作りながら、自分とも向き合うということで、より自分らしく、ナチュラルに歌えた曲がたくさんあるって感じです。

確かに今作はナチュラルというか、南海ちゃんらしい印象があります。

そうですね。気負わずに、いい意味で力も抜けて、自分の声の響きを楽しみながら歌えたのかなって思います。やっぱりカバーアルバムの時は“自分をどう出すか?”と意気込んで、力んでいた部分もあったと思うので、そういうものを経て自分らしくナチュラルに歌えたかなって。これまでのアルバムの中で、その感覚が一番強いと思いますね。

曲を作ってもらうにあたって、何かリクエストしたこととかは?

そこはディレクターさんが伝えてくれたみたいです。笹川さんに関しては「晩秋」や「月下美人」(どちらも2016年11月発表のアルバム『月下美人』収録曲)を作っていただいた時は、まだプライベートでお会いしたりとかはなかったのですが、そのあとの交流を経ての私の今の気持ちを汲み取ってくれたものを尊重するとか、タイトルも「晩秋」と「月下美人」を踏襲してきれいな日本語でお願いしたりとか、私たちの関係性に任せてくれた感じで。その時はアルバムのタイトルにするとかもなくて。吉田山田さんに関しては“南海ちゃんにどうかな?”って3曲作ってくれて、その中から彼ららしい温かいハッピーな感じに私の声が乗ったらどうなるのかっていうところで、一番ワクワクしたものを選ばせてもらいました。

笹川さん提供の「爛漫」、めっちゃいい曲ですよね。

いいですよね、本当に。

デビュー前に笹川さんのオープニングアクトをやっていたんですよね。

はい。中学生の時からずっと支えていただいている方から、この15周年に“お花のように咲き誇って、楽しく歌っていってね”というメッセージを受け取ったような感じです。シャワーを浴びていて“爛漫”という言葉を思いついたそうで、その言葉自体がすごく素敵だったのでアルバムタイトルにしたんですけど。あと、“南海ちゃんのことを考えていたら“種火”という言葉が浮かんだ”とおっしゃっていて、そこから一気に歌詞を書き上げたそうです。

歌詞の最後の《歌、爛漫。》がすごくいい言葉だし、“。”で終わるのもまたいいなと思いました。

いい言葉ですよね。“ん”で伸ばすなんてなかなかないんですけど、笹川節だなって。本当に私のことを思って誠実に書いてくださっているのがすごく伝わってきて、それがまた背中を押してくれるというか。

生歌っていく曲が増えましたね。

増えましたね。だから、“これはもう絶対にリード曲でしょ!”って満場一致でした。

もちろん1曲目でね。

はい!

吉田山田提供の「ふしぎ種」は温かくてほっこりする曲ですね。

日常の幸せとかってこれまで歌っていなかったので、そういうものを歌いたいと思っていて、もらった3曲の中でそれが一番強かったのがこの曲だったんです。吉田山田さんの曲って老若男女をハッピーにするパワーがあるじゃないですか。その感じを私も歌いたいと思っていたので、とても素敵な曲をいただきました。

ただ日常の多幸感を歌うのではなく、ちゃんとコロナ禍を経た今の感覚で歌っているのがいいですよね。

そうなんですよね。これも“種”なんですよ。で、エンジニアも種村さんなんですよ(笑)。

“種”に縁がある15周年記念のアルバムなんですね(笑)。

そうなんです(笑)。“種”ということで、自分の中に芽生えたものが広がっていくっていうことにもすごくいいテーマになっていると思っていて。ライヴでみんなと盛り上がりたい曲ですね。温かくハッピーにつながれる曲なので。

《花開く日を待つより/花開くまでを楽しみたいな》とかすごくいいフレーズですよね。

私も思いました。《花びら散る寂しさと/落とした種が芽吹く喜びと》とか、本当に良くて。自分の曲にはなかった表現…例えば《水をやる》とかちょっとした言葉のチョイスがユーモアのある吉田山田さんっぽいなって。彼らも15周年ですし、背中を押してくれる感じがあって、曲をいただけたことが嬉しかったです。

OKMusic編集部

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