取材:榑林史章

今回のシングル「ZERO」は、アルバム『K.O.』から約1年半ぶりの音源リリースになりますね。

曲はね、作ろうと思えばいつでも作れたんだけど、その時のままの状態で作っても、何もオヤジから学べてないって思って。オヤジもずっと曲を作り続けて、そのたびにいろいろ言われたんだろうし。でも、評価されたくて始めたわけじゃないって思ったり。何て言うか、曲を作ることの深さ…すごいこんがらがっちゃって。そんな時にホントたまたまなんだけど、この『ZERO』っていう曲が初期の気持ちに戻らせてくれた。だから、今の気持ちは『Why I'm Me』(2000年リリースの3rdシングル)くらいで。

Coca-Cola ZeroのCM曲になっていますが、最初にこのタイアップの話が来た時はどう思いました?

俺も洋服のブランドをやっていて、3~4年前に設立した時にチームで話をしたことがあるんです。うちのブランドが超有名になって大企業からコラボの話が来て、ダブルネームでやれるとか広告をバーンと打てるとなった時、そのチケットを受け取るかどうかってことを。その時は、俺らは受け取らないで、地道に、老舗のようにスタイルを変えず100年同じジーパンを作り続ける、何事もそういう精神でやっていこうと思ってました。

では、今回受けたのはどうしてですか?

“いいバンドがいるよ”って俺らを勧めてくれた人がいて。そういうバンドを捜して、RIZEいいねって言ってくれた人がいることが単純にうれしかったのがひとつ。それにメリットがあるとかないとかじゃないところで同じ人と人としてつながれて、その上で楽しかったり、ワクワクしたりするって部分を求めるのは全然違和感なくて。だから、素直に“やったろうじゃん!”って。

すごく純粋なところで共感できたわけですね。

そう。だって、CM観ても俺の歌なんか全然聴こえないでしょ?でも、それでもいいっていうか、そういうこっちゃないんですよ。本当にケミストリーだと思うからね。

タイトルもそのままで、歌詞も“GOING BACK TO ZERO”をテーマに書いていますが、それはCM側からの要望もあって?

いや、全然。“Coca-Cola Zeroだから、曲も『ZERO』にしちゃえ!”って軽いノリ。サービス精神ですかね(笑)。今までの俺らだったら、あまのじゃくに真逆のことをやったと思うけど、今回はすんなり“ZERO”でしょ!って。響きもカッコ良いと思ったしね。それで、俺も初期に戻ろうみたいな単純な感じで歌詞を書いたんです。それからCMの映像を観ました。

中田英寿さんがボクシングをしているものですね。

ついこの間まではサッカー選手で、最近は世界の子供たちを救おうと『TAKE ACTION』っていう行動を起こして。その次がデジカメのCMで、今度はボクシングのミット打ち、いっつも全然違うことをやってるじゃないですか。俺もボクシングやってたから分かるんだけど、呼吸や腰の入れ方でダサく見えちゃうから、中田さんは本気で勉強してやったんだなって思うし。何だろう…そういう点をつないでいったら、全てが俺の中で1本につながった。ゼロはただ初期に戻るってことだけじゃなく、何かの途中でも自分からあえて引いて、それで新しいことにチャレンジするのもすげえなって。中田さんがもしワールドカップで勝ってたら、きっと全然違ってたと思うんです。負けて、あそこで引退して、みんな何でって思ったけど、でも中田さんは自分自身を信じた。あれこそがスターであり、カリスマである部分なんだなと。サッカーが好きで現役を続けるなら、ゴン(中山雅史)やカズ(三浦知良)みたいにずっとやれる。それだけサッカーが好きなのに、まったく違う場所に自らの意志で飛び込むってかなりの勇気だったと思う。だから俺は、ゼロは勇気。そういう気持ちで歌詞を書きましたね。

この曲を聴いていると、“今持ってるものを全て捨ててでも次に向かう勇気はあるのか?”って突きつけられてるようで。何かやらなきゃいけない、動かずにはいられないって感じました。

自分でも歌ってて、たまにそうなるんですよ。“本当に俺にできんのか?”って、問いかける。分かんねーけど、でも答えとかじゃなくて、“やりてーかやりたくねーか、どっちなんだ?”と。

RIZE自体もデビュー当時と同じ3人になり、螺旋を描きながら一周して、ある意味ゼロに戻りましたね。

確かにそうですね。トッキー(TOKIE)に始まり、u:zo、ナカ(中尾宣弘)とメンバーチェンジして。でも、RIZEっていう存在は何が何でも倒れねえんだなって。俺自身、ウケましたけどね(笑)。“どんだけ打たれ強いんだよ”みたいな。だから、そういう意味じゃもう怖いもんは何もない。

「ZERO」を出すと、今年のリリースは終わりですか?

たぶん。あ、でも分かんない。ネット配信とかYou Tubeとかあるんで、その辺はフレキシブルに考えてます。パッと思い付いて、面白いと思ったらすぐやると思いますよ。KenKenがPS3のCMに出演した時もそういう感じだし、VANSとのコラボもそうだし。だから、これが俺らからのゼロ個目のアイテムってことで。

1個目ではなく?

ゼロ個目。『24シーズン3』で言ってたんだけど、新型ウィルス第一感染者のことを“ペーシェント・ゼロ”って言うらしく。“ゼロ人目の患者”っていう意味。次の患者さんから1、2ってカウントされる。まだどういうウィルスなのか分からないから、そのゼロ人目の患者さんを調べていろいろ分かった上で、ワクチンを作ったりやっていく。だから、この『ZERO』が俺らにとっての“ペーシェント・ゼロ”。この曲の反応とか研究してもっとみんなをワクワクさせるワクチンを作っていきます!
RIZE プロフィール

ライズ:1997年、JESSEと金子ノブアキにより結成。00年、シングル「カミナリ」でメジャーデビュー。06年よりKenKenが参加。ロックの“現在”(いま)を圧倒的な熱量で表現する彼らの姿勢は多くのリスナーから支持を得ており、全米、アジアツアーを成功させるなど海外での評価も高い。結成20周年イヤーに突入する16年、メジャーデビューレーベルであるEPICレコードジャパンに復帰した。RIZE オフィシャルHP

OKMusic編集部

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