【金子ノブアキ】僕は音楽の力を信じ
ているから

2年振りとなる3rdアルバム『Fauve』が完成! ソロライヴパートナーであるギタリストのPABLO(Pay money To my Pain)に加え、マニュピレーター/シンセサイザーに草間 敬を迎え、研ぎ澄まされたメロディーと躍動感みなぎるバンド感を封印した秀逸な一枚に仕上がった。
取材:荒金良介

そもそも金子さんがソロをやろうと思った理由は?

きっかけは劇伴で曲を書いたことですね。で、機を同じくして、芸能界の仕事にも復帰して、自分の名前がひとり歩きしたから。個人名だけど、プロジェクトみたいなものですね。バンドが青春に立ち返ることで人にいい影響を与えるとするなら、テクノロジーを含めてリアルタイムで掘り進めるものがソロかなと。贅沢な二重生活を謳歌してます(笑)。2枚目を出すまでは一度もライヴをしてなかったけど、この1年でライヴをするようになったから、そこは大きい。近年フットワークは軽くなってますね。

単純にリリース期間が圧倒的に短くなりましたかね。

そうなんですよ。1枚目と2枚目の間は5年近く空いたけど、今回は他のこともやりながら、2年ぐらいでアルバムを作れたから。このペースは守られる気がします。もう次の構想もあるんですよ。

えっ、そうなんですか!?

俺もバンドだけでは食い足りないし。結構せっかちなんですよ、性格的に。

金子さん、もしかしてB型ですか?

そうです!

僕もB型なので、何となくそうかと(笑)。

“人生は無限じゃないし、時間がもったいない!”って口癖で言うくらいですから(笑)。あと、僕は音楽に一番救われたから、そういう音楽を作りたくて。

ソロ作に通じる、金子さんのルーツ音楽は?

メロディーに関してはクラシック音楽…エリック・サティ、カラヤンのボックスも聴いてましたね。

子供の頃から?

はい(笑)。僕の実家が葬儀屋で、そういう現場を目の当たりにしてきたから、その影響はめちゃくちゃありますね。グレゴリオ聖歌、読経の中で育って、両親がロックミュージシャンでしょ? そのミックス感と言うのかな(笑)。自分の中から自然に出てくるのは、さきほど言った音楽のメロディーやコード感ですね。生きてる限りはあの世のことは分からないけど、少しだけでもコネクトしてみたくて。

死とコネクト?

うん、やっぱり死ぬことは人間の基盤だと思うから。宗教もそれに対する不安から生まれたものだし、そういう音楽に救われた気がしますね。あと、懐かしいしね。

幼少の記憶と音楽がセットで結び付いているのですね。

きれいだなと思いましたからね。それで歳を重ねると、周りで子供が産まれたり、死んじゃった奴もいるし、昔と今ではまた違う焦燥感があるんですよ。ある種、人のためになりたいというか。今回はエンジアニチームやPABLOにも参加してもらって、このメンバーで記録する必要があったというか。その人生観の共有はありましたね。

というのは?

例えばPABLOとは高校の頃から対バンしてたし、当時、彼はGIRAFFEというバンドをやってて、そのプロデュースを草間 敬さんがやってたんですよ。で、当初は草間さんとふたりでやろうと思っていたけど、もうひとり必要だなと。ヴォーカルのKちゃんが死んじゃって、お互いに触れられない生傷があったけど、PABLOとなら精神性を共有できるんじゃないかと。一緒に曲を作りながら、感極まってやれる人はほとんどいないですからね。今回はPABLOがいることがデカい。

PABLOさんとは死生観でも通じ合える部分があると。

ありますね。野暮だから、あまり口には出さないけど。その部分を共有して、前に進んでいる感じというか。The BONEZもそういう強さを手に入れてると思うから。あと、音楽の趣味も合うんですよ。PABLOとはアンビエント、ダンスミュージック、ブレイクコア、最近僕はノルウェーが熱くて、SUSANNE SUNDFØR、ROYKSOPPとか、その辺の話も彼としますね。

では、今作の方向性で考えたことは?

これがほとんど話さずにこうなったんですよね。PABLOとも投げて打っての繰り返しで、すげぇ楽しかった。今回でバンド感、チーム感は固まりましたね。だから、聴こえてくる音からバンド感を感じます。

基本は歌モノ中心で、ヴォーカルもそれこそクラシック音楽に通じるような、演奏に寄り添う入れ方ですよね。

どうしてもそういう感じになっちゃうんですよ(笑)。10分ぐらいのアンビエントもあるけど、歌はちゃんと曲の真ん中に置きたくて。だけど、僕はヴォーカリストじゃないから、どうやって歌を増幅させればいいかなと。なので、メロディーやハーモニーは一番考えますね。

そこで参考にしているものは何ですか?

それが、ないんですよ。だから、自分の感覚や本能に素直に従おうかなと。それこそ幼少期の記憶じゃないかな。トラックの作り方も自由ですからね。それも関係しているのか、どんなトラックを作ってもメロディーやハーモニーが乗るんですよ

あぁ、なるほど。

最初のほうにも話したグレゴリオ聖歌とか…別にそこまで詳しくないし、今日初めて話したからね。僕がここで唱えているのは、精神性に寄り添う音楽ですね。さっきも“演奏に声が寄り添ってますよね”みたいなことを言ってくれましたけど、そこはそういう想いがあるからでしょうね。10代の頃はバンドで全てをぶっ壊しちまえ!みたいなノリがあったけど。へこんで悲しんでいる奴がいたら、大丈夫だよって。時間が解決することもあるしさって。そういう佇まいの音楽と言うのかな。

金子さんなりのヒーリングミュージックを鳴らそうと?

僕は音楽の力を信じているから。そこに対するロマンをいろんなかたちで突き詰めたいんですよ。ある種ヒーリングミュージックかもしれないですね。僕本来の人格に近いものがあるからこそ、こういうものが出てくると思うので。それをみんなと共有できたいいなと
『Fauve』
    • 『Fauve』
    • VPCC-81874
    • 2016.05.11
    • 2700円
金子ノブアキ プロフィール

カネコノブアキ:1981年6月5日生まれ、東京都出身。96年にRIZEのドラマーとして活動を開始。00年8月にシングル「カミナリ」でメジャーデビュー。そして、吉井和哉、AA=、Def Techなど数多くのドラムサポートとして高い評価を受ける一方、役者としても映画『クローズZEROII』『BANDAGE』や、フジテレビ系ドラマ『ブザー・ビート~崖っぷちのヒーロー~』等に出演。09年、自宅スタジオでヴォーカル/ベース/ギターを自身で演奏した初のソロワークスアルバム『オルカ』をリリース。14年には2ndアルバム『Historia』を発表。16年6月25日東京ユーロスーペースにて上映される『スリリングな日常』にも出演。金子ノブアキ オフィシャルHP

RIZE プロフィール

ライズ:1997年、JESSEと金子ノブアキにより結成。00年、シングル「カミナリ」でメジャーデビュー。06年よりKenKenが参加。ロックの“現在”(いま)を圧倒的な熱量で表現する彼らの姿勢は多くのリスナーから支持を得ており、全米、アジアツアーを成功させるなど海外での評価も高い。結成20周年イヤーに突入する16年、メジャーデビューレーベルであるEPICレコードジャパンに復帰した。RIZE オフィシャルHP

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

0コメント