加藤ひさし

加藤ひさし

加藤ひさし(THE COLLECTORS)
- Key Person 第11回 -

ただ楽しい、ワクワクする音楽が
ロックンロール

J-ROCK&POPの礎を築き、今なおシーンを牽引し続けているアーティストにスポットを当てる企画『Key Person』。第11回目のゲストはTHE COLLECTORSのリーダーであり、ヴォーカリストの加藤ひさし。学生時代に自分の人生を変えた衝撃的なレコードのエピソードや、影響を受けた人物、“売れるモッズバンド”を志すに至るまでのルーツを探る。

「Yellow Submarine」ばかり
歌ってたのを覚えてる(笑)

中学2年生の時にロックに目覚め、The Beatlesの「A Hard Day's Night」を一番最初にコピーしたそうですが、当時のロックに対する気持ちはどのようなものでしたか?

ロックンロールは反逆の音楽とか、抵抗の音楽とかって言われていたけど、全然そういう感じではなくて、ひたすら楽しかったんだよね。The Beatlesは最初に「She Loves You」を聴いて好きになったんだけど、““yeah”って言葉をこんなに楽しそうに歌う連中がいるんだ!?”って一発でやられちゃって。ただ楽しい、ワクワクする音楽がロックンロールだった。

その頃からご自身でもギターを弾くようになっていって?

家に親父のアコースティックギターがあったので、何となくコードのタブ譜を見ながら押さえて練習してたんだけど、ハイコードのない曲が「Yellow Submarine」しかなくて、そればかり歌ってたのを覚えてる(笑)。

それからThe Beatlesの他にもThe Whoを聴いたり、The Jamをはじめパンクを好きになったそうですが、好きな音楽を見つけていく中で、加藤さんが特に印象に残っているレコードは何ですか?

自分を変えたレコードっていくつかあるんだよね。The Beatlesの「She Loves You」を聴いて、最初にベスト盤の『オールディーズ(原題:A Collection Of Beatles Oldies)』を聴くわけ。ベストだから初期のいい曲しか入ってなくて、“これはすごいぞ! どの曲も素晴らしいじゃないか”ってびっくりしちゃったのがこの作品で、それからはロックの深みにハマるんですよ。The Beatlesを好きになったらThe Beatlesを全部聴いて、聴き終わっちゃったらThe Beatlesと同じ時代に活躍していたThe Rolling Stonesを聴いて、次はThe Whoを聴いて、The Kinksを聴いて…って横にグワーッといくわけ。他にリアルタイムでヒットする曲もたくさんあって、そんな中でもパンクロックでふるいにかけられるんだよね。パンクロックをクズだって言った奴と、エキサイティングだとシビれた二派に分かれるの。二派に分かれるのは俺たちの世代なんだけど、パンクが出てきたのは1977年で、その時17歳なんだよ。17歳の時にハードロックとかテクニカルなものしか聴かない頭になってるロックマニアと、新しいと思ったら飛びつく奴の真っふたつに分かれるから、俺より年上は“あんなのはクズの音楽だ”ってパンクを全否定する人が多くて、同級生の中でも半分くらいはそう思う人がいた。で、下の世代になればなるほどパンクがカッコ良いって言い出すんだよね。そんな中で衝撃だったのはSex Pistolsの『勝手にしやがれ!!(原題:Never Mind the Bollocks, Here's the Sex Pistols)』。あれでふるいにかけられた。

あえて一番を選ぶとしたらSex Pistolsの『勝手にしやがれ!!』ですか?

いや、俺の中で一番衝撃的なレコードは他にあって。そのあとにパンクの中でニューウェイブってムーブメントが起きて、XTCってイギリスのバンドが出てくるんですよ。XTCが1960年代の音楽をパロディーしたレコードを1985年に作ったんだけど、よく通ってた輸入のレコード屋さんの店長が“加藤くん、これ聴いたことあるの?”ってそのレコードを渡してきて。それを聴かせてもらったら、全然聴いたことがないレコードだし、すごくカッコ良くて、店長にも“これ知らないの? 嘘でしょう!?”って言われ…当時の俺はThe Beatlesを聴いたてから60年代のイギリスの音楽は網羅してるつもりだったんだよ! だから、そのレコードを知らない自分にめちゃくちゃショックを受けてさ。ジャケットも見せてもらったけど、日本では発売される前だったから見たことがないし…もう、どれだけショックだったか分かる?(笑) そのまま騙されてそのレコードを買ったんだけど、家に帰ってよく盤面を見たら“85年”って書いてあって“ふざけんなよ!”って(笑)。調べたらThe Dukes Of StratosphearっていうXTCの変名バンドで、67年当時の楽器を駆使して、音も曲も真似をして演奏したアルバムってことが分かったんだ。もうそれが衝撃すぎて、逆にそこから自分の解放主義というか、“レトロなものを今やっていいんだ!”って思ったの。それまでは懐メロみたいに思ってたから、少しでも新しいものを作らないといけないんじゃないかってどこかで思ってたんだけど、“これでいいんじゃん! むしろこれがやりたい”って。1985年リリースの『25 O'Clock』、これ以上に衝撃があったレコードはない。

加藤さんはその店長の方にとても可愛がられてたんですね(笑)。

あの時は僕を騙すなんて本当に殺してやろうかと思ったけど(笑)、そういうことですね。熊谷には輸入盤を置いてるお店もほとんどなかったし、いいレコードがあると取っておいてくれたり、輸入盤も好みのがあったら店長が先に入れてくれたりして、それを聴いて育ったんだよね。昔はレコード屋にも楽器店にもマニアの人が多かったから、古き良きいい思い出です。

OKMusic編集部

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